126話・情報
「わ… 分かったから、早く質問しやがれ!!」
そう言ってくれたので、僕は質問を始める。
◆
「…聞きたい事は、以上です。」
今、僕の思い付く限りの聞きたい事は全て聞いた。
「な… なら、早くそれを寄越しやがれ!!」
いまだに、あそこを押さえて蹲っている男がそう叫ぶ。
「分かった。ここに、置いておくから好きにしていいよ。大丈夫、僕は手を出さないから。」
僕はそう言い、床に回復薬を置いてから、左前方に少し移動する。
「チッ…」
男は、しゃがんだ状態でよって来る。
「あぁ、良い忘れたけど…」
後少しの所で、左手を伸ばした状態で苛ついたような顔のまま僕の方をむいた男の顔… 正確には、顎あたりを振り抜くように蹴りあげる。
「がっ…」
男は、白目をむきながら、バタンッと伏せる。
「足をださないとは、言ってないよ…」
これで、さっきの発言は、なしにしてあげるよ。
「お兄ちゃん!!」
振り返ると、アードちゃんが飛び込んで来たので、倒れないように受け止める。
「危ないよ、アードちゃん。」
「ごめんね…」
「いいよ。それに、さっきはありがとうね。アードちゃんのおかげで、正気に戻れたよ。」
「えへへ… どういたしまして…」
頭をなでた後、
「まだ、やる事が残っているから、ちょっと、待っててね」
「うん…」
アードちゃんを横にずらす。
僕は、アイテムボックスから縄を取り出し、男を雁字搦めに、猿轡もしておく。あぁ、ちゃんと、約束通り回復薬は、床に置いておく。
男を縛った後は、簡単にだが今回の件について、聞き出した情報を取り出した物に、手書きでまとめる。
男から聞き出した情報は、こんな感じ、上3つを書いておく。
・ 護衛依頼を偽っての誘拐は、数年前から行っており、元サブマスターから声をかけられたとの事。
・ 元サブマスター以外にも、何人か共犯の職員がいる。名前も、分かる範囲で聞いている。
・ この男たちのパーティーは、誘拐・輸送の手伝いだけで、誘拐した者が、どうなったのかは聞かされていないとの事。ただ、男が耳にした情報だと、奴隷にされ別の街などで売られているだろうとの事。
・ ここに一人で来た理由は、突然僕から奪った剣が消えたからその事を聞きに来たとの事。
・ アードちゃんの事もそれとなく聞いてみたが、捕まえたのは、男たちのパーティーではないようだ。
「こんな感じかな…」
情報を書いた物などをアイテムボックスにいれておく。
「さて、この後はどう行動するか…」
男から聞いて書いた物だけでは、証拠としては少し弱いと思う。この男を連れていってもそれは変わらないだろう。それに、捕まってある人たちを転移結晶で、ここから連れ出しても、知らぬ存ぜぬを貫き通される可能性がある。かといって、ここでもたもたしていると男の残りのパーティーメンバーがやってくる可能性があるから、早く動かないといけない。
僕は、この後の行動を手早く考え出す。