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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第33話 イベント3日目−1

前回のあらすじ

 ・イベント2日目

 ・ルシファーVS桃

 ・ランキング中間発表

 時計が正午を指した。イベント3日目の始まりだ。2日目のスタートは何の前触れもなく魔物が強くなったが3日目は違うようだ。


 『う〜ん、思いの外来訪者の皆さんの抵抗が激しいですねぇ。』


 突如響いたこちらをどこか見下したようなふざけた口調。バッとあたりを見渡すがその声の主、レジナルドの姿はどこにも見えない。


 『私の姿を探しても無駄ですよぉ?』

 

 くっ、見透かされたようでいちいち腹が立つな!


 『このままでは私どもの計画に遅れが出かねませんねぇ。とういわけで少しテコ入れしましょうか。』


 パチンと指を鳴らした音があたりに響いた。何が起こるのかと身構えたが今の所北門付近では何も起こっていない。


 「ぐぎゃぁぁぁぁ!」


 その代わりに変化が起きたのは門を攻めようとしていた魔物達の方。突然1体の武装ゴブリンが雄叫びをあげたかと思うと隣にいた他のゴブリンに持っていた剣を振り下ろした。不意を突かれて一撃で死ぬゴブリン。


 すると殺した方のゴブリンの体がいきなり光り始めた。その光の中でゴブリンの体が一回り大きくなってゆき、光が消えるとそこにはゴブリンジェネラルの姿があった。


 呆気に取られていると瞬く間に仲間を殺して進化する負の連鎖が他の魔物へと伝播し、ゴブリンやウルフは全てゴブリンジェネラルかブラックウルフへと進化した。


 『ふふふ、これで少しは楽しめるでしょうね。おや?まだ出ていない子がいると思ったら魔法陣が小さかったようですね。ほいっと。さぁ、お行きなさい。私の可愛いペット達。そして〜、頑張っている来訪者の方々にサプラーイズ。もーっと楽しんでいただけるように〜このレジナルドが直々に強化しちゃいます!血染めの大行進(ブラッティ・パレード)


 レジナルドの言葉に合わせて魔法陣がもう一回り大きくなったと同時に赤く染まった。その魔法陣から出てくる魔物は全て夜の時のように目が赤く血走っている。ここにきて重ねがけするのかよ!


 『血染めの大行進(ブラッティ・パレード)は可愛い可愛いペットちゃん達の能力を10%上昇させる私のとっておきです。それではせいぜい足掻いて私たちを楽しませてください。そ・れ・と、他にも私のプレゼントはありますからね〜楽しい悲鳴を待ってますよ?』


 ……どうやらこれで3日目スタートのイベントは終わりみたいだ。それにしても3日目にしてかなりこちらを追い込んできたな。


 「大変ですギルドマスター!」


 「どうした!」


 いきなりギルドの職員さんが駆け込んできた。どうやら先に事態が動き始めたのはレジナルドが言っていた他のプレゼントのようだ。


 「北区内に魔物が出現!ゴブリンやウルフといった雑魚が中心ですがオークも確認されているとのことです!」


 「むぅ、王都内には結界があるがそれすらも凌駕するか。場所はどこだ!」


 「はい!昨日桃殿が指摘しておられた場所になります!幸い、職員を配置し住民には被害が出ておりませんが時間の問題かと思われます!早急に応援願います!」


 「桃、レイ殿。頼めるか?」


 「「もちろん!」」


 「みんな聞いたな?イベントが進行して外の魔物はより強力に、そして街の中にも魔物が出るようになった。出現箇所はある程度特定している。自分の実力を鑑みて行動してくれ!僕と桃は本格的に打って出る!ここが正念場、頼んだぞ!」


 「「「「おう!」」」」


 「うわぁぁ!」


 レイの演説で上がった士気に水を刺すかのようなプレイヤーの悲鳴。その場にいた全員がその声のした方を振り返った。


 「おいおいマジかよ!ワイバーンが3体も出るのかよ!」

 

 ある一人のプレイヤーが叫んだ言葉はこの場にいた全員の気持ちを代弁していた。ワイバーンは王都にたどり着くための最終試練。ある意味現状では最強の敵キャラだ。1体でも苦労したはずのワイバーンが3体も出てきた上に、さらに強化までされている。諦めムードになるのも仕方ないと言えるだろう。


 ただ1人を除いては。


 「レイ!お前あれ1人で1体いけるか?」


 「流石に無理だ!普通のワイバーンだってパーティーでようやく安定してきたところなんだ!」


 「じゃあここまで自力でたどり着いた奴らをまとめて1体落とせ。残りの2体と下にいる雑魚は俺に任せろ!」


 そう言って俺はレイの返事を待たずに門の上から飛び立つ。まぁ、せっかくこうしてイベントが動いたわけだから空を飛ぶんじゃなくて昔流行った某巨人が進撃してくる漫画みたいに飛び回って撃墜してやるか!


 「フェルド、クリスタ、ヴォート、アルバセロ、ルーセント、ヴィクティム召喚。みんな下の雑魚は任せたぜ!」


 英霊たちはコクリと頷いて各自好きなところへと散って行った。俺はマジックシールドを蹴ってワイバーンに接近。それっぽくするためにわざと腰付近から魔力糸を出して飛び回る。


 「いくら強化されようと、眼球を斬れねぇ生物なんざ存在しねぇんだよ!」


 ワイバーンに向かって高速で移動して噛みつき攻撃をレビテーションと魔力糸ですれ違うようにして躱し、その瞬間に柔らかい眼球に槍を突き刺す。俺の刺した槍は反対側の目まで貫通し、途中にあった脳を破壊したために呆気なく1体目が落下。その巨体でついでのように下にいた魔物たちを押しつぶした。


 仲間がやられたにも関わらずもう1体のワイバーンは俺目掛けで火球を放ってきたので落下するように躱してレビテーションで静止。そのあとすぐにマジックシールドをワイバーンの頭付近に発動して魔力糸と重力魔法のライトウェイトを並列起動して瞬時に体を巻き上げる。


 ついでに体を回転させて嚥下するために構造上弾力がなければならないワイバーンの喉元を回転斬りで切り飛ばせばあっという間にワイバーンが2体地面に沈んだ。


 下を見れば六英雄神たちがボス級魔物を蹂躙し、溢れた数体に対してプレイヤーが数人がかりで対処に当たっている。今、門の外で戦っているプレイヤーはレベルカンストまではいかないものの30は超えているために危ない場面はきちんと他のプレイヤーがカバーできている。


 問題なのはレイ達の方。レイを筆頭にレベル35〜40で構成されているにも関わらず被弾が多い。やはりこの短期間で各プレイヤーが対空手段を得るのは難しかったか。それにパワーアップされているしな。

 

 そのままレイの近くまで移動して落下すると同時に両方の翼を【獄炎】で燃やす。これで飛べなくなって落ちてくるはずだ。


 「……君がやれって言ったんだからね。」


 「わーってるよ。それくらい。」

 

 「でも、ありがと。助かった。」


 「礼をいうにはまだちと早いぜ。これを乗り切ってからだな。」


 俺の視線の先には魔法陣から這い出てくる血走った目のオークジェネラル。多分俺以外は倒したことないんだろうなぁ。そのほかにも岩鎧リザードやリザードマン部隊、ジャイアントトードーやキングカブトなど次々とボス魔物が出てきている。


 「まるでボスラッシュじゃねぇか。ポイント稼げるからいいけど、これはマジで全員で当たらなきゃ門が削れるな。」


 「そうだね。手始めに桃しか倒したことのない魔物がいるよね?その討伐方法を教えてくれるかな?」


 「もちろんだ。でもちゃんとついて来いよ?」


 それから3時間ほど六英雄神の英霊の協力の元でレイを含めた門の外組と一緒にボスラッシュを攻略した。具体的にはボス相手でも平気で無双している彼らに獲物を分けてもらい初めてのやつなら俺が戦い方を説明しつつ攻略。そのあとレイ達が攻略って流れになった。


 初めてプレイヤーの戦い方をじっくり見たけど無駄がありすぎるな。武技に頼りすぎで硬直が大きかったり、結構素早くて技量もあるボス相手に一定の動作しかできない武技は正直向いてない。


 それなのにバンバン強い武技を打ちたがるので困ったがうまくハマれば火力は出るのでもうそこは本人達にお任せした。


 俺が教えたことは【弱点特攻】で弱点に設定されているその魔物固有の弱点や【看破】を使ってその魔物の属性を教えた程度だ。


 ちなみに俺がソロでボスラッシュを攻略するなら【獄炎】+二刀流か獄炎で燃やし尽くすか、【獄炎】を使わずにコンボ系スキルで一瞬で首を落とすかのどれかになるな。あ、あとは【並列起動】と【多重起動】と【魔力操作】で極悪にした魔法を空を飛びながら絨毯爆撃するのも楽かもしれない。


 要するにやりようはいくらでもあるってことだ。


 門の外組がある程度落ち着いて攻略できるようになったので俺は一足先に制限時間5時間の睡眠を取ることにする。このイベントがこのまますんなり終わるとはどうしても思えないからな。この比較的外が落ち着いているのは嵐の前の静けさだろう。絶対に終わりにかけてなんかあるだろうからここで睡眠時間の制限を撤廃しておくのが吉だ。


 「ギルマス、王都の中の様子はどうだ?」


 一応寝る前にギルマスの声をかける。弱いけど魔物が出てるって話だったからな。


 「桃が見つけてくれた魔力的な違和感のおかげで初期対応が迅速にできた。多少戦闘の余波でものが壊れた程度の損害はあるがけが人は無しだ。来訪者の低ランク冒険者もよく戦ってくれている。」


 「そうか、それならそっちは問題なさそうだな。」


 「うむ、今の所は、だがな。」


 ギルマスと会話をしたあとは生産職組のところに行って素材を渡す。その量にケル君が涙目だ!知ったこっちゃない。頑張れ。


 生産組に素材を渡したあとはメッセージの確認をして寝た。ギルマスの言うように今の所は大丈夫そうだな。

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