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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第44話 進化

前回のあらすじ

 ・ミーナ

 ・カイン

 ・サーシャ

 ・全員脳筋だな!!!

 本部に戻りレオンとミーナと別れた俺はそのままカインとサーシャに連れられて本部の中にある施設を訪れていた。


 「ここが英霊の進化素材を取り扱っている店だ。まず、英霊の進化について説明しよう。英霊の進化は進化とは行っているが厳密に言えば進化ではなく全盛期へと戻すことなんだ。桃も得ている六英雄の英霊で説明すると、神殿で祀られているのは火を司る英雄神、覇焔騎神フェルド・水を司る英雄神、麗氷姫神クリスタ・風を司る英雄神、翠樹風神ヴォート・土を司る英雄神、絶轟土神アルバセロ・光を司る英雄神、天輝導神ルーセント・闇を司る英雄神、真闇黒神ヴィクティムだろ?けど桃が得た英霊はちょっと違うだろ?」


 確かに言われてみれば英霊の名前は単に【フェルド】となっている。少なくともそんなかっこいい名前ではないし、強さも神にまでなったと言われれば全然足りない。


 「つまり、英霊召喚で召喚できるのは英霊に至る前の姿なんだ。その英霊が経験値を経て召喚騎士と心を通わせると本来の神の力を徐々に引き出せるようになるんだ。これは神となった英霊がこの世界を壊す力を悪しき心の持ち主に与えないようにするためだとも言われているな。」


 なるほどなぁ。いくらレオンたち召喚老たちの志が高くとも末端までがそうだとは限らない。中には力に溺れる弱い人間もいるのだろう。そんな悪しき心を持ったものが英霊という強大な力を持ってしまったら・・・それから起こる悲劇は想像に難くない。しかし英霊=神ならばそんな人間に自分の力を使われるのを許しはしないってわけか。


 「それでだ、ここが英霊とそのほかの従魔と違うところなんだが、英霊はその性質ゆえに進化先がほぼ決まっている。それに対して従魔は魔物であるがゆえにその進化は多岐にわたる。英霊の特徴って言えば特徴だな。」


 そうか、英霊=神で進化=力の解放となるのならその進化はその英霊が辿ってきた成長の軌跡をたどるはず。だから英霊の進化先は1つに決まるのか。ん?待てよ?


 「今、ほぼって言ったか?」


 「あぁ、ほぼ、だ。伝承によればこの世界で初めて召喚騎士の職を得た始まりの召喚騎士と呼ばれる人物は神と心を通わせ、その英霊とも強い絆で結ばれていたために神自らが望んで違った未来を見せることに成功したらしい。まぁ、その人以降あのお方でさえなし得なかったことだ。まさにおとぎ話の世界の話だけどな。」


 ・・・どうしましょう。心あたりが多すぎるんですが?


 「それで、肝心の英霊の進化なんだが、英霊の進化にはその英霊が本質的に持っている属性の魔力が必要になる。例えば覇焔騎神フェルドなら火属性だし、麗氷姫神クリスタなら水と氷属性だな。そしてその必要となる魔力は英霊の階級によっても変わってくる。英霊の階級は第1階級から第7階級。そしてあのお方の英霊である六英雄神に代表されるように神となんら遜色ない力を発揮するのが幻想階級と呼ばれている。まぁ、全部で8段階だな。」


 なるほどね。あのイベントでもらった幻想霊魂は第7階級から幻想階級に進化させるときに使うっぽいな。今だとルシファーが一番近いのか。


 「進化に使う素材は総称して精霊結晶と呼ばれる特殊な結晶を使う。これは主にその属性が強く出ているダンジョンや強力な魔物からドロップするものだ。もちろん英霊によっては精霊結晶だけでなく他の素材も必要なこともあるけどな。ここアリーシャ召喚院では英霊の進化のためにその精霊結晶を取りに行く仕事もあるから気になったら受けてみるといい。」


 受けてみるといいということはここではダンジョンや強力な魔物の出現ポイントを教えてくれるってことだろう。これは行かざるを得ないな。


 「今回桃が進化させるのは第3階級の六英雄の英霊だろ?レオン様が召喚院への所属祝いということで精霊結晶を用意してくださってる。隣の部屋に進化専用の部屋があるからそこで進化させるといい。」


 カインから渡されたのは拳大の精霊結晶。これ1つでいくらになるんだろうか?聞いたことないアイテムだしまだプレイヤーの間には出回ってないのかな?


 カインたちに連れられて進化専用の部屋に入る。部屋の中央に見慣れた英霊召喚用の魔法陣とその前に何かの機械がその魔法陣を囲むように設置されている。


 「英霊を召喚した後に、その機械に精霊結晶をセットして魔力が足りるようなら進化が始まるぞ。」


 なるほど。手順はわかったので早速進化を開始するとしよう。ここは順番通りフェルドからでいいかな。


 中央の魔法陣を使ってフェルドを召喚する。召喚されたフェルドは敵に備えるかのように一瞬武器に手をかけたが俺の持つ精霊結晶を見るとニヤリと笑って武器から手を離した。


 <英霊【フェルド】の進化を開始します>


 そうアナウンスが流れた瞬間に俺は白い光に包まれた。


 目を開けるとそこには俺が召喚したはずのフェルドの他に召喚していないはずの六英雄神の英霊が全て揃っていた。


 「フェルド、なのか?」


 『あぁ、ようやく話せたな桃。だけど俺はフェルドであってフェルドじゃねぇんだよ。』


 「ん?どういうことだ」


 『私たちは桃と一緒に歩むことを決めた英霊であって神ではないのよ。もちろん元々の性質は引き継いでいるけれどね。』(クリスタ)


 『まぁ、簡単に言っちゃえば暖簾分けされて独立した店って感じだな!』(アルバセロ)


 なんか色々台無しだけどアルバセロの言葉でなんとなく理解した。きっかけはイベント前のあの出来事だろうな。あれで英霊たちに確定された神となる未来だけでなく新しい未来が切り開かれたのだろう。


 『アルバセロの説明で納得されるのもなんか違うような気はするが・・・まぁいいだろう。桃、大事なことを伝えるためにここに呼んだんだ。俺たちの新しい未来は桃の可能性で決定される。このことを伝えたかったんだ。』(フェルド)


 「俺の可能性?なんのことだ?」


 『スキルだよ。多分だけどここから現世に戻ったら進化の際にスキルを選ぶことになるはずだ。そこで選べるのは桃が持ってるスキルだけなんだ。』(ヴォート)


 な、なるほど。これはかなり責任重大だぞ?俺が選択するスキル次第で進化先が決定するってことだろ?いや、待てよ。ここで話を聞けるなら実際に聞いてみるのも手か?


 「ならみんなに聞くよ。俺のスキルは把握できてるだろ?どのスキルが欲しいんだ?いや、どのスキルってわけじゃなくてもいい。どんな未来を思い描いている?前に聞いた時とはまた違っているんじゃないか?」


 『そうだな・・・俺は剣を振るしか能がなかった。そのせいで救えなかった命も多い。けど俺の適性だと火が精一杯だ。今度は誰かを、親友である桃を守る力が欲しい』(フェルド)


 「フェルド・・・よし、わかった!任せてくれ!」


 『私は前にも言ったけど美味しいものを食べることが望みよ!』


 「クリスタ、自分で料理はしないのか?」


 『できると思ってるのかしら?』


 「いや?」


 『それはそれで納得いかないわねぇ。まぁいいわ。そういえば私、一国の姫だった割には姫っぽいことが何もできなかったのよ。豪華な食事もいいけどそうね、動物たちと戯れるっていうのもしてみたかったわ。』


 「ふーん、意外と乙女なんだな」


 『何よ!意外にって!私はれっきとした乙女よ』

 「はいはい。ヴォートは?」

 

 何かブツブツ言ってるクリスタを無視してヴォートに話を振る。ヴォートの希望は確か故郷の森の様子をみることだったけど


 『僕は戦いがなければ吟遊詩人になろうと思ってたんだ。ほら、僕たちエルフは長生きだからいろんな伝承を聞けるしね。』


 「なんかヴォートらしいな。アルバセロは?」


 『俺?俺は空が飛んでみたい!』


 「これはまたシンプルな願いだな。でもどうしてだ?」


 『空って自由だからな。何処へでも行けそうだ。』


 「なるほどな。わかったよ。ルーセントは?」


 『僕はこれと言って思いつかないなぁ。』


 「そうなのか?何かこうしてみたいとかないのか?ヴォートじゃないけど戦いがなければこうしてみたかったとか」


 『そうだね・・・、僕は本当は戦いたくなかったんだよ。先生がしたかったんだ。元々子供は好きだしね。』


 「そっか、わかったよ。ヴィクティムは?」


 『俺は、父によって戦いの人生を決められた。本当は学者になりたかったんだ。』


 「そうなんだな。今からでも遅くない。学者になればいいじゃないか。」


 『笑わないのだな。桃は。かつて共に戦った同胞にその話をしたら笑われた。戦いの才能があるのに学者などと』


 「笑うわけねぇだろ?人の夢だ。絶対に笑わない。いいじゃねぇか。学者。俺たちの世界ではな、最初によくわからないことがあると一番頼りにされるのが学者なんだ。全ての技術の進歩は学者と研究者が担ってる。最高の職業じゃねぇか。」


 『そこまで言ってくれるのか』


 何やら感動しているヴィクティム。まぁいい。これで全員の願いがわかった。これでようやく進化を始められるな。


進化するとは言ってない。

ここで初めて召喚騎士のデメリット(軽微)が出ましたね。英霊を特殊進化させるには英霊の信頼度マスクデータが100%じゃないと無理でーす。

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― 新着の感想 ―
前回の行いで召喚老の志が高いとはとても思えないわけですが 加減するのが下手で済む話ではないし、あるなら最初から機械使えよと思うし、さっさと止めろよと思う 普通にプレーヤーが心折れるような行いと情報だけ…
[気になる点] 分霊は本体(神)から独立していますね? 本体(過去)とは異なる未知の可能性……! 未来、また会いましょうか?本体(神)。
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