95話・身体の変化
どうやら、僕は新たな種族になってしまったようだ。
改めて、体を見てみると、少し引き締まっているような気がする。更に、立ち上がってみると、いつもに比べ少し見える景色が、高くなっているような気もする。
「身長も伸びた… のか?」
男として身長が伸びたのは、気持ち的に嬉しいのだが、伸びた事によって、戦闘時の弊害が出て来るかもしれない。
軽く、剣を振ってみるが、そこまで違和感は感じない。
「これだけじゃ、分からないか…」
後で、またダンジョンに行ってみるか… 伸びたステータスも試したいしな。
でもその前に、何だか疲れたから少し寝るとしよう。
「あ、レイには悪いけど、さっきの果実はあげられないからこれでも食べといて。」
レイには、あんな痛みを味わわせるつもりはない為、餌付け玉を与えて、僕は上に戻る。
上に戻った僕は、自分の部屋に戻らず、そのままリビングのソファで横になった。
◆
「ん?」
今、下から物音が聞こえたような気がした。
「今は、私しかいない筈… お兄ちゃんが帰ってきたのかな?」
でも、2階に上がってくる気配がない。
気になった私は、寝転んでいたベッドから起き上がり、そのまま部屋を出て、階段を下りる。
すると、リビングのソファでお兄ちゃんを発見した。
「お兄ちゃん?」
声をかけるが、反応がない。
近づいてみると、お兄ちゃんは寝ていた。
「あれ?」
寝ているお兄ちゃんが、何か、いつもと感じが何となく違う気がする。
どこが違うのか、ソファのそばで座り込んだまま、ジーと見ていると、
「ソフィア。そこまで見られると、寝れないんだけど?」
「!? お兄ちゃん、起きてた… きゃ!!」
私は、立ち上がった際、前のめりに足を滑らせてしまう。
「おっと。大丈夫、ソフィア?」
私は、咄嗟に座り込んだお兄ちゃんに、抱き締められてしまう。
「だ… 大丈夫!! ごめんね、お兄ちゃん!!」
私は、慌ててお兄ちゃんの腕の中から脱出する。
でも、脱出した後、もう少しだけ、あのままでも良かったんじゃないかと後悔した…
◆
「だ… 大丈夫!! ごめんね、お兄ちゃん!!」
ソフィアは、すぐに立ち上がる。
「そっか、なら良かった。」
「うん… でも、お兄ちゃんどうしてこんな所で寝てるの?」
「ちょっと、色々あってな。悪いけど、このまま寝てるから、少ししたら起こして貰ってもいいか?」
「そうなんだ。分かった、お兄ちゃん。あ、ならお昼ご飯の用意は任せて!!」
そういえば、朝食の準備手伝えないの気にしてたな。
「なら、お願いしようかな。」
「うん、任せて!!」
僕は、そのままソファの上で眠りについた。