閑話・シャーロット・フォン・オベリスタ 1
私の名前は、シャーロット・フォン・オベリスタ。
このオベリスタ王国の第2王女です。
そんな私も、もう9歳です。来年には10歳になり、魔法学園を受けるつもりです。だから、日々勉強を頑張っています。
城には、街にある図書館に負けないほどの貯蔵量を誇る書庫があります。私は、よくそこから、本を借りたり、書庫で勉強をしたりしていました。
ですが今日は気分を変えて、街の図書館へ勉強しに街までやって来ました。
紙はとても貴重な物ですが、この図書館は、お父様が国民の為に作った場所なんです。
平民、貴族関係なく利用できます。当然入るのに、お金なんかはとったりしていません。ただ、本を外に持ち出せないし、汚した時には、それ相応の罰が与えられるなどの決まり事はあります。
図書館についてから、勉強に必要な本を護衛の方に持ってきて貰い、勉強を始めます。
しばらくそのまま勉強していて、区切りのいい所で手を止め、淑女としては、少しはしたないですが、体を伸ばしていると、窓際の机で私とそこまで年齢の変わらなそうな少年の姿が目に入りました。
周りを見渡すが人はそこまでいないのに、なぜあんな端の方にいるのか少し気になりましたが、彼は周りなど気にしている様子もなく、本を読んでいます。
窓から差し込んだ日の光に、彼が照らされその横顔が、少し離れたここからでも、はっきりと見えました。
私は、何故かその横顔から目を離せなくなりました。
どのくらい見つめていたのか分かりません。
「…ト様 …ーロット様 シャーロット様?」
「は… はい!!」
だから、体を揺すられた事で、呼ばれている事に初めて気づきました。
「あの、少年を見ていましたが、どうかしましたか?」
「な… 何でもないです!! それよりも、勉強を再開します。」
「? 分かりました。」
私は、勉強を再開しましたが、横目で彼の事ばかり見てしまいます。
「シャーロット様、そろそろお時間です。」
「…分かりました。帰ります。」
結局、最後まで彼の事が気になり、勉強に集中出来ませんでした。
数日後、また気分転換もかねて、私は街の図書館にむかいました。彼にもう一度会えないかと少し期待していないと言ったら嘘になります。
図書館に入ると、彼の姿をそれとなく探しました。
すると、彼はあの時の同じ、窓際の机で本を読んでいました。また私は、勉強しつつ彼の姿を横目で眺めていました。
その後も、図書館に行く度に、彼はかなりの確率で窓際の机で本を読んでいました。私は、図書館に行くのだんだん楽しみになり、気づけば、ほとんど毎日図書館に通うようになっていました。