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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第74話 第3回戦 VS筋肉塾♂④

前回のあらすじ

 ・ルシファー守備無双

 2回の表。打席に入るのは今日は4番で先発起用されたルシファーだ。俺の手持ちの中で最強のルシファーが倒せなければ青龍寺に対しての勝ち目がなくなる。結果は伴わなくてもここで精神的にダメージを与えておきたい。


 まぁ、あの青龍寺が精神的にダメージを受けることなんてあるのか疑問ではあるが。


 「ほう?そなたのその圧。ただの人間ではあるまいな?」


 流石と言うのか青龍寺は一眼見ただけでルシファーが普通の選手ではないことを見抜いた。忘れているかもしれないがルシファーは第7階級とかいうかなり強力な英霊だ。


 今のフェルドたちが第4階級、アークたちが第5階級ということを考えれば相当強力な英霊だ。あれを初回ガチャ的な召喚で手に入れられたのは非常に大きい。ルシファーという圧倒的な切り札がいたからこそ俺はここまで割と無茶な行動ができた。困った時はルシファーに投げれば全てが解決するもんな。


 『ほう、なるほど、一人間の分際でそれほどのまでの闘気を身につけているとは。なかなか見所があるではないか。さすがは異界の神より連れてこられし来訪者といったところか。』


 「・・・そなたにはちとワシも本気を出さねばなるまいな。はあああああ!國士無双流闘気術壱ノ型・さきがけ


 魁、この漢字は「かい」と読むこともできる。その時の意味はかしらや首領といった長を示す言葉だったり、堂々として大きい様を示す。まさに青龍寺にぴったりの言葉だ。


 しかし、青龍寺が使った意味は「さきがけ」だ。この漢字を「さきがけ」と読む場合には合戦において他の者よりも先に敵の中に攻め入ること、あるいはそれを行う人。またその栄誉を示す。現代的に言い換えれば一番槍とかがそれに近い言葉になるだろう。


 青龍寺はわざわざ「魁」という言葉を使った。それには必ず意味があるはずだ。


 青龍寺の闘気がより濃密にそれでいてより繊細に練られ渦を巻く。これまでも十分巨体で筋骨隆々だった青龍寺の体がまたひとまわり大きくなったようだ。


 『なるほど、その闘気術は膨大な闘気を鎧のように身にまとい、それを補助とすることで己の身体能力を爆発的に引き上げる技か。闘気術の根幹は体の内側からの強化。それを【魔纏】のように応用することで更なる力を手に入れたというわけか』


 あ、考えるより先にルシファーに解説されちゃった。


 戦さ場の一番槍は一番死の危険性が高い。そしてその一番槍の戦果はその戦における味方の士気全体に関わってくる。それゆえに一番槍を任せられるのは人一倍武術に長けたものでなくてはならない。さらにはその恐怖に打ち勝つ事のできる強靭な精神力が必要となる。


 青龍寺の「魁」は圧倒的な身体強化。それによってただでさえ強い青龍寺がさらに強くなった。その力はまさに国士無双を体現したかのよう。この状態の青龍寺なら一番槍など余裕であろう。それゆえの「魁」か。


 「魁は体への負担が大きいゆえに使用回数に制限があるが、そなたが相手であれば惜しみなく使おう!」


 魁を使った青龍寺が投げたのはこれまでよりも圧倒的に速く、圧倒的に巨大で、圧倒的な闘気の量を孕んだ純粋なる暴力の権化。


 悔しいが俺がバッターならどうやっても逃げられない。ダメージ覚悟で躱すか相打ち覚悟で特攻するしか手立てが思い浮かばない。


 『確かに強力な闘気だ。だが人間ごときが使えるものがこの我に使えぬとでも?』


 ルシファーが呟いた瞬間、全身から「魁」状態の青龍寺に勝るとも劣らぬ闘気が発せられた。


 「む!?」


 『このまま闘気で押しつぶしても良いが、ここは一つ我が召喚主に技を見せようか。いいか我が召喚主。闘気と魔力には明確な違いがある。魔力はその構成が崩れれば魔素となり周囲に散る。それゆえに再構成も比較的容易だ。しかし闘気は自らの溢れ出す生命力の残滓をエネルギーに変換するものだ。それゆえに一度崩れれば再構成は不可能だ。そして闘気は硬い。それゆえにわずかな量の闘気でも闘気同士が激突すれば削れる。しかと見ておくがいい。魔振・宵の明星』


 宵の明星、それはルシファーの持つ2つの必殺技のうちの1つ。魔法の明けの明星に対して宵の明星は剣の奥義だ。


 第1回イベントの時に初めて見たあの技。一瞬にして無数の剣戟が驟雨となって襲いかかる。明るかったはずの空がルシファーの無数の残像と数多の斬戦で埋め尽くされる。それは避けようのない剣の結界。


 それを魔振として放つ。バットの周囲に無数の剣が生み出されて、一斉に青龍寺の投げたボールに剣が突き刺さる。その剣一つ一つに含まれている闘気は俺の持つ闘気の量とほぼ変わらない。


 しかしその無数の剣は僅かづつではあるが確実に、着実に青龍寺の放った魔球を削っている。


 これは圧倒的な力を持つものを殺す方法。別名「数の暴力」という。圧倒的な力持つ英雄でも死兵の山を相手にすればいつか必ず力尽きる。それを体現したかのような魔振。


 「ぬぅ!」


 青龍寺はルシファーの魔振を見て焦ったような声を出す。そして青龍寺の魔球とルシファーの魔振がお互いの中間で拮抗しあっているところまで走り寄るとなんと驚くべきことに魔球に触れ、闘気を流し始めた!


 「一度砕け散った闘気が戻らぬのなら!再び注ぎ込むまでよ!幸い魔球と魔振が拮抗している。触れるのは容易である!」


 『なるほど、それは正しい考えだ。我が魔振を打ち砕くとしたらそれが最適解。だが、このルシファーの技を甘く見てもらっては困るぞ?』


 青龍寺が闘気を注ぎこんだボールはさらに巨大化していく。その圧はルシファーの放っている剣の雨を蹴散らし始めた。正面から飛来する剣の雨は。


 ルシファーの宵の明星は正面からだけの優しい剣技じゃない。四方八方、半円状に襲いかかってくる斬線の結界。これまで真正面からしか青龍寺の魔球に対抗してなかったからおかしいと思ってたけど、ルシファーのやつ手を抜いていたな?


 「ぐああああ!」


 今度こそ正真正銘の宵の明星が炸裂する。本来ならばボールを囲むように放たれる斬撃が、青龍寺がボールに触れているために青龍寺にも突き刺さる。


 流石の青龍寺と言えどもルシファーの攻撃をボールに闘気を注ぎ込んでいるという無防備な状態で受けてしまっては闘気によるガードができずに瞬く間にHPを減らしてゆく。


 「塾長!」


 このままHPを削り切れるかと思ったその時、キャッチャー(笑)をしていたヒゲのおっさんが飛び出してきた。このおっさん、キャッチャーの役目を放り出してたはずなのに、どこにいたんだろう?溶岩に飲まれた記憶があるような?


 そのヒゲのおっさんは無謀にもルシファーの斬撃の雨の中に自分の被害も厭わず飛び込むと、青龍寺を蹴り飛ばし剣の結界から蹴り出した。


 しかし、その代わりに取り残されたヒゲのおっさんは青龍寺ほどの耐久力があるはずもなく一瞬にしてHPを削られ切った。


 「達磨ヒゲ!何をする!」


 「押忍!塾長はここで倒れてはなりません!あの化物に勝てるのは塾長だけであります!塾長を守るためならば我が身など惜しくはありません!筋肉塾塾長、青龍寺時貞に敗北の二文字はありませぬ!」


 「馬鹿者!なぜ命を投げ出すようなことを!ワシが残っても達磨ヒゲが残らねばどうする!」


 「そう思うのであれば勝利を!それが達磨ヒゲの願いであります!」


 「達磨ヒゲ・・・よし、達磨ヒゲの漢気、確かに青龍寺が引き継いだ!必ず勝ってみせよう!」


 目の前でなんとも男臭い茶番が繰り広げられているが今は試合の最中だぞ?さっさとルシファーはダイヤモンドを一周してホームに帰ってきている。


 「ランニングホームラン!」


 審判がルシファーのホームインを宣言する。これで青龍寺相手に先制できた。そして相手のキャッチャーを潰して。そして青龍寺の闘志をさらに燃え上がらせたようだな。


 ヒゲのおっさんがゲームから除外されたあと、青龍寺はより一層強くなったようだ。ルシファーの後に続くフェルド、ルーセントそしてヴィクティムはなす術もなく打ち取られた。しかしさすがは英霊。全てのボールを華麗に受け流してHPを減らすことはなかった。


 2回の表が終了だ。この後に回ってくる青龍寺をどう抑えるかがこの試合の鍵だな。

おかしいな?この話で終わるはずだったんだけど、余計な茶番が入ったな?


ところでそろそろイベント終わらせた方が良いですかね?長いかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼ひげかー!ww
[一言] 達磨にひげ?……雷電か!!
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