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第37回『ダジャレ・その3』(全3回)

 今回は、その他のダジャレの使い方についてです。


 ①ダジャレをくずす


 ショートショートでは、意表をついたり読者が自力で気がつくというのが重要な要素になります。ダジャレとしては苦しくても、ショートショートでは、さすがにそれはわからんわ!、っていう展開や、ああ、なるほどっていう答えがわかる程度のヒントとして使うことで、かえって面白みが得られたりします。


 どこまでくずしても大丈夫かギリギリのラインをせめることも、ある種の醍醐味みたいなところもあったりして。


 ただ、ダジャレは弱い落ちなので、伏線やシチュエーションによるフォローをしたり、複数を組み合わせた多段式にすることがまあ必須です。


 また、崩している場合は、わざとなんだよってアピールするのも効果があります。例えば、登場人物が作中でジョークを言っているというシチュエーションにしたりですね。



「神父さんがラーメンの海苔を追加しててね」


「ふむ、して、その心は?」


「追い海苔、ラーメン」


「ふふふ、それ結婚式場の職員のコスプレでしょ」


「なっ、まさかの替え玉」



 ちゃんちゃん、みたいな。



 さらにバリエーションとして、何度か繰り返していく中で徐々に崩していったり、崩した状態を先に書いておいて、ハテナ?、という状態から元に戻して答えを教える、という方向で使うこともできます。



『ミケさん奮闘記』


「ミケや、この子を見ててくれるかい。」


 幼子かい、ご主人の孫だね。


「にゃーにゃ。」


 物おじしない子だね、抱きついてきて。


「ま…ま。」


 あたしゃ母親じゃないよ。


 これ、耳をハムハムするのはおよし。


「まんま。」


 ご飯でもないよ!


 かいなから逃れ、ひょいとちゃぶ台に。


「おー。」


 って、あんた、何をする気だい。


 お待ち、跳ぶつもりかい。


 それは、あんたには、荷が勝ちすぎるだろう!


 よたよたと、ほら、ごっつんこするよって、危ない!


 服のたるみを咥えて、懸命にひっぱる。


 すとんと尻もち、軟着陸に成功、やれやれ。


「にゃーにゃ。」


 また、性懲りもなく抱きつくんじゃないよ。


「すっかり仲良しね。」


 いや、ご主人…って、もう好きにしとくれ。


「ミケや、大変だろうけれど、もう少し子守を頑張っておくれね。」


 待っ、ご主人、それは…


「おんま。」


 それは、猫には、荷が重いだろう!




 ②落ちとしては使わずに、読者の意識を誘導するために使う


 文章の中にダジャレをみつけると、読者はそこに"引っかかり"を覚えます。ちょっと気になっちゃうんですね。それを利用して、一見して気づきにくい落ちのときにダジャレを絡めて、ここの部分に注目して、おかしなところがあるよ、という目印として使います。



『イワシ』


 サバ、お好きですか?


 〆鯖、煮付け、サバ味噌も良いですね。


 本日の夕飯は、サバの塩焼き、大根おろしがあればもっとよかったのですけどね。


 脂がにじんで、うまうま。


 食後にコーヒー、インスタントですけどね。


 コーヒーはちょっと少なめ、粉ミルクはドバッと投入。こぽこぽとお湯を注いで、割り箸でよくかき混ぜたら、ふーふーしながら一口すすります。


 ほぉーっと一息。


 はうう、サバのアジがする・・・。




 また、ダジャレの引っ掛かりを囮として使うという方法もあります。




『僕の大好きなカスタネット』


「え、えっと・・・」


 じーっ、と見つめられ、無言の圧力を感じる。


「おとしちゃったけれど、壊れてないから。」


 胡乱気な視線に耐えかね、とっさの釈明を試みた。


「楽器だけに!」


 はうっ、効果がない。


「ほらほら、鳴るよー」


 うんたん、うんたん、してみせる。


「壊れて出ないのは、”どの音”だった?」


 なんちゃって、てへへ。


 とか、悪戯っぽい笑顔で乗り切れるか・・・


「そんなんじゃ、ごまかされないからね!」


 ダメでした。


「音階が全部出せてる事の方が、おかしいから!」


 パキャラマド、パキャラマド、パオパオパ




 ③縛りを設ける


 二重の意味の文章にはなっていない代わりに、ダジャレ部分には何かしら法則性を持たせている、というものです。




『墓参り』


「学習をするロボットを作ったって?」


「まあな、今も、その辺散歩させながら言葉を教えていた」


「結構覚えたかい」


「ああ、今朝まで、ハイとイイエしか言えなかったけれどね」


「会話できるのかい」


「まあ、俺の通訳がいるがな」


「すごいな、試していいか?」


「ああ」


「勉強は進んでいるかい?」


「1、11、11」


「はい、ぼちぼち」


「今、ほしいものはある?」


「7」


「かね」


「しょうがないなあ、あげようか?」


「3」


「じいん」


「感動まで口に出して」


「13」


「なんまいだ」


「ぶっ、あまりお小遣いがないから千円で」


「14」


「ごしゅうしょうさま」


「じゃあ、まけてくれる?」


「2、8」


「いいえ、つりがね」


「しょうがない、はい、これあげる」


「3、15」


「じいん、ありがたや」


「喜んでもらえて嬉しいよ、ところで、ほかに出来ることはある?」


「1、8」


「はい、つりがね」


「釣りかあ、最近はいつやったの?」


「16」


「きょう」


「釣果のほどは?」


「5」


「ぼうず」


「あらま、うまくはないんだね」


「9」


「ぶつぞう」


「ごめん、ごめん」


「7」


「かね」


「もうやらんわ!、まったくもう、それじゃあ、苦手なことはある?」


「1、4」


「はい、かいだん」


「お化け嫌いなの?」


「19」


「しょうこう」


「あっ、そっちか、上り下り大変だもんね」


「1、18」


「はい、まいる」


「他には、何か出来ることはある?」


「1,12」


「はい、しゃく」


「お酌できるの、やってみせてくれる?」


「2」


「いいえ」


「そこをなんとか」


「7」


「かね」


「仕方ないなあ、払うよ」


「1」


「はい」


「おっ、大吟醸だね」


「10」


「だいぶつ」


「ああ、だいぶ通か、ありがとう、それじゃお願いするね」


「1」


「はい」


「って、思いっきりこぼしてるぞ」


「あっ、ダメ、水物はまずい!」


「あーあ、おしゃかになっちまったか」

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『HAKO NIWA シークレット!』
 みんな、宝箱には目がないよね?、実はノドも無いから喋れないし、手も出ない、それどころか動けないんだよ、箱だから。異世界に転生したら、私、宝箱になってた。現在、ダンジョンに閉じ込められているので脱出しようと思うのだけれど、一ミリたりとも動けない。でも、動けないなりに頑張って、なんとかレベルを上げる方法を見つけたりして。ただまあ進化先の候補が、寄木細工に、びっくり箱、魔法瓶・・・って、動けないよ!。あれっ、もしかして幸運値が低いとかない?。とりあえず、スキル【ガチャ】は、お願い息をして。これは、箱になってしまった娘の冒険譚。まあ、最初の小部屋から微動だにしていないのだけれど。どうにか工夫して生き残るよ!。追伸、どうも脱出の鍵はロボットが握っているらしいです。

『このヒロイン、実は・・・』
 SF?、ミステリー?、コメディ?、そんな感じの短編です。

『月の音色』

『ほんのり、ほのぼのしてもらえたら嬉しいです』

『みどりの竜』

『いくとちゃんとおじいちゃん』

『誰でもショートショートが書けるという『田丸式メソッド』を改良しました』
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