第29回『省略法の応用』&『老若男女の書き分け』
『省略法の応用』
以下は、小説技法のひとつ『省略法』の研究をしていて、その例文として書いてみたものです。
『野球』
「えーっと、公園にある遊具で、てこの原理を使って、ぎったんばったんする奴、なんていうんだっけ?」
「そうか、点取り合戦で楽しかったんだ」
普通は、説明の方が省略されるので、逆に、説明の方を書いて答えを省略してみました。
『ホラー』
「絶対にイヤ!、想像もしたくない」
「そんなに嫌いなの?」
「もうね、銀紙をかみしめるのと同じくらい」
「やめろ、想像しちゃっただろ!」
説明をしなくても読者が”知っている”事を前提に省略するのですけれど、もう一歩進めて、感覚的な物まで呼び起こすことは出来ないかと思って書いてみたものです。
『徹夜で修理』
「あいつ、何かブツブツ呟いてるけれど、あれ大丈夫かな?」
「んー、どれどれ?」
「ぱっきゃまらど、ぱきゃまらど・・・」
「うわあ、こわれてる!」
省略法で省略していい範囲を越えて省略するというのを狙っています。前後の文脈と合わせれば意味が分かるというのが普通の書き方ですが、その前後の文脈も省略してます。代わりに歌の歌詞をヒントとして書いて、読者にそこから自力で連想してもらいます。
以下は、以前にかっぽうに書いた文章をそのままコピーして載せています。
『老若男女の書き分け』
今朝ね、ちょこっと、「普段、書いてないだけで、その気になれば、老若男女のどれでも描写できるから!」、みたいな話を、メールでしたんですね。
それで、まあ折角、文章にしたので、かっぽうにでも載せようかな、という事で。
記号的に老若男女を描写する方法です。
・おじいちゃん
動作の前に、掛け声をいれます。
「どっこいしょ」
・おばあちゃん
ですます調にして、二度繰り返します。
「そうでした、そうでした」
・年配の男性
少し硬い言葉を使います。
休日 → 余暇
ひま → 無聊
みたいな。
・年配の女性
自問自答します。
「えっと、なんだっけ、あ、そうそう」
・若い女性
長音符(伸ばす棒)を使います。
「ねー」とか「もー」とかです。
・子供
セリフの前に「あのね」とつけます。
・幼児
ひらがなにして、てにをはを適宜抜きます。
あと、青年ですが、自分が男なものですから、普通に書くと、自然と男に見えるので、意識してません、すみません。
ちなみに、今朝、私が送ったメールへの返信は、一言。
”若い女性のオカマ感”




