86話・対策 2
ご飯後は、僕は言った通りに下のダンジョンに移動する。
「ダンジョン移動」
一瞬で、光景が移り変わる。
「おはよう、アコ。」
『おはようございます、マスター』
「ちょっと、相談があるんだけど、今大丈夫かな?」
『はい、大丈夫です』
「昨日ね…」
僕は、昨日の出来事をアコに説明した。
「…てな事があったんだけど、アコはどうしたらいいと思う?」
『マスターは、妹様になるべく危険なく、冒険できるようにしたいという認識で間違いないのでょうか?』
「そうだね。まぁ、冒険者だから、完全に危険を取り除く事は出来ないし、あんまり過保護すぎるのも良くないと思うんだけどね… だから、アコの意見も聞きたくてね。どう、何かないかな?」
『マスターのパーティーは、妹様だけなんですか?』
「まぁ、そんなもんかな…」
シャーロットやアネモスたちは、まぁ限定的なパーティーメンバーみたいなものかな。
『なら仲間を増やしてみるというのはどうでしょうか?』
「仲間か…」
『ダメでしょうか?』
「そのね… 僕あんまり知り合いの冒険者いないんだよね。それに…」
僕は、冒険者ギルド内で、自分がどう思われているのかをアコに伝える。
「だから、いい案だと思うんだけどあんまり、気乗りしないんだよね…」
『そうですか… マスターに、そのような事があったんですね…』
ん、アコの声… まぁ、頭に直接聞こえるんだけど、その声がちょっと、いつもと違う?
「アコもしかして怒ってる?」
『いえ、そのような事はありません…』
「そう? でも、ごめんね、アコ。折角いい案出してくれたのに…」
『マスターは、気にしなくて大丈夫です。でしたら、次の案として、魔獣を従えるというのはいかがでしょうか?』
「魔獣って、モンスターの事だよね?」
『そうです。どうでしょうか?』
「…確かに、モンスターを仲間にするはいいと思うけど、そんなにすぐにモンスターって仲間になるの?」
『確かに、普通なら無理かもしれませんが、マスターならスキルでどうにか出来るのではないですか?』
アコには、僕のスキルについて既に説明してある。
「なるほどね… ありがとう、アコ。」
『いえ。マスターのお役に立てたのなら良かったです』
「それじゃあ、その線で、何かないか調べてみるよ。またね、アコ。」
『はい』
僕は、上に戻ってレシピ検索で調べてみる事にした。
◆
マスターは、上に戻っていった。
『まさか、マスターにあのような過去があったとは…』
私は、先ほどマスターが話してくれた話を思い出し、今までに感じた事のない気持ちが芽生えていた。
『これが、怒りというものなのでしょうか…』
ノーリの知らない所で、アコは成長していた。