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商会預かりの荷を引き渡してからが本番だ。

行商人ナバトととして、此処で荷を仕入れたり、仕入れて来た荷を売り捌いたりな。


むろん、露店にての販売も行うが、その前に雑貨店との取り交わしを行うのが通例となっているんだ。

この交渉にて許可を得ないと露店許可を得られない仕組みだな。


許可を得られたら、数日間有効な看板が貸与されるんだ。

この貸与された看板を掲げていない店は巡回して来た警備兵に捕縛されるため、看板の設置は必須となる。

これは粗末な品を販売させないための取り決めであり、看板を掲げた上で詐欺紛いの行為を行えば、最悪は死罪、軽くて犯罪奴隷になるから注意が必要だ。

まぁ、全うに商売しておけば大丈夫だな。


「むぅ…これだけの良品を仕入れて来なさるとは、ナバト坊っちゃんも腕を上げなさった」

「いや、坊っちゃんは止めてよね。

 それで、これらはさ、この値段で卸すから、そちらの値段は…」

「いやいや、これはですな」


長くなりそうだな。

「ナバト。

 先に宿を押さえておくからな」

そう告げるとな。


「あっ、ちょっと待って!

 村長に空き地の使用許可貰ってダリルの小屋を使おうよ。

 その方が安上がりだし快適だよ。

 僕達だけだから気を使う必要もないしさ」


おおぅ、抜け目がねぇなぁ…

村へ来たら宿って思ってたんだが、言われてみたら確かに小屋の方が色々と快適だったわ。


っても、貯魔機へ俺が魔力を注ぐ必要があるのが手間だがな。

そうしないと、小屋内の魔導具を使うシーン全てに俺が同行しないとならなくなるんだ。


いやな、水を扱う場所、光を扱う場所、不要物を除去する場所とかな。

具体的に告げるとトイレだな。


室内の明かり、シュワートイレ、不浄物を流す水、そして不浄物の分解。

それ以外にも空気浄化なんかもな。


これらの魔導具を動かす魔力は常人にはキツいから、普通は魔石が使用されるんだ。

だが空間へ仕舞うには魔石使用は無理な訳で…

更に空間へ仕舞うと補充していた魔力も抜けるらしい。

貯魔機近くへ張り付けられた張り紙へ書かれていたよ。


俺も他人のトイレに同行はイヤだからな。

だから貯魔機があって助かったよ。


そんな手間はあるが宿よりは設備は充実している。

食事も俺の空間に色々と用意してるしな。

そう考えると、金出して宿へ泊まるのはバカらしいか…


「分かった、村長に許可貰って来るわ」

そう告げて、俺だけ雑貨屋からな。


それほど広くない村なので、程なく村長宅へと。


ドアをノッカーにて叩くと…

「どなたじゃな?」っとの声が。


「隣街のルトラから来た者でダリルと申します。

 村の空き地を使わせて頂きたく、許可を願いに参りました」


「ふむ、不信な者ではないようじゃな。

 開けるゆえ、入ると()え」


そう聞こえた後でドアが開く。

禿頭(とくとう)で痩せ型の老人が現れた。

村長だろう。


髭は綺麗にあたり身綺麗にしており好感が持てる身嗜みだと言えよう。

頬が痩けた顔に人好きしそうな笑みが湛えられていた。


「ようこそザクソン村へ。

 ささ、中へと入りなされ」っと。


村長に招かれ村長宅へと。

玄関から続く廊下より部屋へ。

通された部屋は応接間のようで、それなりに調度が整えられているな。


「使用人が買い出しに出ておってな。

 今は儂しか居らぬのじゃ。

 持て成し出来んで済まぬな」

「いえ、お構い無く」


通りで村長が応対に出て来る訳だ。


「して、空き地を使いたいとのことであったが…宿が取れなんだのかえ?」

「いえ、そういう訳では無いのですが、空き地へ夜営具を出し宿泊したいと思いまして」


「ふむ、なんとも奇特な…

 このような村ゆえ、空き地など幾らでもあるでな。

 ただ、使用許可を示す札を吊るしておらなんだら捕縛対象じゃ。

 札を持って来るゆえ、しばし待つが良い」


そう告げた村長が中座する。

暇になったので魔力循環を行い、次に霊力、気力とね。


終えても村長が戻って来ないため、新たな試みをさ。

魔力、霊力、気力を同時に循環させる試みだな。


最近は各々の循環がスムーズに行えており、出来るかな?っとね。

いやな、各々で行うのは面倒だからさ、ついね。

ダメ元で行いましたが…なにか?


っかさぁ…出来ちゃったよ、をい!

こら今度から鍛練が捗るってもんさね。


3種循環に成功し行っていると村長が戻って来たよ。

「待たせて済まぬな。

 札が見付からず探しておったら家人(かじん)と使用人が戻って来ての。

 易々と出してくれよったわ。


 どうも最近は物忘れが酷くてのぅ。

 歳は取りとうは無いものじゃて」


そんなことを愚痴りながら空き地使用許可の札を俺へとな。


「ありがとうございます。

 出立前には返しに伺います」

そう告げたらな。


「いや、それには及ばぬぞい。

 村を出る際に門番へ渡してくれれば良いでな」

あっ、それで良いんだ…


「テントへ札をぶら下げるのを忘れぬようにの」

そう言われたので、ついね。

「いえ、テントでなく小屋ですけど」ったのよ。


したら首を傾げた村長が尋ねてくるから説明をね。

その説明を聞いた村長が小屋に興味を持ってさ、見てみたいって…

まぁ良いけどさ、ふぅ。

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