108話・いざ昇格試験へ
昇格試験の日がやってきた。
御飯を済ませた後、ソフィアと一緒に家を出る。
ソフィアをポリーナさんの所に送るためだ。やはり、1人で家で待たせるのも心配だしね。
ポリーナさんたちにも既に話を通しており、快く引き受けてくれた。
「それじゃあ、ソフィア。ポリーナさんの所へ行こうか?」
「うん…」
ソフィアは、少し元気がないように見える。
何気に、ソフィアと長期間(1週間ほどだけど)離れるのは、初めてだったりする。もっと細かく言えば、学生の頃は、泊まり込みや遠征みたいな事はしなかったし、冒険者になっても、あいつの流した噂のせいもあってか、パーティーも組めず、基本ソロだったので、夕方頃には戻っていたから、1日以上離ればなれになった事すらない。
だからなのか、ソフィアも不安なのかもしれない。なんて声をかけようかなと思っていると、
「ねぇ、お兄ちゃん…」
「どうした?」
ソフィアから、話しかけてくれる。
「手を繋いでもいい?」
「手をかい?」
「うん… 暫く、会えないから…」
「わかった。いいよ。」
そう言いながら、僕は、ソフィアに手を差し出す。
「ありがとう、お兄ちゃん!!」
先程までの態度が一変して元気にり、満面の笑みで、手を握ってくる。
「じゃあ、行こうか?」
「うん!!」
そのまま手を繋いだまま、僕たちは、ポリーナさんたちの所へむかった。
◆
ポリーナさんの所に着いた時は、ダニールさんは、仕事に行っていた。
「それでは、ポリーナさん。ソフィアをお願いします。」
「あぁ、任せときな!! ノーリも無理するんじゃないよ!!」
「はい、気を付けます。ソフィア、あの事は、ちゃんと守るんだよ。」
「うん!!」
ここに来る前に、ソフィアに2つ伝えておいた事がある。
1つは、僕がいない間、極力1人でダンジョンに行かないようにする事。2つ目は、外に出る時は、必ず転移結晶を忘れないようにする事だ。
心配なものは、心配なのである。
「それじゃあ、行ってくるね。」
「はいよ、いっておいで!!」
「いってらっしゃい、お兄ちゃん!! 頑張ってね!!」
僕は、サムズアップで返して、冒険者ギルドにむかった。
作者より(訂正)
アイテム名:転移結晶
説明:結晶に魔力を流す事によって、使用者並びに使用者が触れている人物を予め、指定しておいた場所に、転移させる事が出来る。
希少度:★★★★★★★☆☆☆
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アイテム名:転移結晶
説明:結晶に魔力を流す事によって、使用者の思い浮かべた場所へ転移する。正し、使用者が訪れた場所限定。また、使用者に触れている人物なども転移可能。
希少度:★★★★★★★☆☆☆