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139話・逃げた先で…

 タブへと触れたかと思ったその瞬間、僕はタブと一緒に見知らぬ場所へと飛んでいた。

 見た感じ、どこかの部屋のようだ。


「ひぃ!!」


 タブが使った転移結晶で転移した際、掴んでいた部分を離してしまったのか、四つん這い状態で僕から距離をとりだした。僕が一緒について来た事に、かなりビビっているみたいだ。


「た… 頼む、金ならいくらでもやるから、見逃し… ん?」


 タブは、四つん這いのまま僕をジィーと見てくる。


「!!」


 少しして、驚いたような顔をした後、


「お前、どこかで見た事あるかと思ったら、役立たずの空箱だな。」


 ニヤリと口角を上げながら、そう言ってきた。

 どうやら、今気づいたようだ。


「どうして、お前なんて役立たずが、あの小娘と一緒にいたのか知らないが、お前ごときなら、俺でも何とかなる。」


 さっきまでの態度とうって変わって、かなり強気になった。でも、そんな漏らした状態で言われても…

 タブは、僕にむけて、手を前につき出しながら魔法の詠唱をしだしたので、詠唱が終わる前に、さっと近寄り、


「うぼっ!!」


 右頬を平手打ちする。一応、加減はしてある。

 それでもタブは、抵抗なく床を転がっていく。


「ぎ… ぎざま、俺の顔を…」


 上げたタブの顔は、鼻血を垂れ流していた。

 それでも、再び詠唱を始めようとしたので、今度は、逆の頬を平手打ちする。

 その後も、学習せず、無駄に詠唱を続けようとするので、交互に頬を平手打ちしてやった。

 両頬が、腫れ出した所で、


「や… やめひぇ… くはらい…」


 やっと、諦めた。

 グラディウスさんに心配をかけたくないので、次で、終わらせようと、拳を握り、タブに近寄る。


「やめ… たす…」


 タブは、後ろへ後ずさっていくが、一気に駆け寄り、拳を振り下ろした。

 気絶したタブを見下ろしながら、


「これで、彼女の仇が少しでもとれたかな…」


 そう呟いた後、アイテムボックスから、転移結晶を取り出し、気絶したタブを掴み、グラディウスさんのいる部屋へと転移した。



 ◆



 私が、油断した隙に、あいつが逃げ出した。


「ちっ!!」


 私は、すぐ商会長へ駆け寄り、襟を掴みあげる。


「あいつは、どこに逃げた。すぐに言え!!」


「ひっ!! し… 知らない!!」


「ほう… あいつをまだ庇うか?」


「ち… 違う!! 本当に知らないんだ!! タブが、あんな事が出来る事すら知らなかった!!」


 どうやら、嘘じゃなさそうだね。


「お前らはどうだ?」


 こっそり、逃げ出そうとしていた2人に尋ねる。


「「知りません!!」」


 こっちも、同じ答えだ。

 私は、これ以上意味はないなと判断し、3人を気絶させた。

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