128話・部屋
僕は、2個目の転移結晶を取り出し、牢屋へと転移する。
転移後、すぐに周りの気配を探ってみるが、こちらへむかって来る人の気配はない。
「よし、行動開始だな…」
僕は、アードちゃんから返してもらったカモフラージュマントを頭から被り、牢屋を出ようとしたが、忘れていた事があったのを思い出したので、雁字搦めにした男の元へ行き、ある物を探す。
ここで、雁字搦めした弊害を感じながら探すが見つからなかった。
「もしかして…」
男から離れ、最初に男を押さえ込んだ周辺を探してみる。
「あった!!」
僕は、床に落ちていたある物… 牢屋の鍵束を拾いあげ、牢屋を出て鍵をかける。
階段へとむかう途中、牢屋の中にいる昇格試験を一緒に受けていた冒険者たちをみて、足を一度止めてしまうが、後で助けに来ますと心の中で誓い、階段を上っていく。
牢屋の鍵束は、彼らをすぐに助けられるように、アイテムボックスにいれておく。
「まずは、出口を探すか。」
逃走経路の確保は大事だと、本で読んだ事があるからだ。
階段を上った先には、左右に通路があった。
立ち止まり、運ばれてきた時の記憶を思い返す。
「たぶん、右だったかな…」
右に曲がり、真っ直ぐ道なりに、進んでいくと横への扉と前の扉を見つける。たぶん、前にある扉が、外へと続く扉だと思う。前の扉の外には、2つの気配が待機している。たぶん、見張りか何かだろう。
「少しまずいか…」
あの男が、ここに入るのを見ている筈だから、いつ確認しに来るのか分からない…
「いや、今さらか…」
とりあえず横の扉の方には、気配はないようなので、気づかれないように、横の扉を開け、中を確認する。
「荷物?」
中には、何かが詰まっていそうな箱がぎっしりと置いていた。何となく怪しさ満点なので、1箱だけアイテムボックスに入れ、扉を閉め、来た道を引き返す。
牢屋へ続く階段の所まで戻り、今度は階段の方から見て、左側へ進んで行く。
少し進むと、次の部屋を見つけた。
中や周りには、人の気配はないので、この部屋も確認する為、扉に手をかけそっと開けていく。
中は薄暗かったが、廊下の灯りが中を照らし出し、部屋の中が目に入った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)
アードちゃんの保護・特別依頼の事・ダンジョンでのアイテム増加の秘匿などで、冒険者たちを転移結晶での救助を選択肢から除外してます。
牢屋がある場所を商会から倉庫のような場所に変更してます。