144話・泊まる場所
特別依頼が達成出来たというなら、明日にでも、王都へ帰れそうだ。
「そういえば、ノーリ君は、泊まる宿は決めてあるの?」
「いえ、決めてないですね。この後、宿屋を探そうと思ってます。」
「あら、ならここに泊まってもいいわよ。」
お皿を片付けに来ていた、リーベさんがそう言ってきた。
「それは、いいわね。リーベもこう言ってくれてるし、そうさせて貰ったら、ノーリ君?」
断ろうとする前に、グラディウスさんからの援護射撃もあってか、断りづらくなり、結局今日1日お世話になる事になった。
しかも、泊めさせて貰う為、お金を払おうかと思ったが、1日だけだからという事で、断られてしまった。
「なら僕に、皿洗いをさせて下さい!!」
僕は、お金の変わりに、労働で返そうとそう提案する。
「分かったわ。なら、お願いしてもいいかしら?」
「はい!! 任せて下さい!!」
僕は、場所を尋ねてから、皿洗いにむかった。
◆
ノーリ君は、皿洗いにむかっていった。
「いい子ね、ノーリ君。」
「そうね。しかも、実力の方も、中々の者よ。」
「へぇ。若いのに、たいした子ね。」
「まぁ、私たちからしたら大抵は、若… 痛っ!!」
「グラディウス、それ以上は、言わなくてもいいわ。」
「もう、リーベ。すぐに、手を出すの止めなさいよ。」
「貴方だけよ。それより、この前渡した情報は、どうだった?」
「デマだったわね。」
「そう… 悪いわね。」
「謝る必要はないわ。私が、未確認の情報でも欲しいって言ったんだしね。」
「そうだったわね。」
「それで、追加の情報はある?」
「今の所、まだないわね。」
「そう… ありがとう、リーベ。」
「いいわ。また、新しい情報が入ったら、伝えるわ。まぁ、料金は、負けないけどね。」
「そこは、負けてくれてもいいのよ、リーベ?」
「それはそれ。これはこれよ。」
「はいはい、分かったわよ。それじゃあ、そろそろ私は、失礼させて貰うわ。」
「分かったわ。」
「あぁ、これをお代ね。」
私は、リーベに、2人分の料金を手渡す。
「確かに、貰ったわ。」
その後は、ノーリ君に挨拶した後、私は、自分が泊まっている宿屋に戻り、眠りについた。
◆
皿洗いをしている際に、グラディウスさんが帰るという事で、リーベさんと一緒に見送る。
「それじゃあ、僕は、残っている皿を… あっ!!」
「どうかしたの?」
「そういえば、僕、まだ料理のお金を払ってなかったのを思い出しまして…」
「それなら、グラディウスからもう貰ってあるから、大丈夫よ。」
「そうなんですか!!」
いつの間に… って、僕が皿洗いしている間か…
明日、改めてお礼を言わないとな。
「それじゃあ、中に入りましょうか?」
「分かりました。」
その後は、皿洗いを終わらせ、リーベさんに勧められるままお風呂に入らせて貰い、準備してくれていた部屋で、休ませて貰った。
自分で思っていたよりも疲れていたのか、すぐに眠っていた。




