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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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六英雄の仲間

前回のあらすじ

 ・ダンジョンの説明だよ!

 レオンから長い長い時間をかけて各地に散らばる精霊結晶を集めることのできるダンジョンの概要を聞いた翌日、いつものようにログインした俺に運営からメッセージが届いてた。


 『親愛なるプレイヤー桃へ

   第2回イベント「No BaseBall No Life」にご参加いただきありがとうございます。イベント結果によって送られる称号が決定いたしましたので送らせていただきます。』


 この運営からのメールを受け取った瞬間にアナウンスが流れた。


 <イベント称号【環境破壊野郎】を取得しました>

 <イベント称号【第2回イベント優勝】を取得しました>

 <イベント称号【第2回イベントベストプレイヤー】を取得しました>


 「」


  思わず絶句。まさかの称号が送られてきた。後半2つはいい。閉会式が長かったので割愛していたが第1回のイベントと同様に優勝した俺とレイには【第2回イベント優勝】が送られることになっていた。


 それに加えて俺とレイはプレイヤー投票で優秀選手に選出されており、その称号も獲得できた。ちなみにMVPは俺と死闘を繰り広げた筋肉塾♂の青龍寺に送られることになった。


 しかし、しかしだ。問題は最初の称号なのだよワトソン君。【環境破壊野郎】って何よ。まぁ、確かに?俺たちが戦った球場は必ずぶっ壊してたし?最後は溶岩を解き放ってアーサーのチームもろとも球場ごと沈めたし?


 心当たりはないことはないがそこまで酷かっただろうか?確かこの称号もプレイヤーの投票で選ばれるものだったはず。・・・うん、他の候補も酷かったけどこれも相当ひどいな。これに投票したやつ片っ端からKILLするか?


 しかしこれには効果があり、環境に対する与ダメージが30%も上昇するのだ。環境破壊をすることなどそうそうないとは思うが、万が一大群に囲まれた時とかフィールドを破壊して逃げることや直接ダメージが与えられそうもないので地形を利用して攻撃する時とかに有効そうなので多めに見てやるか・・・


 と、ダークサイドに落ちそうになった思考を元に戻して召喚院を出るときにレオンに言われたことを思い出す。


 「なぁ、桃。英霊は増やさないのか?君はもうあいつの弟子になったんだろう?名実ともに。それならばもっと英霊を増やしてもいいはずだ。いや、むしろ強くなる上で英霊の数は必須だ。噂ではそれなりの数のボスを倒していると聞く。召喚結晶が足りないということはないだろう?」


 そう、レオンのいう通り、俺はイベント前に解禁されたセカンドジョブに【伝説の系譜】というのを選択していた。これはおそらく称号の【最強の召喚騎士の加護】だったり弟子になったことが要因と考えられる。


 このジョブを選んだことで英霊との親和性が高くなり望む英霊と絆を結べる可能性が高くなったそうだ。身も蓋もない言い方をしてしまえば、ルシファーを当てた召喚ガチャで好きなキャラを引きやすいってことだ。


 「・・・確かにそろそろ増やしてもいい頃なのか?」


 「むしろ遅すぎるぐらいだ。あいつの弟子を名乗るなら数多の英霊と心を通わせ共に戦い適材適所で使いこなすぐらいはしてもらわねばならない。いきなりそれを要求するのは酷な話だから今は英霊の数を増やしてみて欲しい。」


 最強の召喚騎士のことをよく知り、この召喚院を束ねる男の言葉だ。無碍にはできない。


 「それに桃が絆を紡いでいるのはかの六英雄だ。しかも第五階級まで進化を遂げている。彼らの歴史を紐解き、彼らの力を借りれば新たな力を得ることができるはずだ。是非試してみて欲しい。」


 「わかった。試してみる」


 その後レオンに示唆されたように召喚院の資料室へと行き、六英雄の神話について調べた。その中でわかったのは六英雄にはそれぞれ共に生きた相棒と彼らを慕って集まった仲間がいたことがわかった。


 「なるほど。レオンの言っていたのはこれのことか。」


 流石に英霊6人分の各パーティー全員分を集めるのは現段階では不可能だ。でも相棒ぐらいなら召喚はできそうだ。


 そんなわけでログインして称号を受け取った俺は最初にルシファーを召喚したウノの街にある神殿にきていた。


 ゲーマーならわかるとは思うが、一度当たったガチャはなるべく同じ条件で引きたいのだ。二匹目のドジョウを狙っているだけとも言える。


 さらに資料室で調べたところ、最強の召喚騎士さんはあのガチャ召喚陣に英霊の協力のもとでその英霊の魔力を流すことで特定の英霊を召喚する技術を編み出したそうだ。


 しかしこの技術は英霊と心を深く通わせることができる人にしか実行できない技でこの技が公表されてから現在までに成し遂げることが出来た人間は生み出した当人しかいない。あのレオンたち召喚老でも成し遂げていないのだ。


 「そんなとんでも技術を俺ならできるって言ってたけどねぇ。まぁ仮にもあの人の弟子で加護を受けてて、【伝説の系譜】なんてジョブについていれば出来るのかね。物は試しだしやってみるか」


 そんなわけでまずはフェルドを召喚。事情を説明してみる。


 『なるほどなぁ。あいつはそんなことができるのか。いいぜ、やってみよう。俺もあいつともう一度一緒に歩めるのなら、そして戦いに明け暮れていたあの日々とは違う日常を過ごせるのなら、あいつも喜んでくれるだろうしよ』


 「ま、今の俺に言えるのは退屈しない日々を送らせてやるってことぐらいか?」


 『それで十分だ。』


 「なら早速始めようか」


 『おう』


 ルシファーを召喚したときのように台座の上に召喚結晶を置く。すると召喚結晶から眩い光が放たれて部屋の上空に収束する。ここまではルシファーを召喚した時と一緒だ。そして違うのはここから。


 「フェルド!」


 『まかせろ!』


 光が魔法陣へと注がれる前にフェルドが魔力を解き放つ。すると薄らと虹色に輝き出していた光が燃えるような赤一色に染まった。


 『何千年振りかもう忘れちまったがまた俺と一緒に行かないか?今度は戦いだけじゃなくてよ、楽しいこといっぱいしようぜ。面白えやつも一緒にいるんだ。さぁ、俺の声に答えてくれ!また一緒に過ごそうぜ、ルキナ!』


 光が魔法陣に向かって放たれる。ルシファーの時は虹色に染まりそれと同じく虹色の扉が現れたのだが今回は違う。魔法陣は燃えるようなエフェクトを放ち、現れた扉もやはり同様に真っ赤に染まり燃えるようなエフェクトがかかっている。


 そしてその扉がゆっくりと開き、中から1人の女性の英霊が姿を表した。うん、資料でみた女性とそっくりだ。どうやら成功したらしい。


 『私の名前はルキナ。懐かしき声に惹かれやってきた。私を召喚せし者よ、汝は私に何を望む?』


 「俺は召喚騎士、桃。俺の望みはただ1つ、俺たちの仲間となって一緒に歩んでくれ。そして戦いに命を削るのではなくあなた方英霊が命を賭して守り抜いたこの世界を最愛の人と一緒に廻り見てほしい。そのために俺はルキナを召喚したんだ。」


 『・・・いいでしょう。心悪き者では無いようです。貴方のことを主と認め剣となりましょう。』


 ルキナはゆっくりと魔法陣から出てきて俺の前で優雅に一礼。そしてフェルドの方に顔を向けた。


 『久しぶりだなルキナ。随分と待たせちまったみたいだな』


 『えぇ、本当に待ったわよ!』


 そういうなり一瞬にしてルキナの魔力が膨れ上がり、あのフェルドでさえ躱せないほど見事な右ストレートが炸裂し、フェルドを吹っ飛ばした。


 『いいかげん待たせすぎよ!このバカ!』


 ・・・うん、感動の再会になるはずがなんかとんでもないことになっているな?


 『イタタ・・・相変わらずだなルキナ。ま、そんなところも可愛いんだけど』

 

 『・・・フェルド?そんな調子のいいこといって誤魔化そうとしてないかしら?とりあえず正座する?』


 『い、いや!?ちょっと待ってくれ!?俺だってやることあったし、ルキナを狙って召喚できるなんて初めて知ったんだよ!』


 『・・・嘘はついていないようですね。仕方ありません久しぶりに会えたことですし許してあげましょう。・・・会いたかったわ!フェルド!』


 『長く待たせちまったけどようやく会えたな。』


 ・・・何この甘々イチャラブ空間。どこに砂糖を吐けばいいのかな?ルキナがフェルドの顔面をぶん殴った時にも驚いたけど、今目の前で熱い抱擁を交わす2人にもっと驚いているし、さらに言うなら年齢=彼女いない歴の歴史を日々更新し続けている俺の目の前でイチャコラするとかシニタイノカナ?


 でも仕方ないことかもしれない。英霊ルキナ。フェルドが主な活動拠点としていた帝国の第3皇女にして騎士団長でもあった剣の才女。そしてかつてのフェルドの恋人だ。


 フェルドは帝国内を巡り各地で大暴れし多大な功績を残したものの国所属ではなかった。しかし六英雄が六英雄と呼ばれるようになった神々との戦いは世界を巻き込んだものになったそうだ。当然フェルドがいた帝国にも神の先兵は侵攻してくる。その対処に当たっていたのがルキナ率いる騎士団だ。


 最初は数も少なく快勝を続けていた騎士団だが相手は神。次第に劣勢になり始めたところでその場に居合わせたフェルドがルキナの危機を救う。


 それをきっかけに運命に導かれるように2人は幾度も戦場で顔を合わせることになる。国に所属していないフェルドは神出鬼没ではあったが戦いの匂いに敏感で神との戦いにおいては彼の仲間となんども戦場に現れた。


 なんども顔を合わせ戦っていれば自然と距離は近くなる。そしてフェルドとルキナは共に剣の才能に恵まれた者同士。国を守る騎士と冒険者であるルキナとフェルドは時に対立しながらもお互いのことを信頼するようになる。


 過酷な戦いの中で吊り橋効果がなかったとは言えないが2人は恋仲になる。しかしお互いの愛を誓ったところでフェルドは神との決着をつけるために他の六英雄と呼ばれた英雄たちと共に姿を消す。


 一方のルキナは過激さを増す神の先兵の侵攻を防ぐので精一杯となる。


 そしてフェルドたち六英雄が全ての元凶を命をかけて封印したとほぼ同じ頃、ルキナも同じように戦いの中で命を落とした。


 これが六英雄フェルドとその恋人ルキナに関する神話だ。


 フェルドに限らず六英雄に関する神話は悲惨なものが多い。それだけに再会の喜びは一入だろう。


 「さて2人とも、いちゃついているところ悪いがまだ始まったばかりなんだ。悪いが送還するぞ。」


 俺が声をかけるとバッと2人が離れた。どうやら俺の存在を忘れていたようだ。こいつら本当に処すぞ?


 どこか気まずそうに目を逸らす2人を送還する。はぁ、あと5人もいるのか。先が思いやられるぜ。

これで放置した伏線は全て回収したつもりです。何か抜けがあれば言ってくださいな。

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