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第8回『聞き間違いと言い間違いの補足』

 第5回、第6回の補足。


「聞き間違い」と「言い間違い」についてです。


 この二つは、出来ることが似ています。


 ”若干の違いはあれど、頑張ればどっちでもできる”ので、特徴として挙げるのをためらいました。


 しいて言うなら、得意なのはこっち、みたいなことを補足します。




 隠し事をするなら「聞き間違い」です。


 声に出して言っているわけではなく、聞いただけなので、実は、勘違いをしている状態で、黙って潜伏するのに向いています。


 これは、読者に対してだけではなく、作中の登場人物に対しても、勘違いしていることが伝わっていないという状況を作り出します。


 そのため、登場人物同士の勘違いによるすれ違いネタを書きやすいのは、「聞き間違い」の方です。




 月の音色 テーマ『空耳』

 https://ncode.syosetu.com/n4278gf/20/




 ただ、読者に「聞き間違い」を隠すのは、ちょっと大変です。


 そもそも、聞き間違うためには、”聞き間違う前の正しいセリフ”が必要ですからね。


 そんな時に、使う大技がこちら。


 物語の始まった時点で、すでに聞き間違いが起こった後だった、です。


 物語が始まる前のことは、読者には知りえないので、聞き間違いが起こった瞬間は描写せずに、それよりもあとの時系列からスタートします。


 卑怯な手段ではありますので、伏線によるフォローが大切ですけどね。




 えっと、果たして、これ、例文になるのかわかりませんけれど。






『空き部屋の冒険 名探偵の先生と助手のハチ』


「あ、そこのアルバイトさん、ちょっと待って。」


 本日の名探偵と助手の業務内容は、ビラ配りです。


「えっと、伝言でね、人数分あるので、おのおの好きな衣装を、洗って使って、だって。」


 ところが。


「着ぐるみ・・・ですね。」


 控室には、先生と、私と、若いバイト君に、ぺんぎん、ドラ猫、ネズミの海賊・・・な、なんて危険物を!


「じゃじゃま」


「ダメです!」


 ポロリと口を滑らせたら、ニコニコでもプン!ってなります。


「でもどうやって洗おう・・・」


「ハチは、洗うつもりかい?」


「えっ。」


 先生はご機嫌で動物達の頭を嗅ぎまわり、顔をしかめては笑っています。


「ビラ配りの募集で、洗濯なんてさせないさ。」


「えっと?」


「まだ気づかないかい、伝言ゲームに失敗したんだ。」


「あっ!」


 先生は嬉しそうに。


「私はネコを選ぼう、これを着てみたかったんだ。」


 バイト君も衣装を嗅ぎ顔をしかめています。


「でもやっぱコレは・・・」


 あ、ついにそれを言っちゃう?


「ピッコ」


「ダメー!」






「選択」を「洗濯」と間違えているのですけれど、物語の開始よりも前の時点で、すでに聞き間違えているんですね。


 この話では、最初の発言者と、主人公の間に、第三者を一人挟んでいて、聞き間違えたのは、主人公ではなく、その第三者であり、最初から間違った情報しか渡されないようにしてあります。




 余談ですが、上記の聞き間違いは、同時に、ミスリードでもあって、ギミックが二重になっています。


 えっへん!




 他方、「言い間違い」です。


 聞き間違いのように、間違えるよりも前の時系列に、必ずしも「正しいセリフ」が必要ではありません。


 前ふりの段階では、何かを隠さなくてはならない、とうことがありません。


 場合によっては、いきなり言い間違えてもOKです。


 あっ、伏線がいらないわけではないですよ。物語を面白くするために、伏線は常に必要です。


 そのため、タイミングを自由に出来て、ラストシーンに使いやすい、ということも、第6回で書いています。


 その分、言い間違えが起こったあと、それを隠すのは、少し難しくなります。


 口に出してしまっていますからね。


 また、言い間違えた本人は、本当に言いたかったことは別の事だったと理解していることもあり、勘違いによるすれ違いネタをするためには、一工夫が必要になります。


 例えば、テンパっていて、言い間違えたことに気がついていない、とかです。


 ショートショートでは、ストーリーよりも、シチュエーションが重視されるというのは、こういうところですね。


 必要な伏線を、不自然ではない形で張れるようにします。


 言い間違いが起こったよりも後を描写する場合、間違えたことを、故意にからかわれ続ける、という話が作れます。


 これも、言い間違いをしたのは、物語の始まる前、ということにして、実は、言い間違いをからかわれていた、という種明かしをしてみせる話にしたりも出来ます。




 さて、第5回で、「聞き間違い」は、「正しい言葉」と「間違えた言葉」の二つに分割することができるという話をしています。


 実は、分割するだけではなく、「言葉を合成」することも得意です。


 第6回の例文の『ホワイトデー』が、この合成しているタイプの話です。


 言葉の分割も、合成も、「聞き間違い」「言い間違い」両方で出来ます。


 ただ、言葉の合成は、どちらかと言えば、「言い間違い」の方が得意ですね。


 元々の正しい文章を、大きく壊しても大丈夫なのは、「言い間違い」の方ですから。


 どんなおかしなセリフでも、口に出していうだけなら、可能ですからね。

 普段は、ショートショートでほのぼのコメディ集を連載しています。

 ショートショートの実例がいっぱいありますので、良かったら見てください。

 

 『月の音色』、『ほんのり、ほのぼのしてもらえたら嬉しいです』、『みどりの竜』です。

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『HAKO NIWA シークレット!』
 みんな、宝箱には目がないよね?、実はノドも無いから喋れないし、手も出ない、それどころか動けないんだよ、箱だから。異世界に転生したら、私、宝箱になってた。現在、ダンジョンに閉じ込められているので脱出しようと思うのだけれど、一ミリたりとも動けない。でも、動けないなりに頑張って、なんとかレベルを上げる方法を見つけたりして。ただまあ進化先の候補が、寄木細工に、びっくり箱、魔法瓶・・・って、動けないよ!。あれっ、もしかして幸運値が低いとかない?。とりあえず、スキル【ガチャ】は、お願い息をして。これは、箱になってしまった娘の冒険譚。まあ、最初の小部屋から微動だにしていないのだけれど。どうにか工夫して生き残るよ!。追伸、どうも脱出の鍵はロボットが握っているらしいです。

『このヒロイン、実は・・・』
 SF?、ミステリー?、コメディ?、そんな感じの短編です。

『月の音色』

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『みどりの竜』

『いくとちゃんとおじいちゃん』

『誰でもショートショートが書けるという『田丸式メソッド』を改良しました』
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