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閑話・シャーロット・フォン・オベリスタ 2

 2日ぶりに、私は街の図書館にむかいました。

 入ってすぐに、彼の姿を探したが、今日は残念な事に、彼は来ていませんでした。


「シャーロット様、何だか、元気がないように見えますが、どうかされましたか?」


「…なんでもありませんよ、バレッタ。昨日の続きの本を持ってきて下さい。」


 侍女兼護衛である、バレッタにそう頼みます。


「分かりました。少し待っていて下さいね。」


 席で待っていると、バレッタすぐに戻ってきた。だけど、手には、何も持っていなかった。


「どうかしたの、バレッタ? 本を持ってないようだけど?」


「すみません、シャーロット様。本を探したのですが、見つかりませんでした。」


「誰かが、読んでいるのでしょうか?」


 周りを見てみるが、珍しい事に、図書館の職員以外に私たち2人の姿しか見えない。


「誰もいませんね?」


「あ、そういえば、あそこの本棚の後ろで、少年が寝ていましたよ。起こしてきましょうか?」


「少年ですか? いえ、とりあえず、そこに連れていって貰っていいですか?」


「分かりました。こちらです。」


 私は、バレッタの後に続いて、本棚の後ろを見てみる。


「!?」


 そこには、彼が寝ていた。彼のお腹には、私が読もうとしていた本を持っていた。


「起こしましょうか?」


「ダメ!!」


 私は、大きな声で叫んでいた。


「…分かりました。ですが、今の声で起きそうですよ?」


「え…」


 彼を見てみると、彼が起きようとしていた。


「ん… あれ、僕寝てい… た…」


 完全に彼と目があった。


「あ… いや… その…」


「す… すみません!! こんな所で寝てしまって、お邪魔でしたね。今すぐ退きます!!」


 彼は、慌てたように立ち上がる。


「あ… べ… 別に邪魔じゃないです!!」


 私も、少し混乱して大きな声を出してしまう。


「そ… そうですか。ありがとうございます。それじゃあ、僕は、これで…」


 彼は、この場を離れようとする。

 私が言葉を発する前に、


「少年、少し待ってくれませんか?」


「…はい、何でしょうか?」


 私は、心の中で、バレッタを賞賛する。


「手に持ってるある本は、読み終わっているでしょうか?」


「これですか? あと少しで読み終わると思いますが… もしかして、読まれますか?」


「こちらの、シャーロット様がお読みになられたいようなので、読み終わったらお貸し頂けないですか?」


「は… はい、分かりました。読み終わったら、すぐにお持ちしますね。えーと…」


「私の名前は、バレッタです。それでこちらが…」


「わ… 私は、シャーロットです!!」


 急にふられて、声を張ってしまう。


「バレッタ様にシャーロット様ですね。僕は、ノーリと言います。」


「私に、様呼びは大丈夫ですので、バレッタと及び下さい。」


「わ… 私も、シャーロットで大丈夫です!!」


「シャーロット様?」


 訝しげな視線で、バレッタが私を見てくるが、鋼の心でスルーする。


「ですが…」


 ノーリさんは、躊躇っているようにみえる。私は、このチャンスをいかそうとする。


「気にしなくても、大丈夫です。ぜひ、シャーロットとお呼び下さい。」


「…分かりました。ですが、せめてさん付けでお願いします。」


「それで、大丈夫です。私も、さん付けで呼ばせて貰いますね。」


「はい、大丈夫です。それでは、後でお持ちしますね。」


「はい!!」


 ノーリさんと別れる。


「シャーロット様、顔がにやけていますが、どうかしましたか?」


「べ… 別に何もないです!!」


 その後から、図書館でノーリさんとの交流が増えた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一途で可愛い良い子やぁ
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