第45話 進化!!!
前回のあらすじ
・英霊の進化とは?
・六英雄の要望
・進化までたどり着かず・・・無念・・・
六英雄全員の願いを聴き終えたところで再び白い光が俺を包んだ。気がつけば先ほど全く変わらない状況で目の前には<英霊【フェルド】の進化を開始します>と表示されたまま。カインとサーシャの様子をちらりとみても特に変わった様子はない。
たぶん俺の意識だけが切り離された状態であの領域に連れて行かれたのだろう。転生系なろう小説で主人公が転生後神殿で祈ると神様に会えるアレだ。
<英霊【フェルド】に付与するスキルを選択してください。>
ここで選択肢が出るのか。これが出ないならその英霊の信頼度が低いってことなんだろう。あとは特殊な条件とか?
俺は自分の持っているスキルの中からフェルドの希望に一番合うであろうスキルを選択して決定を押す。
<英霊【フェルド】が進化します>
そのアナウンスと共にセットした精霊結晶からその属性の色をした魔力が解き放たれ、フェルドの立っている魔法陣に注がれる。
魔法陣がその真っ赤に染まり切った瞬間に凄まじい炎が巻き上がりフェルドを飲み込んだ。フェルドを飲み込んだ炎は、意思を持っているかのようにフェルドに纏わり付いた。そして最後にもう一度大きく捲き上るとフェルドに降り注ぎ、弾けた。
<英霊【フェルド】が【覇聖焔フェルド】に進化しました>
魔法陣の中心に立つフェルド。その顔は変わることがなかったが装いがかなり変化している。これまでは無骨な大剣によく見る鎧。まぁ、言ってみれば住民の冒険者(中堅)ぽい格好だった。(ただしその装備でも英霊の力に耐え壊れることはなかった)
しかし、現在ではフェルドの燃えるような炎と選んだスキル【聖炎】の影響か、ところどころに金の刺繍が入った豪華な鎧になっている。フェルドが剣に魔力を通した。するとこれまでは火属性しか纏うことができなかったはずなのだが今度は聖炎を纏うことができていた。
『この力なら、桃を守れるな!』
突然脳内にフェルドの声が響いた。驚いてフェルドを見るといたずらが成功したガキンチョみたいに笑ってやがる。
『俺たちの存在が神に近づいたことでより自我が強く出てきたんだよ。これからはこうして話せるぜ』
フェルドのセリフから察するに英霊の進化によって念話システムが解放されたようだ。
『そうなのか。ならこれからもよろしく頼むぜ、親友』
いたずらのお返しにそういってやればフェルドはどこか面食らったような表情をして送還された。これで引き分けかな?
「おい、桃。聞いてねぇぞ?あのお方の話によればフェルドは純粋に火を極めた英霊。あんな金色に輝く炎なんて使えないはずなんだが?」
フェルドの進化が終わり、さぁ次だと思っていたところでカインから待ったが掛かった。そういえば英霊の特殊進化はこのアリーシャ召喚院ですら伝承の中の話だっけか。
「まぁカインたちが想像している通り特殊進化だよ。フェルドの意思が聞こえてきてな、それで俺のもつ【聖炎】のスキルをフェルドにも渡した。」
「なっ!?お前、簡単に言うけど召喚院始まって以来の一大事だぞ!どーすんだよ、あー、レオン様にエルモ様、そのほかにも報告しなきゃいけないところが・・・。あー、サーシャ、ここに残って桃がこれ以上何かやらかさないか見張っててくれ。俺はとりあえずレオン様とエルモ様を呼んでくる。それまでここに誰も入れないでくれ」
「はい!」
猛ダッシュで部屋を出て行ったカインを見送る。サーシャが俺のことをかなりのジト目で睨みつけてくるけど知ったこっちゃないな!
さて、ここから先は今の俺のスキルだと願いを叶えることはできないな。なので取得可能スキル一覧をオープン。その中で【調教】【歌唱】【教授】(教え授けるの意味)【植物知識】【鉱物知識】【武具知識】【スキル知識】【魔物知識】【人物知識】【物品知識】をそれぞれ2SPで取得。
<スキル【看破】【植物知識】【鉱物知識】【武具知識】【スキル知識】【魔物知識】【人物知識】【物品知識】の取得を確認しました。スキルが統合進化します。スキル【百科事典】を取得しました>
やっぱりか。以前に耐性系のスキルを全て取得したら統合進化したことを覚えていたので知識系のスキルを全て取得してみた。まさか【看破】まで条件に入るとは思わなかったがとにかくスキルが統合進化されて【百科事典】というスキルを取得できた。
これでヴィクティムの願いも叶えられるかな?
これで完璧。それじゃ何か言いたげなサーシャは無視して進化を続けよう。
<英霊【クリスタ】の進化を開始します>
<英霊【クリスタ】に付与するスキルを選択してください。>
ホイホイ、ではここで【調教】を選択しましょ。
<英霊【クリスタ】が【氷従姫クリスタ】に進化しました>
『桃!早速もふもふを捕まえに行くわよ!』
『はいはい、あとでな。他のみんなも進化を待ってるんだから』
<英霊【ヴォート】の進化を開始します>
<英霊【ヴォート】に付与するスキルを選択してください。>
ヴォートには【歌唱】っと
<英霊【ヴォート】が【風樹歌ヴォート】に進化しました>
『ん〜ん〜ん〜』
ヴォートのハミングが脳内に流れ込んでくる。なかなか楽しげな様子だ。喜んでもらえるようで何より
<英霊【アルバセロ】の進化を開始します>
<英霊【アルバセロ】に付与するスキルを選択してください。>
アルバセロも既存のスキルでどうにかなったんだよな。アルバセロには【飛翔魔術】と
<英霊【アルバセロ】が【天翔雷アルバセロ】に進化しました>
『ひゃほーい!これで俺もじゆ・・ん?』
『あー、アルバセロ。そのスキルは習熟度と共に自由度が増すんだ。最初はあんまり思い通りにならないと思うけどそこは鍛錬あるのみだぞ』
『そうなのか!?だったらすぐに飛べるようになってやるぜー!』
暴れだしそうなのでさっさと送還。
<英霊【ルーセント】の進化を開始します>
<英霊【ルーセント】に付与するスキルを選択してください。>
ルーセントのスキルは正直悩んだんだよなぁ。でもぴったりなスキルが見つかってよかったよ
<英霊【ルーセント】が【光導騎ルーセント】に進化しました>
『ふふ、いいスキルをありがとね。あとは生徒さんかな?』
ルーセントは俺にお礼を言いつつもさりげなく生徒を用意しろとか無理難題を突きつけてきやがった。地味に抜け目がないんだよなぁ。でも孤児を救うのはルーセントの約束の1つ。諸々が終わったら手を付け始めようかね。
<英霊【ヴィクティム】の進化を開始します>
<英霊【ヴィクティム】に付与するスキルを選択してください。>
今回の進化の中でヴィクティムが一番いいのでは?なんて言ったって統合進化スキルなんだもんな。正直に言うとヴィクティムがどの分野の学者になりたかったかわからなかったから手当たり次第に取ったんだけどね。
<英霊【ヴィクティム】が【賢闇騎ヴィクティム】に進化しました>
『これほどまでの知識・・・感謝する』
ヴィクティムはやっぱり少し話すのが苦手なようだな。短くそれだけ言うと即座に消えていった。ちなみにスキルについていた☆は英霊への付与の際には関係ないみたいだ。って言うか消えた。
さて、進化も終わり振り返ってみるともはやジト目を通り越して完全にこちらを睨みつけているサーシャさん。そんな目をされてもねぇ、俺はただアナウンスにしたがって粛々と進化させてただけですー(棒)
そんなどうでもいいことを考えていたところにドタドタとこちらの方にかけてくる足音が聞こえたかと思うとこの部屋の扉が勢いよく開かれた。
そこにはつい先ほど別れたばかりのレオン、ミーナそしてエルモの姿があった。そしてなぜかズタボロの姿でその辺に転がされているカインもいた。何があったんだろう?
「先刻ぶりだな、桃。カインから聞いたが早速とんでもないことをしてくれたみたいだな。」
別に何も悪いことはしてないのになー。レオンの言葉と圧を前にしては流石にそんなとぼけたことを言えるわけもなく俺はただ頷くのみであった。
ここで取り上げた知識系スキルは全て最初のスキル選択でも取得できます。
【覇聖焔フェルド】【氷従姫クリスタ】【風樹歌ヴォート】【天翔雷アルバセロ】【光導騎ルーセント】【賢闇騎ヴィクティム】
【調教】
効果:魔物を従えられるようになる。
【歌唱】
効果:歌が上手くなり、様々な効果を付与することが出来るようになる。
【教授】
効果:他人に何かを教える際に相手と自分自身のスキルが成長しやすくなる。
【百科事典】
効果:あらゆる知識を得ることが出来る。
☆:これまでに鑑定および看破した内容を引き継げる。
百科事典のスキル、とある条件を満たすと化けます(予定)




