164話・説得 1
ドリさんと外に出て、僕は、昨日の答えをドリさんへ伝える。
僕の答えに、ドリさんは、目を見開き驚いた。
「な… 何を言ってるんですか、ノーリさん!!」
ドリさんは、一応声を潜めながら、僕に詰め寄ってくる。
「そのまんまです。アードちゃんだけでなく、ドリさん、貴方も一緒に行きましょう。」
「…それについては、昨日伝えた筈ですよ。」
「確かに、聞きましたね。」
「それなら… 「ですが、行けないとは聞いてないですよ。」 !?」
「昨日、僕が聞いたのは、ドリさんが人族とうまくやっていけそうにないと言う事とドリさんがいなくなると他にここに住んでいる者に迷惑をかけると言う事だけです。」
「それは、そうですけど… なら、今ここではっきり言い… 「待って下さい!!」 …何で、しょうか?」
「僕の話を聞いてから、決めてみて貰えませんか?」
「ノーリさんの話ですか?」
「はい、そうです。」
「…分かりました。」
「なら、まず始めに、人族とうまくいかないと思うのなら、無理に人族と関わらなくて大丈夫です。」
「…それは、いったいどういう事ですか?」
「そのままの意味です。僕の家なら、人族と関わらずに、暮らせる事が出来ます。次に、ここに住んでいる者たちについてですが… 全員、僕の家に来て下さい。それなら、ドリさんも一緒に来れる筈です。」
僕が、そう言うとドリさんは、とても驚いたような顔をした後、すぐに僕を睨み付け、
「ふざけないで下さい!!」
と怒鳴られる。
ドリさんも、怒鳴るつもりはなかったのか、すぐに口を手で押さえ、謝ってくる。
「突然、怒鳴ってしまい、すみません… ですが、あまりに信じられない事を言っていたので…」
「謝らなくて大丈夫ですよ、ドリさん。突然そんな事を言っても信じられない事はわかってますから。」
まぁ、俺も何も知らない状態でそんな事を言われたら、怒鳴りたくもなる。
「ですから、それが可能であると言う事の証拠を今からお見せします。僕の手をとって下さい。」
僕は、ドリさんに手を差しのべる。
「わ… 分かりました。」
ドリさんは、不思議そうに、僕の手をとる。
しっかり掴んである事を確認してから、
「ダンジョン移動!!」
僕は、ドリさんを連れて、家のダンジョンへと移動する。
◆
「んん…」
誰かの叫び声で、私は目を覚ました。
隣には、アードちゃんも目を覚ましていた。
「おはよう、アードちゃん。」
「おはよう、ソフィアちゃん…」
「それで、アードちゃん。今の声聞いた?」
「うん…」
「でも、いったい誰の…」
周りを見ると、ドリさんの姿がなかった。