133話・裏側
僕は、ギルドの場所を知らなかったけど、トヴィさんらが知っていたので、先頭を歩いて貰い、ギルドにたどり着いた。
ギルドに入ると、酒場の方で何が落ちる音がした。
◆
~ノーリが、護衛依頼に出発する前~
「さて、色々あったが、私も出発しますかね。少しの間、任せるよ、マリヤ。」
「はい、分かりました。」
私は、自分がやる筈のギルド業務をマリヤに任せて、護衛依頼の目的地へと出発する。ノーリ君には、入手した情報をギルドに報告するように伝えはしたが、私が直接むかう事は、伝えていない。まぁ、軽いサプライズのつもりだ。私が直接出向いた方が、その後の対応がしやすくなるしね。
それに、一応、ノーリ君に高ランクの冒険者が後をつけると怪しまれるとは言ったけど、ちゃんと安全に考慮して、隠密に優れている直属の部下を数名つけてある。まぁ、ノーリ君に期待してあるので、余程の事がない限り、手を出さないように伝えてあるけどね。
私は、用意させた馬に乗り、見つからないように、ノーリ君たちよりも早めに出発した。
一足早く到着した私は、この街にもある貸馬屋に馬を返し、宿をとって休む。
~次の日~
宿屋で、ご飯を食べていると、ノーリ君につけていた部下が姿を表した。
私は、机の上に、周りに音が漏れないようにする魔道具を置き、部下に話しかける。
「どうだった?」
「予想通り、あ奴らは、行動に移りました。今は、昇格試験を受けていた5名を街外れの倉庫に運びこんだようです。運びこんだパーティーは、そのままギルドの方へむかったようですが、一応人をつけてます。」
「そう…」
「試験者たちを助け出しますか?」
「いや、もう少し様子を見ておいて。他に報告はある?」
「はい。逃亡していた元サブマスターのタブを視認しました。」
「へぇ… 尾行は?」
「つけてます。」
「そう。私は、この後ギルドに行くから、潜伏先の情報が分かり次第、ギルドに報告しに来て。」
「了解しました。」
そう言うと、部下は最初からいなかったかのように、消えた。
魔道具を回収し、私は、ギルドへとむかう。
ギルドについた私は、ここのギルマスと話をつめた後、報告を待っていると部下が姿を表した。
「さて、話を聞こうか。」
「はい。まず、試験者たちは、無事倉庫から逃げ出し、こちらにむかって来てます。」
「そう… どうやって逃げ出したか分かる?」
「すみません。外からの監視でしたので… ただ、試験者たちが逃げ出した後、倉庫を確認した限りでは、倉庫の地下牢で、パーティーの1人と番の2人組を捕縛済みの状態で発見しました。」
「へぇ、そう。詳しい話は、本人に直接聞くからいいよ。そこの倉庫はこっちのギルドに任せるから、放置でいい。それで、タブの居場所は分かった?」
「はい。こちらの商会に身を寄せているようです。」
その商会の簡単な情報が書かれた物を受け取り、さっと目を通す。
「なるほど…」
護衛依頼を出してあるあの商会だった。
「ノーリ君につけていた人員を商会の周りに配置させておいて。私は、ノーリ君から、話を聞き次第、そちらにむかうから、捕縛の準備をしておいて。」
「了解。そういえば、あのパーティーの残りの2人はどうしますか?」
「2人はどこにいるんだっけ?」
「ギルドの酒場で飲み食いしてますね。」
「なら、私が対処しておくからいいよ。」
「了解しました。」
そう言って、音もなく消える。
「さて、私も、ノーリ君の出迎えついでに、捕らえますか!!」
私は、立ち上がり、酒場へむかう。