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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第27話 公式放送

前回のあらすじ

 ・ついにゲームが本当の意味で動き出します

 ・昨日のとんでもない数のログを確認します

 ・ヤベェスキルがきました

 ウィンドウにはIWOのオープニングが流れている。準備中と画面に右端に表示されているが直に始まるだろう。


 ウィンドウが表示されてから数分もせずにパッとオープニング映像が途切れ、画面いっぱいにものすごくイケメンなアバターが映し出された。それはもう現実ではありえないほどのイケメンなのでアバターだとすぐにわかった。


 『やあやあ、プレイヤー諸君。どうもこんばんは。って聞こえてるかな?……うん?聞こえてる?オーケーオーケー不具合が無いようでなによりだ。それではこれより公式生放送の記念すべき第1回目を始めるよ。


 そうそう、まずは自己紹介だね。僕はこのIWOを運営するIWO特別対策本部の室長をしている坂田(仮)だよ。まぁ、IWOの関わる人の中で会社の幹部クラスを除けば最高責任者ってことになるかな。まぁGMの一人だと思ってくれて構わないよ。


 まずはプレイヤー諸君、IWOで遊んでくれてどうもありがとう。IWOに関わるもの全てを代表して礼を言わせてもらうよ。


 さて、君たちプレイヤーの貴重な時間を奪ってるわけだ。早速本題に入ろうか。ワールドアナウンスでもあったようにプレイヤー名レイ君率いるパーティーがプレイヤーとして初めて王都に到達した。それによってIWOが本格的に稼働し始める。


 その1つがワールドクエストだね。一応RPGのゲームとして発売しているから何らかの目的が必要なんだよね。まぁ、そんなガチガチな目的じゃないよ。端的にいえば人に仇なすものを倒すってだけ。別に倒しても倒さなくてもいい。エンディングが無いのがこのゲームの特徴でもあるからね。


 で、話を元に戻してイベント内容に触れよう。今回のイベントは王都防衛戦だ。闇に蠢く人類の敵が王都に魔物を嗾けるからみんなで王都を守ろうってことだね。詳しいイベント内容とかはお知らせかホームページを見てね。


 イベント開催に関していくつか運営から情報を公開するよ。もちろんすでに知っていて秘匿したかったプレイヤーがいるだろうけど、ゲームの進行上どうしても必要になるからそこは勘弁して。その代わりちゃんと補填するからね。


 まず1つ目。各町と王都を結ぶ馬車が存在するよ。まぁ、当然といっちゃ当然だね。だってこの世界で生きる人たち、特に行商人なんかがエリアボスなんて倒せるわけないしね。だから、全然始めたばかりのプレイヤーでもイベントに参加できるよ。


 2つ目が冒険者ランクがC以上になるとこれまで行ったことのある街に転移できる転移門が存在する。これは掲示板でも話題になってたけど、王都に近づくにつれて魔物の脅威は当然下がってゆく。イベントに向けて育成したいならどこが一番いいのか、よく考えてね。


 3つ目が2つ目に関連したことなんだけど、Cランクに上がる際に試験があるのは知ってるよね?その難易度は住人への好感度で変化する。これも当然っちゃ当然さ。だって悪人が転移門を自由自在に使えるとか最悪以外のなにものでもないよね。


 規約でも散々書いたのにさ、住人に対してなんであんな対応できるのか甚だ疑問になるプレイヤー、実に多いよ。僕たち運営はさ、この世界が好きなんだよ。自分たちが愛する世界の住人に横柄な態度や迷惑をかける余所者は当然それ相応の地獄を見ることになる。覚悟しておいてね?


 おっと、流石に私怨が入りすぎたかな?とにかく、今言った情報、うまく活用してイベントに参加してほしい。それじゃ、イベント頑張ってねー』


 プツンと音がして放送が終了した。なんだろう、このなんとも言えないコレジャナイ感は。まず配信者に坂田(仮)を選んだやつ出てこい!なんだあの気の抜けた喋り方は!


 イベント内容も魔物襲来系のイベントってことしかわからなかったし、ワールドクエストも全然わからなかったよ!一体なんのための放送だったんだよ!


 しかも俺とレイを含めて極少数しか知らないはずの転移門の存在をばらしやがった!くそ!俺の優位性が一気に飛んだじゃんか!せっかく静かで暮らしやすくなったウノやドスがまたプレイヤーで溢れかえるのとかまじで勘弁してくれよ……。


 そんなことを考えていたら運営からメッセージが2件届いた。1件目はイベントの詳細について、そして2件目がさっき放送でも言われていた補填についてだ。


 まずは補填の方からチェックしよう。転移門の存在は俺にとって非常に大きかった。補填内容がしょぼければ流石に抗議の1つぐらい入れてやろうと思う。


 『桃様

  平素よりIWOをご利用いただき誠にありがとうございます。先の放送の転移門の件ですが、実態としてそれを利用されていたのは桃様だけになります。誰でも知り得た情報とは言え、運営の都合により桃様の優位性を奪ってしまったことをお詫び申し上げます。

 つきましては、謝罪と補填と致しまして、スキルポイント100及びスキル経験値ブースト、レベルアップブーストのアイテムをお送りさせていただきます。』


 ……よし、クレームをいうのは辞めておこう。逆にここまでしてもらって申し訳なくなるな。確かに運営の言っている通り、現状で俺が知ってただけで遅かれ早かれみんな知ることになる情報だ。その対価としては十分だな。


 スキル経験値ブーストとレベルアップブーストの有効期限が今日からイベント開始まで。そしてレベルアップブーストは現在のレベルキャップである40に達した時点で消滅。スキル経験値ブーストは使用開始からゲーム内時間で3時間効力を発揮するそうだ。


 今急いで使わなくてもいいようなのでひとまず後回し。肝心のイベントの内容を確認しよう。


 イベント内容を大雑把に言えばさっきの放送で言ってたように王都に魔物が襲来するのでみんなで防衛しようってことらしい。


 具体的には東西南北それぞれの門に魔物が押し寄せる。プレイヤー側の敗北条件は門が破壊されることだ。ここまでは割とどのゲームでもあるイベント内容だ。理解は早い。ここからがIWOならではの要素になるようだ。


 まず、プレイヤーは東西南北どこの門を守るか決める。この決定がかなり重要で、それぞれの門には俺たちプレイヤー全体を強化する重要なNPCが存在する。


 東:全能力を15%上昇・被ダメージ時20%の確率でHPを10〜15%回復・スキルクールタイム30%軽減・獲得ポイント15%上昇という効果をもつこの国の王太子


 西:残りHPが多いほどSTR・VIT・INT・MIDを最大25%上昇・スキルの威力を15%上昇・被ダメージ時スキルクールタイムを5〜10%減少・獲得ポイント15%上昇という効果をもつこの国の騎士団長


 南:最大HP・MP・STR・INTを20%上昇・物理・魔術ダメージ5%軽減・常時体力回復毎分1%・獲得ポイント15%上昇という効果を持つこの国の第一王女


 北:ステータス上昇効果が無い代わりに獲得ポイントが50%上昇する効果を持つ王都の冒険者ギルドのギルドマスター


 この4人が六英雄神に祈ることで最大で上記の恩恵をプレイヤーに齎してくれる。 


 イベントなので当然ランキングがある。今回はポイント制で各門での討伐、納品、貢献、累計ポイント。全体での討伐、納品、貢献、累計ポイント。そしてサーバーポイントの合計9種類で競うようだ。ではそれぞれのポイントの稼ぎ方を見ていこう。


 1つ目がひたすらに魔物を倒していく方法。押し寄せる魔物はゴブリンやウルフと言ったウノ周辺で雑魚扱いされる魔物からエリアボス級、さらにその上まで結構幅が広いらしい。その魔物にそれぞれポイントが付与されており倒せば倒すだけ討伐ポイントが入る。戦闘職や攻略組はこれが一番稼げるであろう。


 2つ目が生産物の納品。このイベントでは普段のドロップとは異なってゴブリンから薬草がドロップしたりする。それを加工してポーションにして納品すればポイントが稼げる。これは生産職向けのポイント稼ぎだな。もう少し具体的にいうと例えばゴブリンの討伐ポイントは1だ。そしてゴブリンからは薬草がドロップする。薬草をそのまま納品すれば納品ポイントとして2ポイントもらえるが、これをポーションに加工して納品すれば5ポイントもらえる。熟練した生産職ならばうまくやれば戦闘職よりも累計ポイントを稼ぐことは可能だろう。


 ここで注意したいのはさっき上げた各門のNPCの強化効果はあくまで最終段階まで強化された時らしい。最初はもっとしょぼい効果で納品ポイントによって上昇する仕組みのようである。なのでひたすらに戦闘だけをする脳筋ばっかり集まると大した効果が得られないということになり大惨事である。さらに意地が悪いことに、一度上昇した効果でも納品数が少なくなると効果レベルが下がることがあるそうだ。戦ってばかりではダメということだろうな。


 また、ボスクラス以上になると納品ポイントを大幅に稼げるアイテムもドロップするらしく、雑魚だけをちまちま狙うなという運営のメッセージを感じる。


 3つ目がイベント中に王都内で起きる様々な依頼やトラブルを解決することによって王都の治安維持に貢献したということでポイントがもらえる。これは戦闘が苦手な生産職や本当に駆け出しの人とか向けのようだ。単発な分、数が少ないがその代わりにポイントがかなりいい。最低でも500ポイントがもらえる。累計ポイントでかなり優位に立てることは間違いない。


 以上が個人やパーティーでのランキングで、最後のサーバーポイントは東西南北の門、それぞれの累計ポイントでどこの門が一番ポイントを稼いだ、引いては王都防衛に貢献したかの順位を競う。それぞれの上位者や1位になった門には当然豪華賞品が用意されている。これは是非とも上位入賞を目指したい。


 そして、このイベントはこれだけじゃなくて進行速度によっては随時更新されていくらしく魔物を狩るだけとかの単純な作業ゲーになることはなさそうだ。


 このイベント情報が開示されてからすぐに掲示板ではイベント専用のスレが立った。軽く覗いてみた結果、門の中で一番人気なのはバランスが一番取れている王太子の東門だった。逆に一番人気がないのは北門。ポイントは魅力的だけどバフがないのは辛いって意見が多かった。


 「ん?レイからチャットか」


 レイ:放送は見たよね? 

  桃:もちろん見たさ。

 レイ:せっかく君が教えてくれた転移門の情報、まさか運営からバラされるとはね。

  桃:ほんとそれな。

 レイ:僕の方にも一応補填は来てたけど、優位性がなくなったのは正直痛いね

  桃:確かにそうかもしれないけど、Cランクに上がるのだって結構大変だぞ

 レイ:言われてみれば、そうかもしれないね。僕のパーティーは君からの情報を得てすぐにランク上げに走ったから。あとは試験を受けるだけだし、優位性はまだ保たれているって考えることも出来るね。

  桃:試験も結構厳しいし、補填もあったからアウフってところだな。できればもうして欲しくはないけど。

 レイ:……そうだね。公開されたことだ。うじうじ言ってもしょうがないか。ところで話は変わるけど、今回のイベントはIWOで初めてだし、久々に一緒に遊ばないか?

  桃:俺は構わないけど、お前のパーティーはいいのかよ

 レイ:今回のイベント、どちらかというとソロ有利っぽいんだよね。パーティーだと戦闘時のポイントが頭数で等分されるみたいだし。今回はみんなソロで挑戦することに決めたんだ。

  桃:レイが大丈夫ならいいぜ。久々に一緒に暴れるとしようか

 レイ:それで門はどこにする?まぁ、君のことだからあそこだと思うけどね。

  桃:お、さすがは腐れ縁。俺のことをよく分かってらっしゃる。でもまぁ、一応セーので言ってみるか。

 レイ:いいとも。

  桃:それじゃあ、せーの!

 レイ:@門

  桃:@門 

  桃:はは、やっぱり気が合うなぁ!

 レイ:やっぱりこうでなくっちゃね。ゲーマーだもん

  桃:それじゃイベント当日までお互いにレベリングだな。

 レイ:早く僕に追いつけるといいね

  桃:首洗って待ってやがれ。必ず度肝抜いてやるからな!

 レイ:楽しみに待ってるよ


 こうして、様々な爆弾をプレイヤーたちに投下しながらイベント開催は高らかに宣言された。


最後の桃とレイのチャットでの@は意図的なものです。イベント開始まで桃たちが選んだ門は内緒ってことで。


 次の投稿は掲示板回を予定してます。はい、あのセンスのカケラもない掲示板回再びです。どうすれば掲示板回をうまく書けるのでしょうか?と苦闘しておりますが明日は、ギリ無理かもしれないので保険と言い訳をかねて明後日までには次の話を投稿したいと思います。

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