88話・従魔 2
僕は、上に戻る。
戻った後は、ソフィアに、ダンジョンに行く事を伝えようと、ソフィアの部屋をノックし声をかける。
「ソフィア、ちょっといいか?」
少し待ってみるも、中から返事はない。
「あれ? 部屋にいないのかな?」
でも、気配察知には、部屋の中に反応を感じている。
もう一度、声をかけるが、やはり返事はない。
「ソフィア、入るよ!!」
何かあったのではないかと思い、扉を開け中へと入る。
「良かった…」
ソフィアは、どうやら寝ているだけのようだった。
僕は、起こさないように、書き置きだけ残してから、部屋を後にする。部屋を出た後は、装備品を整えてから、ダンジョン移動で今攻略している14階層へ移動する。
移動した草原を気配察知に従い歩くと、少し先に草を食べているモンスターを発見する。しかも、遠目からでも分かるあのカラフルな見た目のモンスターは、運の良い事にレアモンスターであるレインボーシープだ。
僕は、恐る恐る近寄っていく。5メトル程の距離まで近づくと、レインボーシープは、バッと顔を上げて僕を見つめてくる。どうやら、気づかれてしまったようだ。
「ぼ… 僕は、敵じゃないよ!!」
通じているのか分からないが、一応そう言ってから、アイテムボックスから、餌付け玉を1つ取り出し、レインボーシープがいる方へコロコロコロと餌付け玉を転がす。だけど、転がす威力が弱かったのか、レインボーシープの2メトル前で止まってしまった。拾いに行こうかとも思ったけど、もう少しでも近づけば逃げそうな雰囲気だから、じっとしておく。すると、僕を見つけながら少しずつではあるが、レインボーシープは、餌付け玉に近寄っていく。
レインボーシープと餌付け玉の距離が、目と鼻の先まで近づくと、視線は僕から餌付け玉にチラチラと移る。そして、匂いをかぎだし、そっと顔を近づけ、パクッと一口で食べ、
「メェーーーーーーー!!」
と急に、吠える。何となく、歓喜しているように見えた。鳴き止むと、先ほどの足取りとは裏腹に、軽快な足取りで、僕に近寄ってきて、その七色の毛を擦り付けてくる。どうやら、成功したようだ。
作者より(変更と捕捉)
67話でのノーリの到達階層11→14
11階層からの出現モンスター
ジャイアントシープ(羊)とブースカウ(牛)など
レインボーシープ
→七色の毛をもつ羊。大きさは、1.5メトル(m)ほど。七色の毛は、僅かにだが、各属性の耐性をもつ。
七色の毛
赤 → 火耐性
茶 → 土耐性
緑 → 風耐性
青 → 水耐性
橙 → 雷耐性
黄 → 光耐性
紫 → 闇耐性
(本来の七色の藍を茶に変更してます)