118話・まさかの…
先程までは、起きておくつもりだったけど、出来る事が、殆どないので、僕は、諦めて眠る事にした。
木箱の中でも、ここまで歩いて来た事や今日の試験の準備などで少し眠る時間を削っていたせいもあってか、そう時間もかからずに、眠りに着いてしまっていた。
◆
ゴンッ
「!!」
突然の額の痛みで目を覚ます。
「どこだ、ここ…」
今、自分がどこにいるのか理解出来なかったが、次第にはっきりと覚醒してきて、今の状況を思い出し、すぐに、周りの確認をする。
僕は、まだ、木箱の中にいる。ある程度の振動も伝わってくる為、まだ、馬車に乗っているのだと思う。
さっきの痛みも、その振動でぶつけたのだろう。
「それにしても、今どの辺だろう…」
気配察知での周りの反応は、寝てしまう前と、数は、変わらない。ただ、今馬車が進んでいると思う方向に、多くの気配がある。
「この気配の感じ、村にしては、人が多い? もしかして街なのか…」
勝手に、行き先は、森奥の隠れ家とかを想像してたので、少し以外だった。いや、良く考えるとそんな所だと、色々と不便か…
「でも、どうやって街に入るんだ…」
街に入る前に、門兵に、荷物を確認されそうだけど…
そう思っていると、依頼者と試験官たちの会話が聞こえてきた。
「おい、先に行って確認してこい」
「分かりました。おい、行ってこい」
「へい」
試験官の1人が、先に街へとむかう。
いったい何を、確認するだ?
そう思っていると、
「おい、確認しに行っている間に、眠らせた奴らが、起きてないか確認しておけ。まぁ、起きても体は動かないと思うが、念のためだ」
「分かりました」
やばっ!!
僕は、すぐ寝たふりをする。
少しして、木箱が開かれ光が差し込む。
「ん? リーダーこいつは、まだ寝てます」
「なら、そいつはいいから、他の奴らも、調べろ。もし、起きていたら、一応手と口を縛っておけ」
「へい」
寝ていると判断された僕は、結局何もされずに、木箱の蓋を閉められる。僕たちの確認が終わる頃には、何かを確認しに行ってた人が戻ってきた。
「確認してきました。大丈夫です」
「そうか、ちゃんと間に合ったな… よし、ならそのまま行くぞ」
「はい」
少しして、馬車が止まる。
外では、会話らしき声が聞こえ、人が入って来る気配がする。
「行動に移すか…」
門兵が、荷物を調べ出したタイミングで、行動に移そうかと思ったが、
「ほら、今回の通行料だ。いつもの如く、見てないふりを頼むぞ」
「分かっている」
な!! まさかの門兵もこいつらの仲間だった。