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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第63話 もしかしてチートの香りですか?

前回のあらすじ

 ・ステータスを見るよ!

 ・生産系を育てるよ!

 さて、IWOを始めてから初めての生産活動だな。まずは基本事項からおさらいしておくか。確かIWOでの生産でその成果を左右するのはDEXだ。このDEXをベースに就いている職業によって必要となるステータスが変わってくる。


 例えば、鍛治師ならDEXとSTRがその成果を左右する。錬金術師ならばDEXとINTだ。あと、俺が知っている限りでは料理人がDEXとMIDだそうだ。愛情を込めるほど料理が美味しくなると言う精神的な話だろうか?


 ただ、マーチンのようなゴリゴリのおっさんの愛のこもった料理は美味しいとわかっていても遠慮したくなってしまう。男の性だろうか?


 まぁ、マーチンの愛のこもった料理の件は置いておこう。それより今は生産だ。ステータス的には神々の寵愛があるから爆上がり中だ。最初から生産特化でステータスを振っているプレイヤーには到底及ばないけどそれでも普通の戦闘職よりは数値は高いはずだ。問題ないだろう。


 それで次は生産の方法だ。IWOでは生産の方法は全ての生産活動に統一されている。方法は大きく2つ。スキルレベルアップあるいはギルドなどこの世界の住人から教えてもらうことで手に入るレシピに則って生産を行う方法。それともう1つがレシピ無しで気合いと根性で新レシピを編み出すと言う修羅の道だ。


 このオリジナルレシピを生み出すと言う作業が実に厄介な性格を持っているのだ。なぜかって?そもそも来訪者に与えられるスキルは神が作り出した正真正銘のチートだ。この世界で生まれた訳ではないプレイヤー達のもつチートには当然俺たちの世界の情報なんて全て反映されている。


 そして、この世界の住人だって甘くみてはいけない。どこの世界にも己が道を極めんとして人間に生まれながら神になった人間がどの道にもいる。神になるのは戦場で活躍した人殺しや魔物殺戮者の英雄だけではない。いや、その道の人からすればある意味その行為そのものが己との戦いかもしれないが。要するに、この世界にも生産系を極めて神となった人間がいる。


 つまり何が言いたいのかというと、異世界で現代料理無双ヒャッハー!や現代知識でこの世界の料理に革命だ!ってのは無理でオリジナルレシピを生み出すのも到底無理。というより、一般人が思いつくレベルの料理ならすでにレシピとして登録されている。


 さて、そんな生産職の面白いところは全く同じ素材を用いても人によって出来上がる装備の内容が違う。それに加えてレベルが上がれば上がるほどそのレシピの解放と共に組み合わせが存在し、その組み合わせは無限大だ。まぁ、レシピ通りから外れることは難しいけど、隠しレシピも無限にあるらしいので生産職がつまらないってことはないらしい。


 生産職ではない俺からしてみればなんでもいいわな。とりあえず【錬金術】のスキルあげからしますかねー。ウノの街にある錬金術師ギルドに行って初心者用の錬金セットなるものを購入する。


 さらに横に備え付けの売店でスキルレベルあげに使うポーションを大人買い。なんでも【錬金術】の最初の修行は分解なのだそうだ。そして最初のレシピはHP回復ポーション。簡単に言えば、店売りのポーションを分解して錬成を繰り返せばスキルレベルは上がるそうだ。


 初めは1つづつやるしかないが、レシピには習熟度があって、その習熟度がMAXになるとまとめての作業が可能になるらしい。その分出来上がる品物の品質は下がりやすくなるそうだが。


 まぁ。スキルあげだけが目的なので多少品質が落ちたところで店売りする訳でもない。失敗作は失敗作で孤児院とかに寄付すればルーセントも喜びそうだ。


 そんな訳で【錬金術】のスキル上げを開始する。うん、流石にこの辺はサクサク高品質ができるな。だってまぁレベル1なんてゲーム始めたばかりの初心者だもんな。今の俺はレベル60のレベルキャップマンだぜ?流石に楽勝だろう。


 このポーションを皮切りに稼いだ金にものを言わせて素材を買いあさり錬成と分解を繰り返してスキルレベルをあげてゆく。


 しかし、この錬金術、なかなかにじゃじゃ馬スキルのようだ。なにせレシピの範囲に節操がない。ポーションから始まったかと思えば武器や防具、木材加工に果ては料理まで、本職に勝てる品質はできないがそれでも習熟度が上がれば一定の品質で大量生産出来てしまう。


 レシピが多すぎて把握しきれないし、魔物素材を使ったレシピもうんざりするほど存在する。さらに俺の持っている【魔法陣】のスキル、これがあるとさらにレシピが増えるようだ。


 「ふぅ、こんなもんでいいかな?」


 3日ほど鬼ヶ島以外の時間はひたすら【錬金術】【魔法陣】のスキル上げに勤しんだ結果、簡単に手に入る限りのレシピはすでに習熟度をカンストし、かなりの高品質で大量生産ができるようになった。


 それぞれのスキルレベルも40を超えた。【錬金術】の方は解放されるレシピが増えただけだが【魔法陣】さんのレベルアップの恩恵が激しすぎる。


 【魔法陣】スキルはそもそも魔法スキルを持たない人が魔法を使うために編み出された魔道具や錬金術を使う際の1つのツールであり素材だった。それゆえだろうか、魔法陣を展開するというワンクッションはあるものの、燃費は遥かに魔法陣の方が良い。


 しかも魔法陣の組み合わせ次第で自由自在に魔法を操ることができる。いわば魔法陣は魔法を発動するための鉛筆で書かれた設計図。なんども消したり書き足したりできるから自由度が高い。


 もし、魔法陣スキルが普及すれば魔法職の戦い方は変わるな。普通の魔法で時間を稼いで、魔法陣でオリジナルの高火力魔法をぶち込むとかが主流になりそうだ。


 そして【魔法陣】スキルがレベルアップして覚えた技は複数展開・合成・隠蔽・遠距離展開・サイズ変更・高速展開・遅延展開・刻印だった。


 正直に言ってこのスキル、【魔力操作】と同じぐらいにはチートスキルだ。って言うかむしろ魔法職はこの2つのスキルを持ってないとそのうち立ち行かなくなるんじゃない?間違いなく召喚院にいる奴らは両方持っている。


 多分だけどミーシャに瞬殺されたあの炎はこの2つのスキルと魔剣(?)の効果が合わさったものだと思う。そうじゃないとあの展開速度と威力の説明がつかない。


 まず、複数展開で魔法陣を同時に描くことが可能になった。もちろん右手と左手で描くから練習は必要だったけど若き日の黒き歴史を持つあの頃の俺が両利きってかっこよくね?と左利きの練習をしていたおかげで割とすんなり達成できた。


 その複数展開できるようになった魔法陣を合成することでとんでもない相乗効果を生み出すことに成功。だって雷属性と無属性魔法が同時に発動できるんだよ?無属性のマジックシールドを筒状に展開して雷属性で加速させたコインを放てばレールガンだよ?


 そしてその魔法陣を隠蔽できるようになった。まぁこの時は魔法の発動をバレないようにする程度に思っていたが、遠距離展開と遅延展開でその価値が一気に跳ね上がった。もちろん根本はバレないことにあるが自分から遠く離れた場所に設置したり、罠として仕掛けたりする時にこの隠蔽がめちゃくちゃ役にやつ。残念ながら今のところはスキルレベルの低さなのか【魔力察知】では発見できてしまうけど視覚でわからないのはかなり有利だ。


 そしてサイズ変更。これは展開する魔法陣の大きさを自由に変えることができる。威力や効果範囲は魔法陣のサイズによって変わってくるが大きさを変えられることのメリットは大きい。大規模な魔法を放つ時は巨大化した魔法陣で放つ方がMP効率がいいからな。


 極め付けが高速展開。この技を覚えたことにより、習熟度が一定以上に達したレベルの低い魔法陣は一瞬で展開できるようになった。具体的に言えばファイヤーボール程度の魔法陣なら詠唱より早く、無詠唱より遅いぐらい、多分詠唱省略とか詠唱破棄ぐらいの速度で打ち出せるようになった。チートだ!


 最後の刻印、これがある意味一番求めた技かもしれない。この技は魔法陣を魔道具以外のものに刻印できる。そして【付与魔法】とは違ってそのものが壊れるまで永遠に使える。つまり何が言いたいかと言うと、リアル炎の大佐を実現できる!!!


 そんな感じで【錬金術】のスキル上げがいつの間にか【魔法陣】のスキル上げになっていたが【魔法陣】はイベントに向けての切り札になるだろうな。だってイベントではボールとバットでしかスキルを発動できないけど、魔法陣を刻印できればユニホームでもグローブでも魔法系スキルを発動できる。イベントでの勝利はもらったな!


 さらに3日間は【料理】のスキル上げに勤しんだ。勤しむとは言っても、マーチンみたいに料理人ではないので一つ一つ丁寧に作ったりはせずに大量生産だ!街中にある食材をまとめて買い占めて【幻炎】まで使って一気に料理を作りまくる。


 そして出来上がった料理は英霊たちに振舞いつつ孤児院や教会にもばらまく。ルーセントの願いを叶えるためだし、教会の運営は召喚院が行なっている。その召喚院の一員である俺が寄付してもなんら問題はないだろうよ。むしろそっちの方が喜ばれるのでは?


 きっと料理人のプレイヤーはメインの料理とかを量産しているのだろう。スイーツ系は無理だな。だって砂糖などの単価が高い。少なくても教会の転移門が開通されている国では高い。あのブレイバー帝国でもそうだし、召喚院の売店でも甘いものは売ってなかった。


 けど俺の懐はびっくりするぐらいに暖かい。だってイベントでも金もらったし、もうだいぶ出てきてないけど初心者用装備の強化でもカルディアス(ウノの領主)から金もらってるし、さらに各種迷宮で倒した魔物素材を売り払えば余裕でひと財産を築ける。


 まぁ簡単に言うと資本の暴力を使って砂糖などの香辛料をかき集め、ヴォートと甘味に飢えたクリスタの協力のもとで森の中を荒らし周り、蜂蜜を大量にゲットした。


 そしてそれらの素材と牛乳とバターと卵とその他諸々の素材をかき集め甘味を作っては色々なところにばらまいた。まぁ、第1回イベントの時に協力してもらったお礼だな。そしてこれからも狙われるだろうから手を貸してくれってことだ。


 そんな感じで菓子を配り歩いているとレイから連絡が入った。どうやらレイもレベルをカンストしたみたいで転職するから一緒にどうか?とのことだった。うん、予選のレートバトルが開始されるまで後3日しかないし、練習もしたいからレイと合流するかな。


 俺はレイに了解の返信をして転職できる王都へと転移した。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] > 無属性のマジックシールドを筒状に展開して雷属性で加速させたコインを放てばレールガンだよ? 筒ならリニアガンか、コイルガンかな? レールガンはレールに電圧をかけて、弾体を乗せるとロー…
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