第25回『回文』
何より大切なのは、根気よく、妥協せず、折れない心を持つことです!
必ずできると、自分を信じてください!
ずーっと、ずーっと、ただひたすら回文を考え続ける、そんな休日を過ごしてしまいました。
ご存知だと思いますけれど、回文は、「かるいきびんなこねこなんびきいるか」のように、前から読んでも、後ろから読んでも、同じ言葉になる文章の事です。
通常、回文を、ショートショートの落ちにするときには、先に回文を作っておいてから、それに合わせてストーリーを考えるのですけれど、今回は、あらかじめ小説のお題が指定されていたものですから、内容にあわせた回文を作らねばならなくて・・・、もう二度とやりたくありません、シクシク。
今回は、まず、回文の事は考えずに、普通の文章を書きまして。
その文章の意味が変わらないように、あれこれと単語を入れ替えていき、回文に。
あとは、折れない心と、語彙力の勝負です。
そうして書かれたのが、こちら。
『夏野菜の扉(リレー小説の三回目)』
https://ncode.syosetu.com/n4278gf/23/
ぶっちゃけ、こんな作り方は、おすすめしません。
ストーリー抜きで、回文を作る分には、ここまでの苦労はありませんから。
ショートショート的には、回文の特徴は、読者にバレにくいギミックだということですね。
普通に読んでいると、気がつかずに通過してしまい、あとから、実は、回文だった、と種明かしをして、驚かせる、という使い方をしたりします。
あるいは、どこが回文になっているのかを探すクイズのようにもできますね。
『記念日』
思いがけず早く帰れることになり、妻に帰るコール…からが、一大事。
「ごちそうを作って待ってたから、良かった。」
おーのー!
プレゼント選びに紆余曲折しつ、急くよ、今日は一体何の記念日だっけ?
とにかく、玄関に出迎えてくれた妻に、ガトーオペラを捧げて言う。
「やあ、記念日おめでとう!」
あれ、あきらかに様子がおかしい。
「あきれた、今日が何の日か忘れるなんて…」
なんか、いきなりやらかしたっぽい!
「誕生日よ、あなたの。」
(一行、丸々回文ではなく、途中から途中までが回文になっています)
また、回文にはなってはいないけれど、逆さまに読むと、意味の通る別の文章になる、というのも使えます。
『泣く女』
「ピカソなんて、逆さまにしても、分からなそうなのに、凄い値段がつくんでしょ?」
「何億な。」
さて、回文を作るコツのようなものを、説明します。
といっても、大したことではないのですけれど。
まず、最初に、ネット検索などして、文字数の多い言葉の一覧を表示させます。
文字数の多い言葉としては、例えば、四字熟語などの一覧表は、おすすめです。
それらの言葉を、ひらがなにして、ひっくり返していきます。
もちろん、ひっくり返したら、意味の通る言葉にはならないので、途中で、分割し、そこに何文字か足したら、単語になりそうな言葉を探します。
さかさ言葉として使える言葉が見つかったら、ほぼ、勝ったも同然です。
この時点で、かなり、高度な回文に見えることが、確定的になります。
これぞ、誰かさん、秘伝の技です。
ベースにする言葉が決まったら、さらにいくらか、言葉を足して、長くしていきます。
もうすでに、メインとなる部分が決まっているので、後は、文字数の少ない言葉でも大丈夫です。
二文字、あるいは、三文字くらいだと、ひっくり返しても、言葉になっているものが多いので、あとは、不自然な文章にならないように気を付けるだけです。
この時、さかさ言葉にできる、二文字とか、三文字の候補が、いくつもできるはずです。
今作っていた回文の他に、候補として考えたけれど、使わなかった言葉を組み合わせて、もう、ひとつか、ふたつくらい、別の回文を作ることが出来るかもしれません。
新しく追加で作る方は、短くて、簡単なもので構いません。
候補にはあがったけれど、メインには使わなかった言葉は、メインともいくらか共通点のある言葉のはずなので、同じストーリの中に、取り入れやすいものになっていると思います。
メインの他に、簡単なおまけ的な物でも良いので、使える回文があれば、小説のグレードを上げることが出来ます。
さらに、複数の回文を用意できた場合、見せ方を工夫することが出来ます。
一文で、意味の通る長文を作るのは難しいですが、途中で改行を挟んで、二つの文章を合わせると、全体で一つの回文になっている、というようにして見せることが出来ます。
ちゃんと、一行で回文になっているものを、用意しておけば、二行に分けたものを混ぜても、こういうバリエーションもあるのか、とむしろ、感心してもらえます。
注意点としては、二行に分けたものしかないと、失敗したように見えるので、これをするためには、複数の回文が必要になります。
あと、ちょっとしたコツとして、中央の一文字は、共通して使えるというのを、意識しておくと良いかもしれません。
”わたし、とうろく、ふくろうと、したわ”
真ん中の文字は、”ふ”なのですが、どっちから読んだときにも、ふくろう、と言う単語に使われています。
一文字だけ、ズルが出来るわけですね。
ショートショートで使う回文は、違和感なく溶け込めることが何より大事です。
妥協せず、納得のいくまでこねくり回すことが、一番のコツです。
労力は、きっと報われます。
バレないなれば!
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