第36回『ダジャレ・その2』(全3回)
ぶっちゃけ、お話の中にダジャレを盛り込んでいるのではなく、先にダジャレありきでお話の方をそれに合わせて書いている場合がほとんどです。
その場合、どのようにしてショートショートを作っているのかを説明しますね。
まず、ダジャレには使い方があります。
鮭が叫んだ!
これだと親父ギャグです。
ショートショートにするにはこうです。
溺れる、さけ
音ではなく、意味に重点を置き、共通している部分は一つしか書きません。一つ書けば、両方わかりますからね。
ダジャレは、同じ音の言葉を利用して、二つの意味を持たせる言葉遊びですが、一つの文に複数の意味を持たせる完全なダブルミーニングにするには、ダジャレの持つ二つの意味に共通する何かをさらに追加で見つける必要があります。
ダジャレの二つの意味について、どちらか片方だけではなく、両方について連想ゲームをしていきます。
鮭 → 遡上する、クマがくわえている、塩じゃけ、石狩鍋、etc・・・
酒 → ビール、ワイン、焼酎、酔っ払い、梯子、溺れる、etc・・・
こうして、共通点を模索していくわけですね。
さて、一般的には、ダジャレを使った落ちというのは、上記の様な二重の意味を持った文章を用いた話を思い浮かべると思いますけれど、完全なダブルミーニングにするのはなかなかに大変です。それ以外の使い道として、前回、ミスリードとして使うやり方を軽く紹介しましたように、完全なダブルミーニングにする以外にも使い方があります。
①片方の意味だけを説明して、その答えから、もう一つの意味を連想してもらう
「すっごく悪いカンガルーみたいな名前の山菜ってなんだっけ?」
「アクの強いワラビ」
上記は”質問”を利用していますが、”聞き間違い”、”言い間違い”、”嫌味”、”回りくどい言い回しをしてから意味を説明するジョーク”などのシチュエーションが使えます。
前回紹介したミスリードもこれの応用です。
②前半と後半で話の流れが変わるその結合部分として使う
「ねぇ、あそんでー」
「今、忙しいから後でね」
「かまえー」
「ダーメ」
「うてー!」
「なんですと!」
これは、話が通じない相手(小さな子供)を使ったシチュエーションで、整合性が取れなくても仕方がないと思わせるというフォローを行っています。耳の遠い老人とか、わがままな姫とか、言葉が不自由な外国人とかでもいいです。
上記の”言い間違い”や”聞き間違い”も使えますし、他には、”そういえばと思い出す”、”ノリツッコミ”なども使えます。




