154話・謝罪
アードちゃんは泣きながら、お姉さんの元へと飛び込んでいった。
やっぱり、お姉さんと離ればなれになって寂しかったんだろう。
その光景を見ていると、後ろにいたソフィアが僕の横に移動してきて、手を握ってくる。
「どうかしたかい、ソフィア?」
「ううん… なんとなく、繋ぎたくなっただけ…」
「そっか…」
「うん…」
僕は、そう言うソフィアの頭をそっと撫でてやりながら、アードちゃんたちの様子を見守った。
◆
飛び込んできたアードを私は、ギュッと抱き締めてあげる。少しして、
「ご… ごめんね、お姉ちゃん…」
「いいのよ、アード。それより、あそこにいる人族たちはどなたなの?」
私は、気になった2人の人族について聞いてみる。
「あの人たちは、私を助けてくれたお兄ちゃんと、友達のソフィアちゃんだよ。」
「そう… それで、あなたに何があったのか、教えてくれる?」
「うん…」
アードは、自分に何が起こったのかを教えてくれた。
話を聞き、改めて人族への愚かさと怒り、そして優しさを実感した。
「そんな事があったのね… それじゃあ、私もお礼を言いたいから、連れていってくれる?」
「うん!!」
私は、アードに手を引かれ、2人の人族の元へとむかう。
◆
少しして、泣き止んだアードちゃんが、僕たちを指差しながら、お姉さんに話しかけた後、手を引いて僕たちの方へとやって来る。こっちに来る間に、お姉さんの横に浮いていた人は、お姉さんが何か話しかけたかと思うと、すっと溶けるように消えていった。
2人で、やって来ると、ソフィアが話しかける。
「お姉ちゃんに会えて、良かったね、アードちゃん。」
「うん!! お兄ちゃんとソフィアちゃんのおかげ… 2人ともありがとう!!」
「私は何もしてないよ。全部、お兄ちゃんのおかげだよ。」
「そう言う約束だったからね。僕も、約束を守れて、良かったよ。」
「うん!! 本当に、ありがとう… それでね、お姉ちゃんも話があるって…」
アードちゃんがそう言うと、
「アードから話しは聞きました。私の名前は、ドリと言います。私からも、お礼を言わせて下さい。アードを助けて、ここまで連れて来て下さり、本当にありがとうございます。それに、突然攻撃してしまい、すみませんでした!!」
アードちゃんのお姉さん改め、ドリさんが僕たちに、深々と頭を下げてきた。
確かに、突然の攻撃には驚いたけど、誰かが怪我をした訳でもないし、アードちゃんに起こった事を考えると、見ず知らずの僕たちを警戒して当然の事だ。
「頭を上げて下さい、ドリさん。僕は、気にしてませんから。ソフィアはどう?」
「お兄ちゃんが守ってくれたし、私も気にしてないよ。」
「だ、そうです。ですから、ドリさんも気にしないで下さい。」
僕がそう言うと、ドリさんは、
「…分かりました。」
おそるおそる、頭を上げてくれた。
作者より(謝辞)
新人技術者さん様、レビューありがとうございました。