142話・飯屋へ
ノーリ君を待たせてあるから、すぐに本題に入る。
「俺たちは、今回は、Cランクへの昇格は止めておきます。」
他の3人の顔を見渡し、
「他の3人も、それでいいのね?」
「「「はい!!」」」
3人とも、迷わずそう返事をする。
「そう。一応、理由を聞いてもいいかしら?」
「はい、大丈夫です。」
そう言って、理由を話し始める。
「今回の試験では、確かに色々な事がありました。彼がいなかったら、俺たちはどうなっていたのか分かりません…」
私は、口を挟まずに、目で先を促す。
「ですが、俺たちがもっと警戒をしていれば、やすやすと捕まってしまう事はなかったかもしれません。まぁ、たらればの話なんですけどね。それで、4人で話し合って改めて、自分たちの未熟さを思い知らされました。」
他の3人も、首を縦に振っている。
「ですから、もう少し力をつけてから改めて試験を受けようと思っています。」
「貴方たちの考えは、分かったわ。貴方たちが考えて決めた事だからそれを尊重するよ。ただ、これだけは渡しておくよ。」
私は、事前に用意していた物を渡す。
「これは、何でしょうか?」
「Cランク昇格試験の筆記と実技試験を免除出来るように、私が一筆書いた物よ。」
「こ… これを、俺たちにですか?」
「そうよ。使うか、使わないかは、貴方たち次第よ。ただ、今回受けた筆記や実技試験は、本来の試験通りだから、それに受かったのは、貴方たちの実力とだけ言っておくわ。」
「ありがとうございます…」
「それじゃあ、貴方たちの答えは聞けたから、私は、もう行くわね。あぁ、それと謝罪金は、受付に言えば貰える筈だから、ちゃんと受け取ってね。それじゃあ、失礼するわね。」
私は、4人と別れ、ノーリ君のもとへと戻った。
◆
「お待たせ、ノーリ君。」
「あ、グラディウスさん。用事は、終わったんですか?」
「まぁね。それじゃあ、行こうか?」
「どこに行くんですか?」
てっきり、ギルドでご飯を食べるもんだと思っていた。
「私、おすすめのお店よ。」
「グラディウスさんのおすすめのお店ですか?」
「えぇ、そうよ。こっちに来た時は、いつも寄ってるお店なのよ。ほら、早く行くわよ!!」
「は… はい!!」
僕は、グラディウスさんの後に続く。
ついた先は、普通の一軒家みたいな場所だった。
「ここですか?」
「えぇ、そうよ。ほら、入った入った!!」
僕は、グラディウスさんに背中を押されながら、中へと入った。
中は、静かな雰囲気のお店だった。
「いらっしゃい… って、グラディウスじゃない。こっちに、来てたのね。」
「ちょっと、用があってね。」
「ん? あら、そちらの男の子は、始めましてね。私は、ここのお店の店主のリーベよ、宜しくね。」
「あ、僕は、冒険者のノーリです。宜しくお願いします。」
僕は、挨拶を返しながら、リーベさんの耳を見てみる。リーベさんの耳は、グラディウスさんと同じで、少し尖っていた。