162話・僕の答え 1
ドリさんは立ち上がり、料理をしている2人の元へと歩いていった。
僕は、どう答えるのが正解なのか、頭を悩ました。
「お兄ちゃん… ご飯出来たよ。」
「あぁ、アードちゃん… ありがとう。今行くよ。」
どうやら頭を悩ましている間に、ご飯が出来たようでアードちゃんが呼びに来てくれた。
アードちゃんと一緒にあるいてむかう途中、僕は、アードちゃんに話しかける。
「ねぇ、アードちゃん?」
「なに?」
「アードちゃんは、森の外で暮らしてみたいと思う?」
アードちゃんは、立ち止まり、少し考えた後、
「皆と一緒なら、暮らしてみたいかな… でも、どうして、そんな事を聞くの?」
「そっか… 特に理由はないよ。それより、冷えてしまう前に、早く行こうか?」
「うん!!」
ソフィアたちがいる場所には、大きなテーブルがあり、様々な料理が置かれていた。頑張って作ってくれたみたいだ。
テーブルの他にも、ドリさんかアードちゃんが魔法で作ったであろう辺りを照らすライト代わりの木などがあった。
皆が腰掛け、夕食が始まる。少し食べた所で、
「お兄ちゃん、味はどう?」
ソフィアがそう聞いてきた。
「あぁ、とても美味しいよ。」
ちょっと、焦げている部分があるけど、美味しいのは美味しい。
「良かった。それを作るの、ドリさんも手伝ってくれたんだよ。」
「え… そうなんですか?」
「えぇ… 少し手伝っただけですけど…」
少し、照れ臭そうに答える。
「そうですか… ありがとうございます、ドリさん。」
その後も、話をしながら、食べ進めていった。
◆
食べ終えた頃には、すっかり日も暮れていたので、そろそろ休む事にした。
ソフィアは、どうやらアードちゃんと一緒に寝るようなので、僕だけ、ドリさんに、木と葉で出来たベッドもどきを作って貰い、そこで休む事する。当然、ドリさんたちの寝所からは、距離をとった場所に作って貰っている。
僕は、そこで横になりながら、アードちゃんたちの事を考えていた。いや、より正確に言うなら、もうどうするかは決めてある。アードちゃんに聞いた答えや食事風景を見て、心を決めた。
だから、今はどうやってドリさんを説得するかを考えている所だ。
「ちょっと、外の空気でも吸いにいくか…」
いい説得案が浮かばなかったので、考える場所を変えてみる事にした。
なるべく音をたてないように、起き上がり、外へと出て、まだ残っていた椅子に腰掛け、空を眺めながら、説得案を考えようとした所で、
「どうかしたの、お兄ちゃん?」
「ソフィアか… もしかして、起こした?」
「ううん… まだ、ちょっと眠くなくて、起きてたら、外に出ていくお兄ちゃんをみかけたから…」
「そっか…」
「横座っていい?」
「あぁ、いいよ。おいで。」
ソフィアは、僕の横の椅子に腰掛ける。