第24回『連想ゲーム・その3』
連想ゲームを使って、落ちを作る方法については、以前にも触れました。
今回は、その最終奥義です。
物語の中で、そのシーンのために用意されたネタのように見えて、実は、落ちのための複線でもあったというのを見ると、わぁ、こういうのどうやって考えているんだろう、と思ったりしませんか?
もちろん、作り方は、ひとつではありませんけれど、その基本的な作り方を説明しますね。
まず最初に、ひとことでコツを説明しておきますと、「連想を止めるな」です。
テーマ『夏野菜の扉』
https://ncode.syosetu.com/n4278gf/22/
上記の場合、最初のテーマは、お題として指定されてしまっているので、そこから連想をスタートです。
夏野菜 → 畑 → 案山子 → オズの魔法使い → 虹の彼方に
と、連続して連想しています。
このとき、連想が働くということは、伏線としてのつながりを持てるということに他なりません。
なので、この一連の流れの中から、二つの落ちを作ります。
そのうちの一つが、全体の落ちとなり、もう一つが、そのシーンの落ちと伏線を兼用する事になります。
ただ、連想が離れすぎていては、伏線となり得なくなってしまうので、なるべく、直近の連想で、二つの落ちが作れたときに、この方法が使えます。
ここまでで、第一段階です。
二つ作った落ちの間に、別の場面を入れて、いったん話の流れをそらした後に、最後に戻ってきてつながる、という構成にした方が効果的です。
そのために、話を分岐させます。
このとき、最後の落ちに使ったキーワードから、さらに、もう一段階、連想を進めます。
上記の例文の場合だと、最後の落ちに使ったのは「虹の彼方に」ですので、そこから、もう一段階、連想を行います。
虹の彼方に → 音楽
そうして連想した物と、先ほど、連想した、一連の流れの中のキーワードから連想される物の中に、つながりを持てそうな物を探します。
夏野菜 → 畑 → 案山子 → オズの魔法使い → 虹の彼方に
上記の例だと、「音楽」と「畑」で、直接マッチングしてしまいましたが、直接マッチングできなかったときには、それができそうな言葉が見つかるまで、連想を繰り返してしまってかまいません。最後の落ちの伏線となりさえすればよいので、あとは、話の流れが不自然にならないように持って行くだけで、他のシーンとのつながりは必要ありませんからね。
その意味で、これまでの連想の過程に、最後の落ちと合わせられる物が見つからなかったときには、新たに、最後の落ちからの連想ゲームを続けて、そちらにネタを求めることもできます。その場合、若干、話の流れを誘導するのが難しくなりますけれど、それ以外には、問題ありません。
これで、途中のシーンでひとネタありつつ、それが最後の落ちの伏線にもなり、いったん別の話題に話がそれつつも、それぞれの伏線が最後の落ちに集約される、という構成を作り上げることができます。
『ミケさん奮闘記』
https://ncode.syosetu.com/n6995ge/29/
この話も、同様の工程で書かれています。
今回は、ちょっと複雑な工程を持つ大技を説明しましたけれど、一番伝えたかったことは、連想ゲームは落ちを作るだけではなく、伏線としてのつながりを作るのにも使える、と言うことですね。
毎回、説明がへぼへぼですが、意味は通じていますか?
ショートショートの場合、構成は、伏線を張る順番を考えるのとほぼ同義という話を以前にしていますけれど、なんとなく、その意味もわかっていただけてきたでしょうか。




