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第32回『~とて例外ではない』

 前回は、叙述トリックを応用した”話題の転換をスムーズに行う方法”を紹介しました。


 『一体、これは・・・』ですね。


 今回も叙述トリックを応用したテクニックの紹介をしたいと思います。


 さて。


 太鼓を叩くときには、叩かれている太鼓と叩いているバチとが存在していますね。


 何かの事象を表すとき、受動的なもの(太鼓)と能動的なもの(バチ)とを同時に表しているということがあります。


 何かを渡したなら受け取った人がいる、話しかけたなら話しかけられた人がいる、というように、片方しか描いていなくても自動的にもう片方の存在も表すことになる、という物です。


 これは、描写をする上で重要なファクターですし、叙述トリックにも利用されたりします。


 叙述トリックとして使う際には、例えば、能動側のことを描写していると見せかけて、実は、受動側のことを描写していた(あるいは、その逆)ということができます。


「プレゼントはどうだった?」


 みたいな書き方をすると、貰ったのか、贈ったのか、どちらの場合にも当てはまる書き方になります。これを起点にしてギミックを成立させるわけですね。”プレゼント”の様な一語で、能動的、受動的の両方の側面を兼ね備えた言葉には、他にも”電話”とか”料理”など、色々あります。


 また、受動側と能動側の比率に大きな差が生じる物を利用する方法があります。例えば、”コンサートチケットの予約”などは、予約を受け付ける側よりも、予約をする側の方が圧倒的に多いので、わざと説明を省くことで、読者が自主的に予約をする側だと解釈をしてくれるのを利用するというようなことです。さらに言えば、片方が読者にとって身近ではないことだと、その反対側へと、より誘導がしやすくなります。



 今回、紹介するのは、グループを使った叙述トリックを利用して、話の方向性を急激に変更する方法です。


 話の方向性を急激に変えるというのは、例えば、”持ち上げてから落とす”とか”シリアスからコメディタッチに瞬間的に変わる”という様なことですね。


 グループを使った叙述トリックの手順は、


 ①能動側のことをいくつか列挙します。


 ②そのまま能動側のグループの続きの様なふりをして、受動側のことを書き始めます。


 ③受動側のことを書くときに、”~とて例外ではない”の様なあたかも何か一連のグループの中の一例であるかのような文言を加えておくと成功率が上がります。


 ④実は、受動側のことだったとバラします。


 これで、そのままの流れだと思って読んでいたら、話の方向性がいきなり変わるという書き方ができます。


(なお、能動側と受動側を入れ替えても同じ事ができます)



 実際の例は、こちらを参照してください。


『花火師の憂鬱』

https://ncode.syosetu.com/n4278gf/53/



 ”~とて例外ではない”の様なあたかも何か一連のグループの中の一例であるかのような文言を加えておくというのは、割と重要なことです。


 それによって別の何かと関連づけて説明している物なのだと読者が解釈すると、多少、これまでの流れとは違っている内容だったとしても、やがて関連づけられてつながっていくんだろうなと思って許容してくれるからです。




 ほとんど全ての受動的な描写は、能動的な出来事とワンセットになっているはずなので、意外と応用範囲が広いテクニックです。



 追記

 受動と能動がワンセットであることを利用した叙述トリックは、上記以外にも存在しています。


 例えば、話しかけている描写をして、当然、その相手がいると見せかけて、実は独り言だった、というようなことですね。


 あと、世界情勢の話を赤ん坊相手にしていたなど、行動と対象が一般的なケースと一致しないとかです。


 他にも、物言わぬぬいぐるみに話しかけて擬人化させるなど、いくつかあります。

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