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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第6話 無自覚な問題児

前回のあらすじ

 初めて戦闘をします

 玲は強いです

 レベルアップします

 トリップしたレイを放置して彷徨うこと1時間弱。こっちの世界だともうそろそろ日が暮れる頃合いだ。現実世界ではそろそろ日付を超える頃だろう。確か現実の3倍の速度でゲーム内の時間が進んでるとどこかに書いてあったが、俺はそういうの考えるの苦手なので慣れないうちはゲーム時間と現実時間の双方を視界の邪魔にならないところに表示している。


 そんなことはどうでもいい。肝心なのは今俺の目の前にいる黒いウルフだ。レイがトリップしている間に何をして待っていようかと考えた結果、レベリングとプレイヤースキルを鍛えるためにウルフ狩りでもするかということになった。


 初期装備は破損も消耗もないので見つけ次第問答無用で狩り続けた。最初はここにレイと来た時と同じように2頭から5頭の群れだったけど数を倒していくうちに群れの規模が5頭から10頭と少し大きくなり他のウルフより若干体がデカく灰色の毛並みをしたグレイウルフというのが混じるようになった。


 グレイウルフはこれといって普通のウルフとは違いなく体感ではステータスが一割増しになった程度だった。攻撃パターンも全く同じだったので難なく倒すことができた。


 さらにグレイウルフが率いる群れを10個ほど潰したときにそいつは現れた。通常のウルフよりも大きかったグレイウルフよりさらに大きい体躯に全身を覆う漆黒の毛。


 グレイウルフとは明らかに違う格の差にさすがにヤバいと感じた俺は一度距離を取って鑑定を発動。この一時間でそこそこレベルが上がったはずの鑑定でも『ブラックウルフ』という名前しか見えなかった。


 「これまで一切見かけなかったし一定数ウルフを狩ると出て来る群れのボスってところか?さすがにやり過ぎたか。」


 後悔していても仕方ないので剣を構える。普通のウルフやグレイウルフ相手ならばすでにカウンター主体ではなくこちらから攻撃を仕掛けていけるがさすがにブラックウルフ相手には無理だ。


 間髪入れずにブラックウルフが飛び掛かってきた。想像以上に速い!グレイウルフよりさらに速度が上がっていて普通のウルフの倍ぐらいの速度は出ている。


 咄嗟に地面に転がって攻撃を躱す。外れたブラックウルフの攻撃は俺の後ろにあった木に深い爪痕を残した。


 「流石にこれは厳しいな。ぶっつけ本番だけど仕方ない。まだここで死ぬわけには行かないんでね【逆境】【限界突破】【覚醒】発動」


 俺はついさっき称号でもらったステータスをあげるスキルを全て発動する。HPとMPが半分になる代わりに俺のステータスは4.5倍だ。


 「悪いが一瞬で終わらせてやる」


 地面を蹴ってブラックウルフ目掛けて駆け出す。ステータスが底上げされているだけあって今まで以上に体が軽く力が溢れてくるようだ。


 ブラックウルフは急に様子が変わった俺を警戒しつつも迎撃するために俺目掛けて走り出した。その速度はさっきと同じぐらいだろうが、ステータスが底上げされた俺からしてみればウルフのそれとほとんど大差ないように感じられた。


 そんなことを思っても余裕かましているほど時間があるわけではない。


 「そっちから来るなら好都合なんだよ!」


 結構な速度でお互いに動いているために俺とブラックウルフの距離があっという間に消え失せる。お互いの間合いまで後わずかとなった瞬間に【瞬歩】を発動。ブラックウルフが俺を見失ったその瞬間にその目へと剣を突き刺した。


 俺の速度、ブラックウルフの速度、そして瞬歩の勢いが全て乗った俺の剣は根元まで綺麗に突き刺さり、一撃でブラックウルフのHPを全損させた。


 ポリゴンへと姿を変えるブラックウルフを横目で見ながら発動していたスキルを解除する。途端に疲労感がどっと押し寄せて思わず座り込んでしまう。


<お知らせします。ウノの街のフィールドボス『ブラックウルフ』が初めてソロ討伐されました>

 

おぉ!?突然流れたワールドアナウンスに驚きの声を上げる。ってこれ間違いなく俺のことか。このゲームのボスは街と街の行き来を阻害するエリアボスと各町付近のフィールドに出現するフィールドボスがいるってレイが言ってたな。


確か、先に進むだけならエリアボスさえ倒せばいいけど地味にフィールドボスとエリアボスは関係があったりするらしい。例えばフィールドボスの素材から作る装備がエリアボスへの特攻補正が付いたり、フィールドボスの討伐数でエリアボスの難易度が変化したり、βテストではそのエリアにいるすべてのフィールドボスを倒さないとエリアボスが出現しないなんてこともあったそうだ。


<ボスソロ討伐初回撃破報酬『黒狼のブーツ』を獲得しました>

 <称号【ウルフスレイヤー】を獲得しました>


 <ブラックウルフの毛皮×3を獲得しました>

 <ブラックウルフの牙×3を獲得しました>

 <ブラックウルフの爪×4を獲得しました>

 <ブラックウルフの魔石を獲得しました>

 

 <職業アイテム:召喚結晶×5を獲得しました>


 おお!こっちも予想以上の戦果だな。さすがはボスだけあって報酬も結構手に入った。それに初回撃破報酬で装備が手に入ったようだ。


 黒狼のブーツを調べてみるとAGI上昇の効果を持っていた。俺の職業がどのステータスに特化するかはいまいちまだよくわからんが、AGIは上げておいてそんはないはずだ。デザインもかっこよくて俺としては大満足。


 そして問題なのが職業アイテムとやら。召喚と名前がつくアイテムだけど使い道はさっぱり。インベントリで確認しても『現在使用できません』って表示されている。……カインかサーシャに聞くとしよう


 報酬の確認も終わったところでほっと一息つくと時間はもう24時を過ぎている。そろそろ戻るかと思っていたところにレイからフレンドコールが届いた。


 『…一体どこをほっつき歩いているんだ?君は』


 「いや、お前があーなったから俺はその辺散策していただけだぞ。そうそう、さっきのブラックウルフのワールドアナウンス、あれ俺だ。」


 『なっ!?…はぁ、全く君は次から次へととんでもない事をしてくれるね。まぁ、ブラックウルフについてはまた今度聞くとして、さっさと川辺に帰ってきたまえよ。聞きたいことが沢山あるんだ。』


 言い返そうとしたときにはすでにコールは切れていた。全く相変わらず身勝手な奴め。まぁ、このゲームを譲って貰っただけの恩はあるし今回ばかりは大目に見るか。


 川辺に戻るとレイは一時間前に見た格好のままログウィンドウを表示して掲示板を眺めていた。

 

 「やっと戻ってきたみたいだね。単刀直入に聞くけど、どうやってこの召喚騎士なんて職業に就いたんだ?」


 「何をしたって言われてもな。お前には言ったかもしれんが俺はサモナーになりたかったんだよ。それで召喚術をベースに好きにスキル組んだだけだ。そしたら召喚師だけじゃなくて召喚騎士っていうお前から聞いたことがなくて、まとめサイトでも見かけなかった職業があるから正規版から実装された職業だと思ってそれを選んだだけだぞ。」


 「ふむ、その話からすると最初に選ぶスキルに隠し条件でもあったようだね。ボクの予想だけどどうせ君が好きなように選んだってことは後先考えない普通の人からすればクソビルドだったんだろ?」


 「いや、クソビルドってお前……。まぁ、でもスキルの成長効率を考えなかったのは確かだな」


 「やっぱりそうか。多分、EX職がこの段階で出たのはそう言った人たちへのある種の救済措置だろうね。いくらIWOが自由なゲームとはいえ、流石に街を移動しないことには成長できないからね。ほとんどの人はある程度の方向性と成長を考えたビルドにするはずだ。けど、ごく稀に君みたいに何も考えずビルドを組む人が出てくる。ま、ある種のユーザー離れ防止ってところだろう」


 「運営の思惑は俺には分かんねぇや。それで俺がEX職だってことは隠した方がいいと思うか?あと称号も」


 「今の所は隠した方がいい。間違いなく妬み嫉みの対象になるぞ。PKにも狙われやすくなるはずだ。掲示板にも晒されて一躍時の人の仲間入りだね。」


 「げっ、それは面倒だな。そうなるとプレイヤーでフレンド作るのはレイ以外難しいな。まぁ、もともとぼっちプレイするつもりだったからいいけどさ。」


 「現実でもゲームでもぼっちか君は。かわいそうな人だ。ボクがいなければどうなっていたことか」


 「はいはい、感謝してますよ。唯一無二の親友さん。」


 「……っ!ま、また君はそうやって恥ずかしげもなく。ん、んん。それで召喚騎士ってのはどんな職業なんだい?」


 「情報を聞き出そうとしても無駄だぞ。なにせ俺だって全然よく分かんねぇんだから。召喚師なら初めてログインした時に横に従魔がいるはずだろ?俺はいなかった。この時点でもうお手上げだ。」


 「むぅ、それは確かにどうしようもないね」


 「そう。だからPvPに向けた情報収集なんてのは無駄だぞ」


 「はぁ、やっぱり君はゲームのことになると勘が鋭い。気づかれていたか」


 「当たり前だろ、腐れ縁なめんな。でも、まぁ、相談に乗ってもらったし、ブラックウルフの情報を教えるからそれで勘弁な」


 「仕方ないなぁ。まぁ、それで勘弁してあげるよ」


 レイはまだ何か隠しているんだろ?という疑いの目を向けてきたが、ため息を吐きながらもこっちの話に乗ってくれた。


 ブラックウルフのことをレイに話す。出現パターンは俺一人だからまだ不確定だがおそらく確定と考えてもいい。行動パターンは不明だがウルフより純粋にステータスが高いこと、それからドロップした装備についての情報を提供した。


 「んー、βと比べて結構報酬がよくなってるね。これは君に取られたのは失敗だったかもしれないな。その装備だけど序盤なら結構強力な装備だよ」


 「マジか、ラッキーだな。でも多分レイもチャンスあるぞ。アナウンスだとソロ討伐って言ってたからパーティー討伐報酬があるはずだろ?」


 「うん、君の言う通りだ。明日にでも君の情報を元に倒してみるよ。」


 「頑張ってくれ。ふぁ〜あ、今日朝早かったからもう寝るわ。」


 「待ちなよ。君はここでログアウトする気か?」


 「あ……」

 

IWOでログアウトするとアバターは眠っている状態になる。この状態でも街の外なら魔物に襲われる可能性は十分にありえる。当然、ダメージを受けるし、HPが尽きたら死に戻りだ。


なので眠さで半ば朦朧としながらなんとかウノの街辿り着くも宿屋はどこも満室。さらに空腹度というパラメーターがあるのを忘れていたために徐々にHPが減少。


慌ててなけなしの金を払ってテントと非常食を購入して街中で野宿しましたとさ。


 今度からちゃんと調べてから行動しよう…。


ちょっと次の話でステータスの話をしたいので据え置き


桃 Lv,5

Fランク

職業 召喚騎士

 HP  100

 MP  200

 STR 19

 VIT 16

 INT 19

 MID 16

 DEX 16

 AGI 15

 LUK 19


NPCF【カイン】【サーシャ】


称号

□一般

 【来訪者の召喚騎士】【到達者】【最速の頂点】【EX職の解放者】【困難に立ち向かう者】【絆を紡ぐもの】


□祝福

 【最強の召喚騎士の祝福】【ノルンの祝福】


□神々からの称号

 【ノルンの期待】


スキル(11SP)

□武術系

 【剣術Lv2】【スラッシュ】

 【槍術Lv1】【杖術Lv1】【鎧Lv1】【武術の心得】

 

□魔術系

 【火魔術Lv1】【水魔術Lv1】【風魔術Lv1】【土魔術Lv1】

 【召喚術Lv5】【魔術の心得】


□その他

 【鑑定Lv3】

 【☆限界突破】【☆瞬歩】【☆逆境】【☆覚醒】


☆は初取得、イベント特典などで強化されているもの


※ブラックウルフ討伐前

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