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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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邂逅

前回のあらすじ

 ・【太陽の墓場】にいくよ!

 【太陽の墓場】の入り口で気を失った俺が目覚めたのは現実世界。どうやら思いの外時間が経過して強制ログアウトの時間とブラックアウトのタイミングが重なったみたいだ。


 強制ログアウトすると6時間は再ログインが出来ない。そうなるとMPを失い、気を失ったままのアバターはそのまま【太陽の墓場】の入り口に放置される事になる。


 「あー、やらかした。このデスってこのゲーム始めてから初めてじゃねぇの?あーあ」


 自室のベッドの上で寝転がりながらひとりごちる。こうなってしまってはもうやることがない。諦めて勉強でもするか・・・期末試験の不気味な足音も聞こえ始めてるし・・・


 6時間後はどうせ深夜なのでスルーして翌日ログイン。どうせ目を開けたらウノにある俺の拠点だろうと思って目を開けるも目の前は真っ暗闇。


 「ん?VRゴーグルがぶっ壊れたか?」


 思わぬ事態に慌ててログアウトしようとメニューを呼び起こすとちゃんと視界の中にメニュー画面が表示された。


 「ってことは壊れてないのか?」


 どうやらVRゴーグルは壊れてないみたいだ。それならばここはどこだ?バグの中に落ちたか?このゲームはかなり高性能に作られている上に超高性能AIが随時バグがないか監視しているのでこれまでバグは見つかっていない。しかし万が一と言うこともあるのでバグ脱出の機能がついているのだ。そこを押そうとしたところで不意に光が差し込んできた。


 「この光は・・・前に見た次元の扉!」


 目が覚めたは不可思議な空間にいて次元の扉が現れた。こんなことができるのは俺の知るかぎり1人だけ。俺の師匠にしてこの世界最強の一角、「最強の召喚騎士」とだけ明らかになっているあの人だけだ。


 予想通りあの人が現れた。彼はいつもの神々しい微笑を浮かべて俺を一眼見た後徐に剣を抜いて構えた。


 その瞬間、フッと空気が張り詰めた。


 「な、なんだこれ・・・」


 一瞬にして身体中から大量の汗が吹き出る。俺はこの世界でルシファーを筆頭に英霊たち、青龍寺たちプレイヤーの中での強者、レオンたち召喚院にいるこの世界最高峰の武力を持つ人間と対峙してきた。その誰もが戦闘状態で目の前に立つととんでもない威圧を放ってきた。


 しかし、彼は違う。闘気や殺気なんて微塵も発していない。彼はただ自然体で剣を構えただけ。それだけでこれほどまで気圧されるとは・・・。これが世界最強の一角の実力、まさに天下無双を体現してる。


 きっとここで彼がわざわざ俺をこんな空間に入れてこうして剣を構えていることには何らかの意味があるのだろう。なら俺も弟子として期待に応えたい!


 震える体を何とか押さえつけて剣を構える。実際にこうして剣を構えてみるとさらに圧力が増したように感じる。


 俺の様子を見た彼は一瞬驚いたように目をわずかに見開いた。そのまま対峙する。どれだけ時間が経過しただろうか。時間の感覚などすでに消え去り、全身から吹き出す汗が足元に水たまりを作っている。


 額から流れ出た汗が顎を伝い何度目か地面に落ちた瞬間、不意に彼が剣を納めた。そして彼の背後には再び次元の扉が現れその扉の向こうへと消えていった。その際わずかに口元が緩んでいたのは気のせいだろうか?


 「ふぅ・・・めちゃくちゃ疲れた・・・」


 彼が扉の向こうに消えて張り詰めていたものがなくなり地面に崩れ落ちる。それとほぼ同時に空間にヒビが入り始め、あたりを光が包み込んだ。


 目を開けるとそこは【太陽の墓場】の入り口。


 「死んだと思ってたけど・・・もしかして気を失った瞬間にあの空間に拉致られた?」


 何とも都合のいい話だけどそう考えないことには俺がデスポーンしてない理由が思いつかない。そういえばこのゲームで死ぬ時ってブラックアウトじゃなくてホワイトアウトだったような気がしないでもない。あのタイミングを見計ってた?うーん、あの人は半神見たいだし考えても仕方ないか。


 気持ちを切り替えて【太陽の墓場】の攻略を開始するとしよう。メンバーは昨日と一緒だ。英霊たちに最初で気を失ったことを謝罪してから攻略に入る。


 それから1時間後・・・


 「ちょ!待てって!待てよ!早すぎるって!!!」


 俺は本気で戦闘を行う英霊たちの実力をかなり見誤っていた。少し考えればわかることなのに、師匠に会った衝撃で頭が鈍っていたのだろう。


 このダンジョンは階層=レベルだ。つまり1階にはレベル1の魔物しか出てこない。そんな奴ら俺だけでも無双できる。それなのに俺より圧倒的に強い英霊が5人もいたら結果は火を見るより明らか。


 むしろ低層階なんて英霊たちは武器すら使っていない。高速で走り抜ける際に軽くぶつかっただけで魔物が吹き飛び死んでゆく。10階までの俺の役割は一瞬にして死んでいった魔物たちからドロップするアイテムの取りこぼしがないように走ることだけだったよ・・・


 ダンジョンには当然ボスがいる。このダンジョンは10階ごとにボスがいるが俺が10階のボス部屋にたどり着いた時にはすでにそこにあるのは大きめの精霊結晶と召喚結晶だけ。ボス部屋に入ると同時にアナウンスが流れそこで初めてボスの名前を知る。これ、俺が初討伐じゃなきゃ名前知らないまま、ドロップ品とだけご対面になるのでは?


 続く11階〜20階。同じ!終了!むしろペースが上がってるよ!無人のダンジョンを走るだけの簡単なお仕事。スタミナが上がりそうだ。


 20階のボス?知らないよ。影も形もないんだもん。試しにアナウンスを切って見たところ本当に何もわからなかった。あとでログで確認しよう。


 21階〜30階。ますます加速したようだ。もはや戦闘音すら聞こえない。


 31階〜40階。マジで追いつかない。どれだけ早く進んでるんだ?


 41階〜50階。50階のボス部屋の前でようやくみんなに追いついた。どうやらここにくる目的が俺のレベリングだと知っているようで無駄に時間を食わないように配慮してくれたらしい。それでも召喚主を置いていくだろうか?


 流石にレベル的には格下とは言っても相手は魔物。いくら俺や英霊たちのレベルの方が高いとは言っても身体構造的な差は大きく、万が一があり得るためにここで俺を待ってたそうだ。


 ダンジョンに入って最初の戦闘がいきなり50階のボスとか笑えない冗談だが仕方ない。レベル上げの本番はまだ下。これぐらいで躓く訳にはいかない。


 扉の向こうには全身が溶岩で出来た5メートルほどの巨人が鎮座していた。生物の体が溶岩に耐えられるとは到底思えないからあれはゴーレムだな。久々登場の【百科事典】さんもマグマゴーレムだと仰っている。


 「さて、この手のゴーレムは真正面からいくと熱いし、どうせ水属性耐性とかも持ってるんだろうなぁ。」

 

  まぁ、それぐらいは当たり前。それをどうやって攻略するかがゲームの醍醐味だろう。一番ベーシックな攻略法は前衛にバフと回復をかけまくって削りまくる脳筋戦法。シンプルゆえにMPさえもてばほぼ確実に攻略できる。


 「ま、そんなことしないけどね。クリスタ、レイン、アイテムボックスの中にありったけの水を放ってくれ。俺もそれに合わせる。」


 『へぇ考えたわね。』


 『なるほど、空間魔法にそんな使い方が』


 2人は一瞬でこちらの意図を察してくれたようだ。俺はフェルド、ルキナ、アルバセロには牽制程度の攻撃を指示してマグマゴーレムを一定の範囲内に留め、その頭上にアイテムボックスの出口を開いた。


 それと同時に俺を含めた3人のから放たれた魔法がアイテムボックスを経由してマグマゴーレムに降り注ぐ。津波を彷彿とさせるほどの圧倒的な水量の前には流石のマグマといえどもなすすべく、抵抗虚しく一瞬で飲み込まれ冷えて固まってしまった。


 「こうなれば何も怖くないな」


 冷えて固まり、ピクリとも動かないマグマゴーレムをさくっと破壊して50階のボスクリアだ。


 <お知らせします。【太陽の墓場】50階のボス、マグマゴーレムが初めてソロ討伐されました>


 いつものアナウンス。報酬の方はあとでまとめて確認するからそこでアナウンスを切る。どうせ50階じゃろくなもの出ないし適当に市場に流すかな。


 『桃、さっきのは一体どういう仕組みだ?』


 流石に50階も駆け抜けてきたのでここら小休憩を挟む。その時にフェルドとアルバセロが聞いてきた。ちなみにルキナは気がついているようだ。男性陣・・・


 「簡単な話だよ。アイテムボックスに入れるとその時点で水魔法で生み出された水が単なる水としてアイテム化されるんだよ。マグマゴーレムの耐性は水属性耐性で水耐性じゃなかった。つまり水魔法とかは効かないけど海の中とかにぶち込むのは有効なわけだ。それをアイテムボックスと水魔法で再現したんだ。上手くいってよかった」


 『へぇ、変な魔法の使い方してんのな』


 ・・・せっかく説明したのにコメントがそれかい!女性陣はやれやれといった表情だ。まぁ、いいや。1つ有効なアイテムボックスの使い方が判明した。ここから先はレベル上げが始まるゾーン。気合入れていくか。


久々に御都合主義が炸裂しました!

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