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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第72話 第3回戦 VS筋肉塾♂②

前回のあらすじ

 ・桃VS青龍寺!


今回は少し短めです!切りが良かったので!

 俺の打席の後、いったん球場の修復のために時間が取られた。流石に溶岩の中で投げたり打ったりはできないと運営が判断したのだろう。まぁ、若干一名、溶岩の中から俺にボールを投げてきたとんでもないヤツもいるけどな。


 しかし、続くレイ、アーク共に青龍寺のあのボールからHPを削られないようにするので精一杯で前に飛ばすことはできなかった。


 それほどのボールならキャッチャーも無事ではないだろうと思ったが、そもそもキャッチャーはまともに守備についていなかった。それでも試合が成立する理由は闘気によるボールの拡大。拡大されたボールはストライクとかボールとか関係なしに避けないと死ぬ。


 それを青龍寺もわかっているのかバッターのいる方角程度に投げてくる。しかしそれを見逃したら即死なので魔振を使ってなんとかファールで逃げるしか方法はない。つまり青龍寺が投げている限りほぼツーストライクは確定的だ。


 キャッチャーは決め球の時だけ全力で取りに向かっている。たぶん【不動】あたりのスキルだろう。全身の筋肉をパンプアップしてポージングをとってボールを受け止めているはずなのにノーダメージでしかも受け止める時には「ゴッつあんです!」って叫んでた。ウルせぇ。


 筋肉塾のバッターが打席に入る。どうやら打撃の方は青龍寺が先頭ではないようだ。


 「押忍!筋肉塾1号生切り込み隊長、有地元紀!押忍!」


 向こうの先頭バッターはバットではなく薙刀を持っている。つまり向こうには鍛治師がいるってことか。これはますます侮れないチームだな。


 「薙刀で有地?そしてあの構えは・・・まさか!」


 「知っているか?レイ。」


 「あぁ、あれは有地新影流の構えなはずだ。有地新影流は大野松右衛門(柳生家信)より有地元勝に伝えられ福岡藩に伝わった新陰流の流れを汲む流派だ。大野松右衛門は柳生宗厳の高弟で、さらに穴澤盛秀から薙刀術も学んだとされている武人だ。大野松右衛門は弟子の有地元勝とともに西国に赴き、その武に磨きをかけた。大野松右衛門より新陰流剣術と新当流長太刀を継承した有地元勝はその双方を組み合わせた独自の流派を構築した。それが有地新影流なんだ。現在では薙刀よりは剣術や居合術、短杖術に重きをおいた兵法になっているけど、あれは古来より伝わる薙刀の構えだね。」


 さすがはレイペディア。伊達に黒い歴史を生み出す中学二年生時にありとあらゆる武術の流派を研究していただけのことはない。多分本人も何かしらの武術を修めようと思ったのだろうが現実世界のレイはゲームにのめり込んでしまい挫折していたな。


 「ってことはリアルチート勢か?尚更油断できねぇな。」


 「そうだね。あの青龍寺が自信を持って出してくる塾生たちだ。一筋縄ではいかないだろうね。まぁ、頑張ってくれよ、我がチームのエース君。」


 「おう、任せとけ。」


 皮肉っぽく激励してくれるレイに手を振りながらバッターの方を見据える。薙刀は槍と剣が一緒になったようなものだと思っている。そう考えると基本的な動作は斬るか突くかのどっちか。ならこの魔球が一番いいだろうな。


 「いくぜ!魔球・軽気功!」


 「だいぶ博識のようだが俺の流派は有地新影流にあって有地新影流にあらず!俺の流派は國士無双流薙刀術!塾長の熱き血潮によって生まれ変わった流派だー!魔振・闘気大車輪!」


 それは闘気を受けて巨大化した刃を存分に振り回し遠心力とその重さを持って相手を叩き切る薙刀などの長柄の武器特有の大技。


 もちろん当たればその威力は絶大なものだが俺の魔球は軽気功。今は真っ直ぐに飛んでいるが・・・


 ぶん!タイミングよく薙刀が振り抜かれるが空振り。スルリと俺の投げたボールはまるで薙刀を避けるように刃に当たる直前に風に舞う木の葉のように揺れキャッチャーのミットに吸い込まれた。


 「何!?」


 「そりゃああれだけ馬鹿みたいに振り回せば風が起きるわな。いかに強力な魔振でも当たらなければどうってことないぞ。そら、もういっちょだ!魔球・軽気功!」


 「ふん!ならば鋭く切り裂くのみ!魔振・一刀両断」


 今度は振り回さずに小さく、それでいて鋭く、早くコンパクトに薙刀を振ってきた。しかしそれじゃあダメなんだよ。わずかでも風を起こしたらアウト。軽気功は風の流れで動く技。微風でもなんでも起きたらアウトなんだよ。斬って軽気功を捉えたければ風を超える速度で振るしかない。


 「なるほど、これでもダメか。」


 続けて空振りを奪いこれでツーストライクと追い込んだ。しかしバッターの目には諦めた様子も恐怖の様子も微塵もなく、ただただ闘志に満ち溢れている。


 「これでトドメだ!くらいやがれ!」


 「ふん!二度目まではうまくいったが次もうまくゆくと思うなよ!國士無双流薙刀術奥義!牙突!」


 大振りで空振り、それを修正した小さく鋭い斬撃でも空振りしたバッターが最後に選択するのは当然突き技しかない。神速の突き技ならば唯一軽気功を捉えることができるはずだ。


 「それを待ってたよ。魔球・重死金属ヘビーデスメタル!」


 だからこそ俺は突きを読むことができた。そして突きなら対処が簡単。純粋に重いものを打ち当ててやればいい。だからこそ今度はボールの重さを何倍にも跳ね上げるように【重力魔法】を発動した。


 「グッ!?これは!?」


 バッターからしてみれば容易く貫けると思ったであろうそのボールが信じがたいほどの重量となってバッターに襲いかかる。当然体に掛かる負担も大きく、衝突と同時にバキバキと骨の折れる音が聞こえてきた。


 しかし相手は筋肉塾の切り込み隊長。たかが骨が折れた程度では全く動じる気配すらない。むしろ気合で俺のボールを打ち返そうとしている。


 「ぐ・・・があああああ!」


 そして吠えた。その気合の入った雄叫びで力を振り絞ったのかボールを打ち返した。だが、俺の魔球、つまり魔法はそんな生半可なやけっぱちの気合で押し切れるほど甘くはない。


 ビシッ!ビシビシ!バキン!甲高くガラスの割れるような音が響いて巨大な刃を形成していた闘気が本体の薙刀もろとも砕け散った。あまりの重量にバットの方が耐えきれなかったようだ。


 ふらりと空中に浮いたボールを無造作にパシッと掴み取る。これでワンアウトだ。


 「くそ!」


 折れたであろう両腕をかばいながらベンチに戻る有地元紀。その背中をバシッと一回叩いて次の漢が打席に入ってきた。


 「有地の敵は取らしてもらうぜ、筋肉塾1号生、真田一心。参る!」


 「真田の苗字にその十文字槍。レイじゃなくてもわかるな。かの有名な戦国武将、真田幸村の系譜か。」


 「だったらどうした?」


 「いや、別に。ただ本当に子孫なら話ぐらい聞いてみてぇがそれは今じゃねぇ。ただてめぇをぶっ倒すのみだ!」


 「生憎だが俺だって有地の敵がかかってるんだ。はいそうですかと負けるわけにはいかねぇんだよ!」


 真田の闘気と俺の魔力、それぞれが闘志に反応して膨れ上がる。うん、真田のやつかの幸村の系譜とだけあって有地なんかよりも数段強い!


 さて、どうやって抑えようか。

まさかの3球で1話が終わるとは・・・

ちなみに出てきた武術とかは全て曖昧で大枠だけ引用してますので細かいことはスルーで!


前回の最後、青龍寺はマウンドもバッターボックスも審判も一時的に溶岩に飲み込まれたからとか言って、空中に舞っている桃めがけて溶岩の中からボールを投げたってことです。溶岩の中に入っても無傷とか青龍寺バケモンか?


このイベントは1話が少し短くなるかもしれません!サクサク読めた方がいいかな?と思ったので。

何かあれば感想お聞かせください〜

次回はこの回が終わるといいな・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点] 現実にある流派が出てくるとワクワクしますね(*´v`) [気になる点] 注釈でも入れてくれると小説オリジナルか、現実に存在する武術なのかわかり易かもですね [一言] レイさんが……謎すぎる…
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