97話・特別依頼
僕たちは、帰るのを止め、マリヤさんの話を聞く。
「…ノーリ君。今度、Cランク昇格試験があるんだけど、受けてみない?」
「昇格試験ですか? どんな事をするんですか?」
僕は、試験内容が気になったので、聞いてみる。
「試験内容は、簡単な筆記とギルドが用意する試験官との試合。そして、最後に、護衛依頼を受けて貰うわ。」
「筆記と試合は分かりますが、護衛依頼もですか?」
「そうよ。Cランクからは、護衛依頼を受ける事も出来るから、お試しみたいなものね。一応、ギルドが用意する冒険者が同行する予定になってるわ。」
「そうなんですね… 護衛依頼は、どのくらいの期間なんですか?」
「そうね… 往復で、1週間ほどかしら。」
1週間か…
「護衛依頼の時って、同じパーティーメンバーも同行出来るんですか?」
マリヤさんは、少し困ったような顔をしながら、
「…今回は、出来ないわね。」
マリヤさんの言い方に、少し変に思いながら僕は、ソフィアを見る。
「私は、大丈夫だよ、お兄ちゃん!! ポリーナさんの所に戻ってるから。」
「そっか…」
僕は、そっとソフィアの頭を撫でながら、
「マリヤさん、妹もこう言ってくれてるんで、受けてみます。」
「…分かったわ。なら、その事について説明するから、ついて来てくれる。」
「分かりました。」
僕の後に続き、ソフィアも着いてこようとすると、
「ソフィアちゃんは、ちょっと待っててくれる?」
「着いてきたら、ダメなんですか?」
「…ごめんなさい。」
マリヤさんは、謝るだけで、それ以上の理由を教えてくれない。僕は、何かあるのかなと思い、
「…ソフィア、悪いけどちょっと、待っててくれる?」
「分かった…」
ソフィアを待たせて、僕は、マリヤさんの後に続く。
マリヤさんが、むかった先は、
「ギルマス、ノーリ君をお連れしました。」
「そのまま、入っていいよ。」
「分かりました。ノーリ君どうぞ。」
マリヤさんは、入室せず横にずれ、僕に入るように促す。
「失礼します。」
僕は、1人で部屋に入る。
「いらっしゃい、ノーリ君。立ってないで、そこに座ってくれる?」
「分かりました。」
僕は、ギルマス… グラディウスさんの前に腰かける。
「元気そうで何よりだよ、ノーリ君。」
「はい、何とか元気にやってます。グラディウスさんは、少しお疲れのようですね?」
「書類仕事は、あまり得意じゃなくてね…」
グラディウスさんは、肩をすくめる。
「そうなんですね… それで、僕が呼ばれた理由は何なんでしょうか?」
ソフィアを待たせている事もあり、自分から用件を尋ねる。
「単刀直入に言うと、ノーリ君。君に、特別依頼を受けて貰いたい。」
グラディウスさんは、真剣な顔でそう言ってきた。
作者より(捕捉)
レインボーシープのレイは、そこまで戦闘を得意としない為、家の下のダンジョンでのびのびと暮らしてます。
また、ソフィアへの暴漢対策として、具体的な対策が出来ていない為、外に出る時は、常にノーリと一緒にいます。