140話・帰ってきました
私は、これ以上意味はないなと判断し、3人を気絶させた。
「さて、ノーリ君をどうやって探そうか…」
知ってそうな奴を探しだして、手当たり次第ボコるか? いや、転移先が分からない以上、時間をかけるのは、不味いか…
どうするか考えていると、
「グラディウス様。」
下を任せていた部下の1人がやって来た。
「どうしたの?」
「衛兵長がおいでになってます。お会いになられますか?」
「ソルダが?」
「はい。どうしますか?」
「会うから、ここに連れて来て。」
「分かりました。」
部下は、そう言って、ソルダを迎えに行く。
ソルダには、貸しがあった筈だから、ノーリ君探しを手伝わせようと、考えていた所で、部下たちはやって来て、ソルダのみを残し、下へと戻っていった。
「久しいな、グラディウス。元気そうで何よりだよ。」
「ソルダこそ。」
「まぁな。それで、今回もやってくれたな。」
「住みやすくなってるんだからいいでしょ?」
「まぁ、それはそうだが… 限度があるだろ? 毎度毎度、こっちに来る度に悪者を捕らえないといけないのか、お前は?」
「たまたまよ、たまたま。てか、来る度に、捕らえる悪者を捕まえてないあんたたちが悪いんでしょ?」
「うっ… それを言われると、返す言葉もねぇな… まぁ、それは置いといて、それで、今回は、そいつか?」
ソルダは、床で気絶してある商会長を指差しながらそう言ってくる。
「えぇ、そうよ。」
私がそう返したタイミングで、
「「!!」」
空間の揺らぎを感じた。
私は、すぐ持っていた武器を構えたが、その正体に気付き、武器を下げた。
どうやら、私の渡したアイテムが役に立ったようだ。
◆
アイテムボックスから、転移結晶を取り出し、気絶したタブを掴み、グラディウスさんのいる部屋へと転移した。
先ほどの部屋へと転移すると、商会長たちは既に気絶しており、グラディウスさんの他に、見知らぬ男性がたっていた。
とりあえず、
「帰ってきました、グラディウスさん。」
「おかえり、ノーリ君。」
「おい、グラディウス。突然現れた子供は、知り合いか?」
「えぇ、そうよ。」
「そうか。俺は、この街の衛兵長をしているソルダだ。」
ソルダさんは、自己紹介してきたので、
「ソルダさんですね。僕は、冒険者のノーリって言います。」
僕も、自己紹介しておく。
自己紹介を終えた所で、
「それで、ノーリ君。その手に持ってあるのって… タブ?」
グラディウスさんが、そう聞いていたので、
「はい、そうですよ。」
僕は、そう答え、ボコボコにしたタブをグラディウスさんに手渡す。