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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第37話 イベント3日目ー4(original)

本日2話連続で投稿してます!ご注意ください(2話目)

 side 桃


 俺が転移で王都の北門に戻ってきたその瞬間、一番最初に目に飛び込んできたのは被弾してHPがほぼ0となって動けなくなっているレイとそのレイにトドメを刺そうと腕を振り上げている禁獣の姿だった。


 一瞬で頭に血が上った。突然の登場に驚く周囲など一切視界に入らず、ただただレイ目掛けて飛び出した。


 「レイから離れろ!【全反撃】!」


 感情が爆発していたからだろうか、【魔力操作】が暴走して【全反撃】にありったけの魔力をぶち込んでしまった。このスキルは本来少ないMP消費で倍以上に跳ね返す強力なスキル。それにMPをつぎ込めばどうなるか。


 結果は当然のように禁獣の腕を消滅させ、さらに門付近まで接近していた禁獣を這い出てきた魔法陣ぐらいまでは吹き飛ばした。


 「遅くなって悪かったな。よくここまで持ちこたえた。もう大丈夫、あとは俺に任せろ」

 

 固まっているレイに声をかける。


 「遅かったじゃないか、桃」


 レイから返ってくるのは軽口。よかった、どうやらまだ大丈夫そうだ。


 俺はレイをお姫様抱っこで抱えて【飛翔魔術】で北門の上まで運ぶ。HPが完全にアウトゾーンだったのでわずかに回復したMPで【神聖魔法】を発動してHPを回復させる。


 「死屍累々とはこのことだな。レイ、状況は?」


 「最悪も最悪。ポーションはないし、MPもみんな切れかかってるよ。」


 「そうか。ならここからは俺の、いや俺たちの出番だな。」


 ここで意識を自分の体内に集中する。【冥想】と【魔力操作】でMPを一気に回復させる。よし、これで準備は整った。


 「まずは手始めに、『聖炎鳥』。燃やし尽くしてやれ」


 放たれた聖なる炎で構成された神々しい鳥が吹き飛ばされて起き上がろうとする禁獣に炸裂する。【全反撃】だけでだいぶHPが削れていたのだろう。『聖炎鳥』だけで残りのHPがゼロになる。


 そして復活。なるほど、死んでも生き返るって訳ね。それで復活の際にあのブレスがくるわけか。結構きつかっただろうに。


 「あ、あぁ・・・」


 どこからか絶望したような声が響く。まぁ、このボロボロの状況であのブレスがきたら流石に厳しいわな。だけど、ここまでレイが必死になって守ってきたこの門。そう易々と落とさせてたまるかよ!


 「合技『ウロボロス』!」


 【獄炎】で出来た龍と【聖炎】で出来た龍が合わさり、一体となって禁獣のブレスを迎え撃つ。激しく拮抗するもこっちは全てを平等に燃やし尽くす煉獄の炎と魔物やアンデッド特攻の聖なる炎。その2つの特性を持った龍がいくら腐食や酸があってもたかが獣のブレスに負けるはずもない。


 そして俺のウロボロスはブレスを押し切って禁獣に大ダメージを与えた。それでようやく俺に気が付いたプレイヤーも大勢いた。


 この場をほっぽり出していた奴が何を言うのかと思われるかもしれないけど言うしかない。


 「諦めんな!俺が・・・いや、俺たちがいるかぎり!」


 俺たちのところで英霊全てを同時に召喚する。【召喚術】のレベルが上がってレギオン召喚と言うのを覚えたからこそ出来る召喚だ。


 俺たちがいる。そう言ったからにはちゃんと実力を見せないとな!


 「みんな行くぞ!」


 最初に攻撃を放つのはやっぱりこの人、ルシファー。


 『禁じられた獣か。哀れな存在だな。せめて一撃で葬ってやろう。明けの明星』

 

 はい、一撃。で、リスポーンね。でもブレスなんて撃たせないよ?


 『次は俺だな!破滅の流星!』


 ブレスを放とうとした禁獣の顔面にアークの瘴気の弾丸が無数に炸裂して大爆発を起こす。自身がためていたブレスのエネルギーも爆発の威力向上に一役買っているようだ。これで目出度く2デス目。


 『いくら敵対していた魔物は言え、死んだものを冒涜するのは許しません。『聖なる白鯨(ケートス)』!』


 お次はレオーネさん。この聖女が一番相性がいいんじゃないでしょうか?レオーネはアークやキザンを浄化した光と同じ性質を持つ巨大は空飛ぶクジラを生み出して禁獣に攻撃させた。


 対する禁獣は迎え撃とうとするも触れたところから分解され、呆気なくクジラに飲み込まれていった。


 それから?簡単なリスキルさ★彡しばらくはこのまま英霊に任せて良さそうなのでレオーネを連れて北門の上に戻る。


 「レオーネ、けが人の治療を頼む。」

 

 『はい!任せてください!『女神の翼』』


 レオーネの背中から真っ白い純白の翼が現れふわっとあたりに広がった。その翼から舞う羽に触れたプレイヤーのHPと異常状態が全回復する。うん、やっぱりレオーネが一番やばいんでねぇの?


 「レイ」


 「わかってる。みんな、こうして桃が戻って傷も癒えた。ここまでくればあとはもうひた走るだけだ!みんな行くぞ!」


 「よっしゃぁ!やったるでぇ!」

 「後から戻ってきたやつに美味しいところだけ持って行かれてたまるかよ!」

 「「「「うおおおおお!」」」」


 これがきっとレイの最後の演説。プレイヤーたちもここが正念場だとわかっているのかひときわ大きな雄叫びが上がり、一目散に禁獣に突撃してゆく。


 ならばここで一旦英霊たちは援護射撃に回ってもらおう。そのほうが巻き込まずに済むはずだ。その状態で30分ほど経過しただろうか、少し禁獣の回復速度が早くなった。具体的にはHPが0になってから復活するまでのタイムラグがゼロになった。


 それと同時に復活時のブレスがなくなり、移動速度と攻撃力が増した。この辺りから前衛を張れるプレイヤーの数がガクッと減った。その影響で一気に門の近くへと接近を許してしまう。


 流石に門に近いところで戦うのは嫌なので【並列起動】と【多重起動】で禁獣の重さを極限まで軽くして風魔法で吹き飛ばす。しかし、いよいよ厳しくなってきたな。


 そしてイベント終了まで残り1時間。高レベル看破プレイヤーの情報によれば禁獣の残機表示が消えて全てがHPに回ったそうだ。つまりここから先は削りきれば勝ちということになる。


 「だったら!これでどうだ!『ライトニングバースト』!」


 それを聞いたレイが強力な光魔法を放つ。相手はアンデッド属性もあるはずなので光魔法の こうか は ばつぐんになるはずだ。確かに効果は抜群だった。しかしあのアンデッド、なんとHPを回復してやがる。ここにきてHPのオートリジェネ持ちはチートだろうが!


 「桃、どうする?」


 「決まってる。相手が馬鹿げた速度で回復するなら、回復が間に合わないほどの大ダメージを叩き込む。それだけだ!フェルド、クリスタ、ヴォート、アルバセロ、ルーセント、ヴィクティム。力を貸してくれ。アレをやる。」


 『『『『『『ーーっ!』』』』』』


 六英雄神の同意も得たことだ。このイベントを終わらせに行こうじゃないか!


 「レイ、今から俺のとっておきを出す。効果は150秒。しっかりと合わせろよ?」

 

 「何をするかはわかんないけど、もう何が起こっても大丈夫さ!」

 

 「よし、なら派手に決めるか!」


 俺は【飛翔魔術】で空を飛びマジックシールドを強化マックスで俺の前に設置。それから光魔法の発光で禁獣のヘイトとプレイヤーの視線を俺に集める。


 「プレイヤー諸君、おそらくこれが最後の攻撃になる。今から使うスキルの効果は150秒。その間に残った全力を叩き込め!」


 「「「おう!」」」


 「では行くぞ!我らが紡ぎし絆に誓う。熱き血潮で我らが運命さだめを切り開く。ソウルバースト!!!俺が宣誓する神はノルン!この世界の人々を救う力を俺たちに貸してくれぇ!!!」


 ・・・もう、しょうがないわね、今回だけよ?・・・


 その時確かにノルンの声が聞こえた。俺たちが得た加護は【幸運を運ぶ導きの女神】効果は一時的なスキルによる与ダメージ50%上昇!


 「うおおお!?なんだこれ!」

 「カッケェ!」

 「力が、力がみなぎってくる!」


 眼下でプレイヤーたちが騒ぐ騒ぐ


 「全く、こんなデタラメスキルまで隠してるなんて。相変わらずどうかしてるよ君は」


 さらに俺はここで【超克】【限界突破】【覚醒】を発動。文字通り俺の現時点での最大限だ。


 プレイヤーたちが一斉に武技や魔法を叩き込む。俺のスキルでパワーアップされたみんなの攻撃は確実に禁獣のHPを削っている。これならいける!


 俺も【宣誓】の効果が途切れないうちに魔法を発動する。

 

 「ライトニング!アイスメテオ!ライトニングノヴァ!マジカルローズ!ダークノヴァ!ファイヤーノヴァ!」


 まずは六英雄神が司る本当の属性の単体攻撃。サンダーボルトからアイシクルレインに続ける際に俺を光が包み込み、魔法を放つたびに威力が爆発的に上昇してゆく。


 「合技「氷華豪雷」・「黒白の循環」・「縛樹業炎檻」!」


 右手と左手にそれぞれ異なる魔法を発動して放つ合技。一瞬で禁獣を凍りつかせながら咲き乱れた氷の華が雷の一撃で砕け散り、光と闇が結合し反発し輪になって禁獣を切断する。地面から突如生えた棘をもつ大樹が禁獣を締め付け、その檻ごと炎で包み込んで燃やし尽くす。


 俺を包み込む光はより一層輝き、それぞれの属性の色を帯びる。ただでさえ威力が上がり禁獣のHPをゴリゴリ削っていた俺の魔法は合技となってさらに一気にHPを削った。


 「これで最後だ!この世界を救った英雄の力とくと思い知れ!」


 俺をさらに強い魔力が包み込む。これは六英雄神の英霊が俺に力をくれている。


 「トドメだ!【六天幻衝】!」


 俺を包んでいたそれぞれの属性を帯びた魔力を一斉に放つ。その魔力はそれぞれが英雄の姿となって禁獣に牙を向いた。その光景はまるであの神殿あったこの世界を救う最終決戦で見せたとされる英雄の最後にして最大に一撃を描いた絵画にそっくりであった。


 途轍もない衝撃が俺を俺たちを襲う。なんとか残った魔力でレビテーションを使いその場に止まる。


 爆発の衝撃で巻き上げられた砂埃が晴れる。固唾を飲んで見守る俺たち。煙の中に見える黒い影。しかし、その影の中心部分は完全に消し飛ばされ、ぽっかりと穴が空いている。


 一際強い風が吹いた。その風に吹かれた禁獣はサラサラと灰になって、消えていった。


 <お知らせします。北門にて禁獣フィルシーコープスが討伐されました。ただいまを持ちまして北門でのイベントを終了いたします。お疲れ様でした。>


 アナウンスが流れた。長かったイベントもこれで終わりのようだ。あー、疲れた。


これにてイベントは終了。長かった・・・

ちなみに最後の【六天幻衝】は割と早くに登場しているのに使ったのはこれが最初。というより、これを使いたくて今回のイベントを書いたまである。


ちょっと、エネルギー使ったので次の更新は少しお待ちを

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