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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第68話 第2回戦 VSスナイプ①

前回のあらすじ

 ・モヒカンを粉砕しました。

 俺たちの試合は相当なハイペースで終わったようだ。まぁ、1回の攻防、しかも両チーム合わせて10球ぐらいしか投げてなければそりゃ簡単に終わるわな。


 他のチームの試合が終わったのはそれから30分ほどしてからだった。他の試合が終わるまでの待ち時間で俺とレイは他の注目チームの戦い方をつぶさに眺めることができた。


 「やっぱりアーサーのチームは強いな」


 試合前にレイと確認していた注目チームは全て順当に勝ち上がっていた。その中でもやはりアーサー率いるチームの強さは別格だった。


 「そうだね。チーム人数を最大にして、その中に主な生産職を全部入れてるからね。流石に桃みたいに魔法陣の刻印でなんでもスキルを使えるなんていうチート状況ではないけど、基本に忠実で守備のダメージを減らして攻撃の威力をあげる、まさに王道の強さだね」


 そう、レイの言う通り、アーサーのチームはズバリ王道。このイベントの趣旨をよく理解して生産職をチームに引き入れ、そして戦闘職が火力で殴る。どこの球場でもこのスタイルは王道ゆえに強く、揺らぎにくい。


 まぁ、でも王道があれば邪道はある。ゲーム開始からEX職なんて邪道をひた走ってきてた俺は邪道は得意中の得意だ。まぁ、当たるとすれば決勝だ。それまでにじっくり策を練るとしよう。


 「次の相手はどこのチームだ?」


 「それならさっき決まったよ。予選で注目チームの中にはあげてなかったけど、それでもかなり警戒が必要なチームだね。」


 「へぇ、どんなチームなんだ?」


 「前回イベントの個人第2位、狙撃手の二つ名を持つアカツキ率いる遠距離物理職で構成されたチーム【スナイプ】だ」


=========================================


 第2回戦の対戦相手が無事に強敵に決まり、時間を少し置いて試合会場へと転移する。


 「水の次はここか・・・」


 転移先にあったのはなんの変哲もないドア。そのドアをレイと2人で開けると目の前に広がっていたのは普通の部屋の高さ、だいたい3メートルほどしかないような何か球技をするには低すぎる天井とグラウンド。そう、第2回戦のグラウンドは超低空球場だった。


 このグラウンドのルールを確認する。基本的なルールは普通の野球とは変わらない。しかしこの球場では天井は地面として見なされるために仮に天井に打球が当たったとしてもそのままプレーは継続される。


 ちなみにこの天井には【不壊】というスキルが付与されており、どんな攻撃でも壊れたり、動いたりすることはない。しかし、どちらかのチームに得点が入るとランダムに上下すると言うなんとも悪辣な仕掛けになっている。


 「桃、これは向こうとの相性は最高で、こっちとの相性は最悪じゃないか?」


 「確かに、普通に考えればそうだが、それならそれで戦い方はいくらでもあるぞ。まぁ、細工は流々あとは仕上げを御覧じろってね。」


 1回戦とオーダーは変更しないがこの試合のキーマンが大きく変わる。前回は水のフィールドってことでクリスタの独壇場で決めたのは俺だけど今回はクリスタはもちろん俺にも出番はない。


 でもまぁ、まずは相手を油断させるためにせいぜい道化を演じますかね?トリックスターですし?


 「へぇ、あんたがあの有名な召喚騎士様かい。なんかよく知らないけど神サマの力を使えるんだって?そりゃさぞかしお強いんだろうけどさー、グラウンドが悪かったね。普通に戦えば五分かもしれないけどここはあたいらのホームみたいなもんだね。残念だけど自分のくじ運のなさを恨むんだね」


 初めてあったアカツキだがアバターは胸がデカいけど筋肉質で背の高い、小麦色に日焼けした思わず姐さん!と呼びたくなるような御仁だった。あと胸がでかい。


 「残念だがこちらもここはホームみたいなもんなんだよ。この召喚騎士の名にかけてそう簡単に負けるわけにはいかねぇな。」


 「へぇ、言うじゃないか。ま、せいぜい楽しみにしてるよ。召喚騎士サマ。」


 お互いに口上戦は互角といったところだろうか?コイントスの結果、相手が先攻だ。まぁ、あの性格からすれば最初から魔振を飛ばしてくるかな?


 作戦はすでに伝えてある。この球場なら俺たちに負けはないだろうし、どんどん行こうか。


 先頭はレディーA。うん、主要選手以外なんて全部モブだし覚える気もない。でもモブだからといって油断したら多分簡単にやられるな。それに向こうには腕のいい鍛治師がいるみたいだ。なんかもうバットが弓になっている。


 「プレイボール!」


 「まずは様子見かな?そいっと」


 こいつらを相手に魔球なんていらないな。モヒカン相手にはちょっと調子乗って投げたけどあんまり手の内は見せない方がいいと思う。


 そんな訳で第1球目を投げる。魔球ではないけどレベル60のステータスの乗ったボールだ。現実世界なら女の子には到底打てないであろう豪速球となって襲いかかるがどうやらこっちの世界の女子は強いようだ。


 「魔球じゃないなんて舐めてるの!?それじゃあお望み通り叩きのめしてやるわよ!食いなさい!」


 弓となったバットに番ていた矢を放つ。どうやら魔力でできた矢のようだ。


 「魔振・|弾み跳ね返り加速する弾丸スーパーボール!」


 矢の当たったボールが地面に落ちると同時に跳ねた。なるほど、これは弓のスキルの【跳弾】のようだ。しかも普通の跳弾じゃないな。特殊効果なのかそもそもシステム上そうなっているのか、跳ねれば跳ねるほど威力が増している。


 そして地面を粉砕することで不規則にバウンドを変えているのでうちの守備陣が誰も追いつけなくなっている。


 やっと捕まえたところですでにランナーは2塁に達していた。ふむ、これがあるならあながちここがホームグラウンドって言うのも間違いじゃなさそうだ。


 セカンドランナーが気になるが今は放置でいいだろう。バッターに集中して2球目を投げる。


 「っ!また魔球じゃない!舐めてるの!?魔振・散弾銃!」


 今度は銃か!?バットの先をこちらに向けていたから嫌な予感はしてたんだ!ってか剣と魔法の世界で銃火器はねぇだろ!


 そんな俺の心の叫びは当然聞こえるはずもなく、バットの先から何か発射されるとボールが一気に弾け、あたりに散らばった。


 「くそ!これ1つ1つに当たり判定とダメージがあるのか!」


 慌てて回避するも若干の被弾。やっぱりちゃんとした防具を身に纏ってないとダメージを食らうんだなと変なところで改めて実感するこのイベントの性悪さ。生産職がいないとトップランカーでもあっけなく死ねるぞ。このイベント。


 しかしダメージをくらったのは一番バッターに近かった俺だけのようだ。他の守備陣は軽ーく自前の体術だけで躱し、破片を拾い集めていた。その甲斐あってなんとかアウトにできたが、それでもランナーが進んで1アウトランナー3塁。まぁまぁなピンチじゃない?


 「そして打席にはあんたか。アカツキ」


 「そうさ、あたいはキャプテンだけど主砲じゃないのさ。しっかしまぁ、あれだけ大口叩いて他のに魔球を使わずにそのざまかい。全く、召喚騎士サマってのは単なる噂のようだったね。さて、苦しまないようにここで決めてあげるよ!」


 「全く、よく回る口だな。まだ俺は魔球を投げてないって言うのに」


 「はん!魔球も投げずに打たれてりゃ世話ないね!だったら魔球を投げな!そのご自慢の魔球ごとあたいが射抜いてやるよ!」


 煽りだろう。確かにこれは煽りだ。だからこれに乗らなくてもいいけど、やっぱりここまで言われれば流石にイラッとくるな。それにもしここでアカツキを打ち取れれば相手に与えるダメージは大きいな。


 よし、殲滅するか。


 バッターボックスにアカツキが入る。その手にはやはりバットではなく超巨大な矢が1本握られていた。


 うん、おかしいな?まぁ、弓を持って打席にはいるのも野球の概念をぶち壊しにしてるけどこの人は矢そのものだ。おかしくない?矢で打つの?


 「ま、いいか。どうせ考えてもわからないだろうし。これでもくらえ!」


 俺がボールを投げた直後、アカツキの立っているバッターボックスが競り上がり、なんと中から矢を番るバリスタが出てきた!


 「なんの魔球かは知らないけど、届く前に打ち込む!魔振・雷上動!」


 なるほどそう来たか。雷を纏った巨大な矢が一瞬にして俺の投げたボールを貫き、そのままバックスクリーンを破壊した。


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[一言] 作者のデッド・オア・ストライク ネタが とどまる事を 知らない!
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