148話・夕食
ポリーナさんとの会話を終え、その後、追加の夕食の食材を頼まれ、ソフィアとアードちゃんと一緒に、街中へとむかった。
街中へ行くと、人が多いので、手を繋ぐか尋ねると、2人は左右に別れて、手を繋いできた。
手を繋いだ後、僕はアードちゃんに話しかける。
「アードちゃん。」
「なんですか?」
「悪いんだけど、アードちゃんがいた所に戻るのは、明日でもいいかな?」
「?」
「早く、お姉さんの元に返してあげたいんだけど、出来れば、夕食を食べていってほしいんだけど、ダメかな?」
知り合いの少ないソフィアとも、だいぶ仲良くなってたので、もう少しだけ一緒にいさせたかった。
これは、僕のわがままなのに、アードちゃんは、少し考えてから、
「分かりました。明日で、大丈夫です…」
了承してくれた。
「ありがとう、アードちゃん。」
お礼を言い、先に、ポリーナさんに頼まれた食材を買いにむかい、その後、街をぶらついた。
◆
家から近場の大まかな場所を案内してから、帰った。
家に帰り、買ってきた食材をポリーナさんへ手渡す。
「悪いね、ノーリ。早速、今から夕食に、取りかかるよ。」
「いえ、これくらい大丈夫です。あ、それなら僕もお手伝いを… 「ダメだよ、お兄ちゃん!!」 ソフィア?」
ソフィアより、待ったがかかる。
「お兄ちゃんは、帰ってきたばかりだから、部屋で休んでいていいよ。手伝いは、私がやるから。」
「そうだよ、ノーリ。それに、もう1人頼もしいお手伝いさんがいるからね。」
「頑張ります…」
アードちゃんも、両手を胸の前で握りしめ、気合いを入れる。
「なら、お願いします。」
僕は、3人に任せ、部屋に行き、ゴロンと寝転ぶ。
寝転びながら、明日やる事について考える。
◆
「…ちゃん。」
「ん…」
「お兄ちゃん、起きて!!」
「あぁ、ソフィア。悪い、どうやら寝てたみたいだね。」
僕は、体を起こしながら、そう答える。
「大丈夫だよ。それより、ご飯出来たよ。」
「分かった。ありがとう、ソフィア。」
僕は、ソフィアと一緒にむかう。
むかった先には、数多くの料理が用意されていた。
「おかえり、ノーリ君。」
「ただいま、ダニールさん。」
「それにしても、見ない間に立派に… 「ほら、あんた。話しは後しな。料理が冷めちまうよ。」 …分かったよ、ポリーナ。」
「ほら、ノーリもソフィアも早く席に座りな。」
「「はい!!」」
僕は、アードちゃんの横に座り、ソフィアは僕の隣に座る。僕たちが座るとすぐに食事が始まった。
食事が始まり、僕は、ある物に気づく。
「あれ? これって…」
そこには、少し白っぽい所もありつつ全体的に黄色くて、端は丸みを帯びているあのお店のタマゴ焼きがあった。
僕は、それに驚いていると、
「驚いた、お兄ちゃん?」
「あぁ、それにしても、どうして…」
「私とアードちゃんで作ったんだよ!!」
「!? そうなのか!!」
「そうだよ。ねぇ、アードちゃん。」
「はい。卵、割るの頑張りました…」
「そっか… ありがとう、2人とも。」
僕は、左右にいる2人の頭を撫でる。
「えへへ。それよりも食べてみて、お兄ちゃん!!」
「分かった。」
僕は、タマゴ焼きをとり、口に運ぶ。
一瞬、硬い物を噛んだような感じがしたが、何故か、お店で食べた時以上に、美味しく感じた。