第48話 魔鬼
前回のあらすじ
・剣鬼のダンジョンです
・桃のリアルチート(無自覚)が少し発揮されます
・死に戻り☆彡
「ここは・・・そうか、俺はあの後戦いの余韻に浸ってたらポップしていた鬼への反応が遅れてサクッとやられたんだっけ。」
剣鬼のダンジョンに挑戦中に突然意識を失った俺が目を覚ますとそこは鬼ヶ島の入り口だった。
ふぅ、結構疲れたな。一応4回、そして格上のレベル50まで倒したけど最後の決着は時間切れだったし不完全燃焼気味だな。それに俺が死んだのは油断だったし。今度はもう少しうまく戦いたいものだな。
しかし、はっきりしたことが1つ。魔法を封じられると俺は弱い。もともと何かの武術をしていたわけではないからラノベの主人公のようにリアルチートで無双するなんてことは到底叶わない。
けど、英霊達と共に並んで戦うのなら一定以上のプレイヤースキルは必要になるか。武術なんて高校の武道の時間しか触れる機会なかったし、俺は柔道選択だったから剣なんてなおさらだ。リアルで習ってもどうせ長続きしないし、ゲーム内で道場に通うのもなんか違う気がする。ここはひたすら実戦で鍛えるしかなさそうだな。もし行き詰まったら召喚院の方でも聞いてみよう。
それから空腹度の回復と休憩を挟んで杖鬼のダンジョン、槍鬼のダンジョンと挑戦してみた。結果はどれも同じぐらいで最初の方は簡単に一撃で倒せるがレベルが上がってステータスで勝てなくなってくると負ける。
一番手応えがあったのが杖鬼のダンジョン。剣や槍と違って刃を立てるとか考えずにただ振り回してれば良いために技術が多少拙くても有効打を与えることが可能なのだ。
逆に一番拙かったのが槍鬼のダンジョン。確か槍鬼を獲得したのはオークの砦を攻略したときだった。あのときは砦の通路という狭いフィールドと魔法でバフをかけた状態で敵陣のど真ん中で槍を振り回していただけだから技術云々の話ではないな。それに漫画とかでは槍は割とマイナーだから参考になるようなのが少ないんだよな。(異論は認める)
結果をまとめると剣鬼4回レベル50、杖鬼4回レベル55、槍鬼4回レベル48が最高だった。報酬は剣鬼のダンジョンがミスリルインゴット×4と枇杷の木刀。枇杷の木刀は攻撃力こそ初期装備と同じだが、これでトドメを刺すと【剣術】と【刀術】のスキル経験値が上昇する効果を持っていた。杖鬼のダンジョンがハイトレントの角材×4と鬼の瞳という宝石。多分杖の素材になるんだろうな。そして槍鬼のダンジョンがミスリルインゴット×4と案山子だった。これで練習でもしろってか?
多分この報酬は俺みたいなチート装備を持っていない人や1つのスキルに専念して育てる人たちからしてみれば垂涎の品なのだろう。まぁ、俺が持っていても仕方ないし今度ランザとルビー君に装備を作ってもらいに行くか。(N回目)
次は毛色の違う魔鬼のダンジョンだ。さてさてどんなダンジョンになるのやら。転移で飛ばされた場所はだだっ広い平原。遮蔽物のないこの舞台で思う存分魔法をぶっ放せということだろうか?
俺が準備完了するといつものように魔法陣が現れ鬼が姿を表す。レベル1の鬼は杖を構えるとブツブツと詠唱を始めた。長ったらしく付き合う義理はないので【無詠唱】【魔力操作】を併用してファイヤーボールをお見舞いすると一撃で倒すことができた。
次の鬼が出てくるまでにスキルの確認をする。使えないのは武術系スキルと特殊系スキル。魔法系、魔法補助系は全て使える。もちろん【獄炎】と【聖炎】もだ。どちらかというと魔法主体だった俺としては結構普段通りに戦えるな。
レベル21の鬼。何がどれだけ上がったかわからないが詠唱を始めた段階で各種属性の魔法を連打。あっけなく沈んだ。
続いてレベル41の鬼。流石にこの辺になると【無詠唱】とまではいかないが詠唱を省略できるらしく、一言二言で魔法を放ってきた。その魔法を【無詠唱】で放った魔法で相殺。未だ基本属性しか使って来ないので有利属性をぶつければ余裕で相殺できる。そのまま1発ずつの打ち合いが続き、俺が押し切って余裕の勝利。
第4戦目、ここが割と鬼門。出てきた鬼を鑑定するとレベル58と今まで一番の強敵。気を引き締める。鬼はいきなり無詠唱で雷魔法の放電を放ってきた。出足の速い雷魔法の広範囲攻撃。不意を突かれた俺はダメージを食らうと同時に【神聖魔法】のハイヒールとオールキュアを【並列起動】してダメージと痺れを回復。
即座に反撃として【多重起動】したブリザードを放つ。これは氷魔法の範囲攻撃。流石に雷魔法と比べて速度は落ちるが躱されても寒さと凍りついた地面という副次効果は残る。俺は装備や【ドルイド魔法】の適合で寒さは感じない。
相手の鬼はまさか雷魔法から即座に反撃を受けると思わなかったのか、直撃は防いだが完全に躱し切ることはできなかったようで下半身が凍りついている。
しかしそこは高レベルの魔法特化の鬼。すぐに周囲に炎を発生させて氷をとかし始めた。
「まぁそんなことはさせないよね。荊棘の檻。」
氷を溶かして自由を確保しようとする鬼の足元から無数の荊棘の檻が出現して鬼を拘束する。これが普通の植物であれば火で燃やすなり、風で断ち切るなりすればいいが、あいにくこれは荊棘。鬼の肌に食い込んだ棘がダメージとなって魔法を放つための集中を妨害する。
魔法系スキルは無詠唱を持っていても発動までには時間が必要であり、その間にダメージを受けると魔法が発動できなくなってしまう。この手のスリップダメージ系は魔術師にとっては最悪だ。
魔法がうまく発動できない鬼に向かって全てを燃やし尽くす【獄炎】を放つ。鬼もろとも荊棘も氷も燃やし尽くす獄炎が鬼を飲み込んだ。
響き渡る鬼の咆哮。この声はまるで剣鬼の時の死んでから蘇ったモードに似ている。念の為、空に逃げておこう。
「ガアアアアア!!!」
やはりというべきか、一際大きな咆哮と共にその身を燃やしていたはずの【獄炎】が弾け飛んだ。その様子を空から見ていた俺は今度こそは完全にトドメを刺そうと無属性魔術の魔力剣を大量に生み出し、雨のように打ち出した。
「ガアアアアア!」
理性を無くしたような鬼の咆哮。ただの遠吠えかと思ったがそうではなかったようだ。なんと口から炎を吐いて殺到してた魔力剣を消滅させてしまった。それと同時に上空にいた俺の存在にも気がつく。
「死んだ後に発動する短い時間だけど強力なステータスアップか。確かにブレスは厄介だけど所詮は炎。ならば相殺できるはずだ!」
上空の俺を見つけた鬼は敵意にギラつく目をより一層鋭くして大きく息を吸い込んだ。間違いなくさっきよりも強力なブレスがくる!
「ウォーターフォース!ファイヤーフォース!さらにロックフォース!ライトフォース!そしてウォーターノヴァ!」
各種フォースでステータスと属性強化、さらに火属性耐性のバフをかける。自分へのバフが完了するのと同時に鬼がブレスを放ってきた。
俺が迎撃に選んだのは現時点での水魔法最強のウォーターノヴァ。それを多重起動でMPの続く限り放ち続ける。
「うおおおお!!!」
こうなってしまっては勝負の行方は俺のMPが尽きるか鬼のスキルの効果時間が終わるののどちらが早いかという勝負になる。
しかし、俺はこのまま時間切れを待つのは性に合わない。なのでさらにここから【並列起動】で一本の巨大なウォーターランスを生み出し鬼に向かって放つ!さしもの鬼もブレスを放ちながらではウォーターランスを避けることはできないようで見事にその上半身を穿った。
「グガ・・・」
その瞬間、ブレスが途絶え、鬼は短い断末魔を放つとチリになって消えていった。どうやらあの状態の時に攻撃を加えるとその時点でスキルが切れるようだ。
「ふぅ。やっぱり格上は手強いな。今もなんとか倒せたって感じだな」
「フォフォフォ。今回は生きのいい人間がいるようじゃな」
突然背後からかけられた声に飛び上がる。嘘だろ?流石に警戒していたぞ!?それに話しただと!?これまでここには人語を話すほど知性の高い魔物はいなかったはずだ!
振り返ってみると杖を持った老人がそこに立っていた。いや、よく見れば額にツノが生えてる。そもそもここは鬼ヶ島。俺以外に人間がいるはずがない。
俺に察知されずに背後をとる実力、人語を話すほどの知性、そしてランザに匹敵するほどの威圧感。なんなんだこいつは!
「いったい何者だ」
「フォフォフォ、ここにいるのじゃからもちろん鬼じゃよ。魔法がちとばかし得意な、な。」
「はぐらかすんじゃねぇよ」
「フォフォフォ、わかっておるわい。お主の疑問にはこう答えればいいじゃろう。わしは覇魔鬼トリミテウス。わかりやすく言えばこのダンジョンの主じゃよ。もちろん力はセーブしているがの」
「・・・なるほど、どうりでこれまでの鬼とは一線を画す実力があるわけだ。早速だけど、死ね」
俺はトリミテウスが話している間に魔力を練り上げ、【獄炎】と【聖炎】を合わせて放つウロボロスを放った。
さて、これでどうだろうかね。
鬼ヶ島の設定
・覇のつく鬼は基本的にはボス(10戦目)のキャラ
・ただし、たまに第5戦目以降に力をセーブした状態で乱入してくる
・通常より難易度は高いがその分報酬は良い
・桃は称号効果で乱入率アップ(これが吉と出るか凶と出るか・・・)
企画のお話〜このお話の掲示板回描いてみませんか?〜
まぁ、タイトル通りなんですけど、私は掲示板回を書くのが苦手でして、ネタも思いつかないし、結構漏れもあってなんだかなーと思っております。
そこで、だったらいっそのこと読者の方に、読者の方が望むような内容で、読者の方のための掲示板回を書いてもらえばいいのでは!?とじっちゃんが言ってました。
なので我こそは!という方、連絡お待ちしております。
なろう小説になかった(はず)の読者一体型作品(丸投げともいう)を作ってみませんか?
クソほどどうでもいい話
檸檬堂は塩レモン派




