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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第57話 トレスのダンジョンー6

前回のあらすじ

 ・レイの強化

 ・レインボーウルフ参戦

 ・桃ピンチ!!!

 「クソが!獄炎の帳ヘルブレイズ・カーテン!」


 ほとんどチャージの時間なく放たれたレインボーウルフの攻撃。俺はとっさに全てを燃やし尽くせる【獄炎】をカーテンのように前面に展開して攻撃を防ごうと試みる。


 「ぐっ・・・ぐあああああ!!!」


 しかし英霊の属性攻撃を吸収したレインボーウルフの攻撃は俺の【獄炎】程度では防げるはずもなく展開していた【獄炎】は跡形もなく消し飛ばされ魔力の奔流が俺に襲いかかる。


 「くそが・・・」


 想像を絶する衝撃に俺はなす術もなく弾き飛ばされHPを9割以上減らされる。各種フォースで耐性を高めて【獄炎】で軽減した上に俺のチート防具があってこのダメージ。舐めてた訳じゃないけど流石にこれは予想以上だな。


 『桃!くそ!聖炎陣』

 『エクストラヒール!』

 「ハイヒール!」


 フェルド、ルーセント、それからレイが吹っ飛ばされた俺に回復を飛ばしてくれる。これで気が付いたがレインボーウルフの属性吸収は自身に向けられた攻撃だけにしか適用されないみたいだ。


 「悪い、もう大丈夫だ」


 「今の桃のステータスでもそこまで削られるんだね。しかもほぼノータイムで撃ってくるし。あれにはかなり要注意だね。」


 「あぁ、けどあれだけの攻撃をノーコストで撃てるとも思わないな。多分だけどあの水晶に全ての属性がチャージされた時に撃てる技なんじゃねぇの?」


 「その線は悪くなさそうだね。けどあの水晶とレインボーウルフの口から放たれてるから別物って考えた方がいいかも。それと全ての属性じゃなくても一定以上の魔力が水晶に溜まったら放てる、これぐらいに考えておいた方が良いと思う。」


 「そうだな」


 俺とレイが話している間に六英雄たちが攻撃を試みている。すでに基本属性は通用しないのは確定しているので今度は上位属性とそれ以外の魔力を用いた攻撃を試しているようだ。


 しかしその結果も芳しくない。どうやらレインボーウルフの体毛は魔力を弾くようになっているみたいで、吸収されていない雷や氷などが直撃しているがダメージはなさそうだ。さらに拘束のために放った樹魔法も強靭な肉体で力任せに引きちぎられてしまった。


 「魔法系は全滅って考えても良さそうだな。ヴォートの歌唱によるデバフも効果無いようだし。」


 「そうみたいだね。ってことは物理で攻めるしか無いね」


 「ルーセント!こっちの指示を全員に教えろ!属性攻撃は封印!純粋な物理攻撃だけでレインボーウルフをひねり潰すぞ!」

 

 『総員傾聴!我らが召喚主よりの伝令!属性攻撃は封印!純粋な物理攻撃だけでレインボーウルフをひねり潰せ!』


 『『『『『おう!』』』』』


 「それじゃあ俺たちも行きますか!」


 「そうだね!」


 俺とレイはそれぞれ武器を手にとってレインボーウルフへと駆け出した。レイが【縮地】を連発して距離をあっという間に詰めれば俺は【空間魔法】の短距離転移で頭上へ飛ぶ。


 レイが迎撃に振り下ろされた右足を飛んで躱し、【空歩】で空中を踏みしめてその目をめがけて突きを放つ。それを嫌がったレインボーウルフは顔を振って避けようとするが頭上には俺。そんなことを許すはずもなく脳天に剣を叩き込む。


 「なに!?」


 残念ながらこれは通用しなかった。俺の脳天への攻撃は通ったものの、レイの目への突きはなにやらシールドのようなもので防がれていた。


 「レイ避けろ!」


 空中で一瞬だが動きが止まるレイ。その隙をレインボーウルフが見逃すはずもなくその場で一回転して遠心力の乗った尻尾をレイに叩きつけた。俺は咄嗟に魔力糸をレイにくっつけて壁に叩きつけられないようにフォロー。それからすぐに【聖炎】でレイを回復させる。


 「大丈夫か?」


 「うん。僕としたことが油断したね。でもこれではっきりわかったよ。レインボーウルフ本体の属性は無属性だね」


 そう。レイの刺突を防いだのはマジックシールド。そして今もなお英霊たち6人を相手に立ち回るその速度や攻撃力は身体強化で強化されたものと考えるのが妥当だろう。


 「さて、魔法は無効化、生半可な物理攻撃は通用しないと。どうする?桃」

 

 「うーん、本当ならチートには頼りたくないけど今は先に進む方が優先だからな。仕方ないか。みんな戻すぞ!」


 俺は六英雄の英霊を送還する。類稀なる強さを誇る六英雄の英霊だがその本質は属性攻撃と物理攻撃の合わせ技にある。言うならば全員が魔法戦士。魔法を封じられても十分に戦えるがどうしても実力は落ちる。


 「頼むぞ、ルシファー!」


 それまで攻撃していた六英雄が突然消えたせいでヘイトが俺たちに移った。けどこれでもう大丈夫。俺が誇る最強の英霊がたった今このダンジョンに降臨したのだから。


 『ほう、レインボーウルフか。これはまた珍しい魔物だな』


 「知っているのかルシファー」


 『当然だ。あれはなかなか稀有な魔物でな、その毛皮の美しさと性能の高さから我の時代でも重宝された魔物だ。あれを狩れるだけの実力があるものは少なかったがそういった輩は往往にして突き抜けていてな、乱獲の末姿を消したと風の噂で聞いたがまさかこんなところにいるとはな』


 「あの、ルシファー。聞かせてくれるのはありがたんだけど、そろそろ攻撃を防ぐのがきついんですよ。」


 そう、ルシファーが懐かしそうにうんちくを垂れている間に俺とレイはそれはもう必死になってレインボーウルフの攻撃を防いでいた。


 いやね、俺とルシファーはなんかこう召喚主と眷属の繋がりみたいなのがあってファンタジーなシステムが仕事をしてくれているおかげで戦闘中でもこうして普通に話しているように見えるけど、実際はそんなに和やかな雰囲気じゃ無いからね!?


 属性攻撃は封じたのでレインボーウルフが本来持つ強さだけだけどこれがまた強い強い。飛ぶ爪の斬撃は飛ばしてくるわ、余裕で空中を翔けるわ、挙げ句の果てに口から衝撃波と無無属性のブレスを放ってくるわでもうてんやわんや。


 しかもこいつの攻撃は【獄炎】は軽く吹き飛ばしてくるし、マジックシールドは素通りしてくる。こうなると避けるか【魔力操作】で威力をマシマシにして迎え撃つしかない。MPが回復速度を追い越してゴリゴリと削れてゆく。


 「ちょっと!ルシファー!まじでやばいんだけど!!!」


 『ふむ、確かに今の我が召喚主とその仲間では無理だな。今後の参考にするといい。この我の狩り方を見るといい。』


 ルシファーはその場から一瞬でレインボーウルフの目の前に移動した。突然現れたルシファーに危機感を覚えたのかレインボーウルフは即座に距離を取ろうと口から多弾ヒットする衝撃波を放った。


 『レインボーウルフの最大の武器は基本属性を全て吸収して己が力に転換する水晶だ。それ以外は普通の犬っころとたいして変わらん。そして無属性の攻撃には無属性の攻撃で相殺してやれば良い。まぁ、我は属性など使わなくとも切れるがな』


 そういって無造作に剣を振って衝撃波を全て剣圧だけで打ち消した。


 『そして仕留める時は属性攻撃ではなく、物理攻撃を放てば良い。マジックシールドなどを小ざかしくも使ってくるが、所詮は獣の使う魔術。構成が甘い。その脆弱な点を突いてしまえばこのように脆くも崩れ去る。』


 ルシファーが剣を振るう。レインボーウルフはレイの時と同じようにマジックシールドを出して防ごうとするもルシファーが軽く剣でマジックシールドに触れただけで甲高い音を響かせてレインボーウルフのマジックシールドは崩れ去った。


 『こうなってしまえばレインボーウルフに身を守る術はない。あとはトドメを刺すだけだ。【宵の明星】。』


 マジックシールドをいとも簡単に砕かれたレインボーウルフ。ルシファーの圧倒的な実力を前にただただ怯えることしかできない。ルシファーはイベントで俺に放った斬撃の嵐をレインボーウルフに浴びせかけた。


 無数のルシファーの残像がレインボーウルフに襲いかかり、一瞬でレインボーウルフのHPを削り切り、その姿をドロップへと変化させた。


 <おしらせします。「獣魔混生」の25階のボス、レインボーウルフが初めて討伐されました。>


 『どうだ?参考になったであろう?』


 圧倒的なルシファーの実力に俺とレイは唖然とする。得意げにこちらに戻ってくるのと同時にアナウンスが流れる。


 「桃、やっぱり君ってチートだねぇ」


 「・・・否定できねぇな」


 こうして俺たちは25階を攻略したのであった。


次の話でダンジョン編が終わるかなと思います。

そしたらいよいよお待ちかねのイベント第2弾だ!!!

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