138話・逃亡
グラディウスさんの後に続き先へ進む。
通路を進んでいくと、従業員らしき人が現れる。
「あの、どちら… う!!」
グラディウスさんは、お腹への一発で、気絶させていく。
その後も、何度か現れる従業員を容赦なく気絶させていった。
「容赦ないですね、グラディウスさん。」
「誰が、あいつの事知ってるか分からないし、わざわざ確認する時間もおしいしね。それに、人を呼ばれたら、面倒だしね。」
「そうですね…」
とりあえず、黙ってついていこうと思った…
グラディウスさんは、途中の部屋を確認しないまま、階段へいきつき、上っていく。部屋の中に、人の気配はなかったので、僕もそのままついていく。
◆
「ここね。」
普通の扉よりやや豪華な扉の前で立ち止まる。
中からは、4人の人の気配がある。
「ノーリ君、準備はいい?」
「…はい」
「それじゃあ、行くよ。」
てっきり、普通に扉を開けるのかと思っていたが、グラディウスさんは、扉を蹴り飛ばし、破壊した扉から中へと入っていった。
僕は、苦笑いを浮かべながら、後に続く。
部屋の中には、見知った顔が2人とその護衛らしき人が2人いた。4人とも皆、驚愕な顔を浮かべていた。扉を破壊して人が入ってきたら、そんな顔になるかと思っていると、4人のうちの見知った顔の1人の顔が青白くなっていく。
「な… なぜ、お前がここにいる!!」
青白くなっていた顔の人物が、グラディウスさんを睨み付けながら、怒鳴ってきた。
「そりゃあ、指名手配されているお前を捕まえに来たに決まっているだろ? あぁ、後ついでにお前もだよ。」
グラディウスさんは、そう言いながら、もう1人の見知った顔… 確か名前は、クライだった筈だ。
を指差す。
「な… 何故、私まで!!」
「それは、言わなくても分かってるだろ? 随分、好き勝手してくれたもんだよ…」
静かにそう告げたグラディウスさんから、とてつもないプレッシャーが放たれる。
「「「「ひぃ!!」」」」
2人は、座っていたソファーから転げ落ち、護衛らしき2人も腰をぬかす。僕も、直接受けた訳ではないのに、背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「やってしまった…」
グラディウスさんは、額を押さえながら顔を伏せた。
たぶん、2人の股のシミの事を言っているんだろう。
「く… クソッ!!」
タブは、そう言いながら、懐からあるアイテムを取り出した。そのアイテムが何かすぐ察した僕は、脇目も降らずに、タブへと飛びかかった。
タブへと触れたかと思ったその瞬間、僕はタブと一緒に見知らぬ場所へと飛んでいた。