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92話・契約 3

 レインボーシープは、入り口の近くで寝ていた。

 僕は、レインボーシープを揺すって起こそうと手を伸ばすが、手が毛に埋もれた。少し頬を緩めつつ、手を引き抜き、顔をつついて起こす。


「メェ…」


「あ、起きた。おはよう。」


 レインボーシープは、うっすらと目をあけ僕を見てきたので、一応挨拶をしておく。

 レインボーシープからの返事はなかったが、起こされた事に怒ったのか立ち上がり、


 コツンっ コツンっ


 と頭突きをしてくる。


「ごめん、ごめん。」


 僕は、謝りながら頭を撫でてやる。


「メェ…」


 レインボーシープは、頭突きを止めてくれる。

 まぁ、軽く当たってるなぁと思う程の威力しかなかったので、あのままでも良かったのだが、動いていると契約がやりにくそうな気がしたので、止まってくれて良かった。

 僕は、契約をする前に、理解はしていないと思うけど、従魔契約の説明をレインボーシープにしておく。

 全て話終えると、契約魔法陣を取り出す。


「それじゃあ、ごめんけど契約するな?」


「メェ!!」


 理解しているか分からないが、返事を返してくれる。

 何となく、"いいよ"と言ってくれたような気がしたので、再び笑顔になりながら、契約魔法陣を書いた羊皮紙をレインボーシープのどこかに当たる位置… 片足の下に敷く。


「それじゃあ、いくよ。」


 僕も、契約魔法陣の書かれた羊皮紙に触れ魔力を流す。羊皮紙に書かれた契約魔法陣が光だす。

 すぐに、光はおさまった。羊皮紙を見てみると書いていた契約魔法陣は消えていた。どうやら、何度も使い回しは、出来ないようだ。


「これって成功でいいのかな?」


 だけど何となくだが、レインボーシープとの繋がりを感じるようになっている。


 "アコ、レインボーシープの状態は、どうなってる?"


『しっかりと、マスターの従魔になってます』


 ちゃんと成功しているようだ。


 "ありがとう、アコ"


『お役に立てて良かったです』


 アコとのやり取りを終えた、タイミングでふと気になる事が出来た。

 アコ曰く、知力が足りないみたいだけど従魔状態での意志疎通って出来るのだろうか?

 僕はとりあえず、レインボーシープから距離をより、


「こっちにおいで。」


 と、呼んでみる。

 すると、レインボーシープは、トコトコトコと僕の方まで歩いて来てくれる。


「お前、僕の言っている事分かるのか?」


 そう聞くと、


「メェ?」


 首を傾げる。

 どうやら、分かる訳ではない… のか?

 やっぱり、アコの言う通り知力が足りないのかもしれない。まぁ、あのアイテムを使えばどうにかなるかもしれないので、この件は一旦置いといて、レインボーシープの名前を決める事にする。

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