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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第23話 領主との出会い

前回のあらすじ

 ダンスだぜベイベー!

 舞って踊ってダンシング!(空中)

 リザルト!!

 バイトとIWOに費やしたゴールデンウィークがついに終幕してしまった。勤労学生たる俺は今日も今日とて大学にバイトと精を出す。IWOにログインしたいのは山々だがIWOの購入代金と初期投資で計7人の渋沢栄一様が俺の元から旅立っていってしまったため、新たに迎え入れなければ俺が死んでしまう。


 そんな訳で少しばかりバイトのシフトを増やしたので前回のログアウトからまる2日ログインができなかった。ゲーム時間でいえば6日か。こりゃ結構な痛手だな。


 ログインできなかった間は玲と大学で情報交換するに留まった。玲たちのパーティーはもうじき王都に到達できるそうで、近々クアトロのエリアボスに挑むそうだ。ちなみに玲たちのパーティーの平均レベルは30ちょいでもうすぐレベルキャップの40に届く。


 王都では転職ができるそうなのでより一層攻略が進むと楽しそうに話していた。ちなみに俺の現在地と最高到達点を聞いた玲は盛大に笑っていた。今に見てやがれ、そのうち見返してやる。


 そんな訳で2日ぶりのログイン。目が覚める


 「ここは……知っている天井だ」


 「何を言っておる。久々に目覚めたと思いきやいきなり変なことをぬかしおって。」


 どうやらランザと築いた信頼は間違っていなかったようだ。目が覚めるとそこはランザの家。無事に俺をここまで運んでくれたようである。


 「すまないな。少々向こうの世界で立て込んでてこちらの世界に来ることができなかった」


 「あー、そういえば桃の世界とこっちの世界じゃ時間の流れが違うんだったか?桃からすればこっちの方が早いんだっけか。」


 「よく覚えていたな。」


 「まぁ、桃の世界の話を聞くのは面白かったからな。ってこんな話をしている場合じゃねぇ。この前のロックリザードの討伐の報酬の件だ。実はこの話結構深刻な問題になっていてな、領主の元まで話が行きかけてたんだ。

 けど桃が引き受けてくれたことでエリックが衛兵の出動を止めた。だが蓋を開けて見れば岩鎧リザードまでいた。これが冒険者ギルドや衛兵たちが対処していたら事前情報の食い違いで大損害を生み出しかねない状況なんだ。

 そう言った意味もあって、この街の鉄鉱石危機だけじゃなく大規模被害を未然に防いだってことで領主から謝礼がしたいって結構前から言われてんだ。寝起きで悪いがこの後すぐに冒険者ギルドに向かってくれるか?桃たち来訪者の中には権力に囚われるのが嫌だという人間もいると聞いてな、領主がギルドで良いと言ったそうだ。ちなみにここの領主は中央の豚どもみたいに権力意識とかねぇ良い人間だから心配はいらねぇぞ」

 

 俺がログインできなかった間に結構色々動きがあったようだ。ランザや領主を待たせてるようなのでランザが出してくれたサンドウィッチを食べ、ギルドに向かう。


 「……えーと、なんで俺はギルドの訓練場で領主様と向き合ってるんですかね?」


 「ハハハ!それは当然、一武人としてランザやエリックに認められ、我が領地を脅かしていた元凶、岩鎧リザードをたった一人で討伐した我が街の救世主の実力、試してみたくなるだろう!」


 ちらりと秘書らしき男性の方を見るも目をそらされた。はぁ、きっとこの領主は戦闘狂の類だろうな。ならさっさと倒した方が話が早そうだ。


 そうそう、俺がログインできていなかった間にショートメンテナンスとアップデートがあったらしい。内容はNPCや従魔、英霊とのPVPの解禁。これまでは、相手の合意のもとで色々な賭けをしながら対人戦を行う決闘システムがあったのだが、これはプレイヤー同士でしか使えなかった。


 しかし、アップデートでNPCにも使えるようになり、一部の道場なんかでは真剣を使ったまさしく実戦そのものな訓練が行われるようになったらしい。身近では当然のようにエリックが取り入れたとランザが言ってた。


 なぜ急にこんな話をするかというとその決闘システムを利用してウノの領主と向き合っているからである。


 「それではこれより、来訪者桃 対 領主カルディアス・ウノ・アルガンの試合を始めます。ルールは実戦同様なんでもありの真剣勝負。それでは……始め!」


 冒険者ギルドのギルドマスターの合図で試合が始まる。領主カルディアスは筋骨隆々でスキンヘッドの大男。武器はその体躯に見合うほどの大きな片手斧。厄介そうではあるが見るからに物理アタッカーなので相性は良さそうだ。


 「それでは先手は桃殿に譲ろうじゃないか。」


 「……では、お言葉に甘えて。波状の獄炎ヘルブレイズ・ウェーブ


 獄炎を発動。武器に纏わせ、範囲を広げて波の如く相手にぶつけるこの技。手軽に広範囲攻撃かつ腐食・火傷という異常状態をプラスで与えられるコスパの良い技だ。


 「なんのこれしき!武技『パワークラッシュ』!」


 その獄炎の攻撃を領主はたった一撃で蹴散らした。しかも使ったのは斧術で最初に覚えられる武技。やっぱりこいつもチートかよ。


 「やはり一筋縄では行かないですか!」

 

 武技の硬直で固まっている隙を逃さず持った剣を投擲する。この剣は幻創霊器ヴェルガンドで生み出したもの。失っても痛くもかゆくもない。


 「ふん!」


 「まじかよ。」


 領主はなんと全身の筋肉に力を入れただけで俺の投擲を弾きやがった。これでも一応投擲のスキル持ちだぞ。


 「今度はこちらから行くぞ!」


 その巨体に似合わぬ素早い踏み込み。これは歩法とかではなく、純粋な身体能力での速度だ。その証拠に訓練場の地面が割れている。


 斧の上段からの振り下ろしを【見切り】を使って躱す。同時に【戦場に立つ獣王の舞】がスタートする。領主は接近戦ではスキルを使わないようで次から次へと嵐のように斧を軽々と振り回す。


 その刃の嵐のなかを俺は【見切り】と【空間把握】を使って踊る、踊る、踊る!


 「むっ!」


 何か変化を感じたのか領主が急にその場から大きく飛んで間合いを取った。しかし判断するのがわずかに遅かったようだ。俺の舞はすでに最高潮に達しているぞ。


 「【超克】【限界突破】【覚醒】」


 自身にバフを積んでゆく。これだけ積めばレベル差なんてあってないようなものだ。


 「ククク、ハハハハ!この俺が気圧されるか!世界はまだまだ広いな!こい!このカルディアス最強の技で迎え撃とうではないか!」


 領主はその斧を高々と掲げ構えた。斧に魔力が集まってるのがわかる。多分一撃に全てを込めて武技を使うんだろう。


 無言で駆け出す。これまでとは比較にならないほどの速さで一瞬を置き去りにして距離が縮まる。


 「処罰バニッシュメント!」


 ただただ純粋に振り下ろされた斧はこの世の全てを断ち切らんとする破壊の権化。今までカルディアスのこの一撃を受けて生きていたものは数える程しかいない。そのうちの1体がこの世界で最強を誇る竜種であったといえばカルディアスの一撃の破壊力がわかるというもの。その時でさえ、竜の堅牢な鱗を全てかち割ったのだ。異常である。もちろんその分デメリットも多いのだが。


 「残念、まだ速度は上がるんだ。」


 正直、【全反撃】でも楽勝に勝てるけどそれじゃ流石に呆気なさすぎるでしょ。そう思ってここで温存してた【瞬歩】を使い、一気に加速して斧が振り下ろされる前に腹に剣を突き刺す。


 「ゴパァ!?」


 盛大に血を吐く領主。そしてダメージを受けたことで武技がキャンセルされる。


 「ぐっ……!」


 それでも最後の抵抗なのか俺の頭を掴もうと左手を動かす。結構丈夫なんだな。


 「【獄炎】マジックシールド、ライトニングピラー」

 

 腹に突き刺した剣に獄炎を纏わせ体の中から燃やし、さらに【空間把握】で把握した領主の頭上に【無詠唱】と【魔力操作】の効果でほぼ思ったと同時にマジックシールド展開して固定。その状態でライトニングピラーを放てば吹き飛んでダメージを軽減することなく結構なダメージを与えることができる。


 ピー!とゲームにそぐわない電子音が鳴り響き、視界いっぱいにK・Oの文字が現れた。初めて決闘のシステムを使ったけどこんな感じになるんだ。古い格ゲーみたいだ。


 これが鳴ったということは現実ならば領主を殺せたということになる。すなわち決闘の終了だ。周囲に被害が及ばないように展開されていた結界がなくなり、何事もなかったかのように現状復帰と回復がシステム的に行われた。


 「いやはや、完敗だったな。ここまで手も足も出ないとは。さすがは一人でボスを討伐するだけのことはある。」


 「いえいえ、たまたま運がよかっただけです。」


 「桃殿、謙遜は美徳だがそれもすぎると嫌味になるぞ。少なくともこの街で3本の指に入るこの俺を倒したんだ。十分に誇るといい。俺より強いのは【鉄壁】のエリックと【辺境の英雄】ランザ殿くらいだな。」


 ランザもエリックもかっこいい二つ名持ちかよ。そりゃあ強いわけだ。


 「ちなみに俺は【破砕】なんて昔は呼ばれてたな!」


 ガハハと笑う領主。なるほど、少しは読めてきたかもしれない。この街、明らかに辺境だ。当然魔物の危険が他の地域より格段に多いはずだ。そこで今でも一線級で活躍できそうなおっさんが治めているのか。自身も戦う領主として。


 そしてこの領主とエリック、そしてランザがいるからこそ未知の力を持った俺たち来訪者を受け入れることができたんだな。


 「桃殿、よければまた俺と戦ってくれ」


 不意に投げられた物を反射で受け取ってしまう。見れば領主のフレンドカードだった。これはしてやられたな。これじゃ断れないじゃないか。


 <カルディアスとフレンドカードを交換しました>


 「それから報酬の話だ。ここにいるギルド長と協議した結果、桃殿をBランクへと認定する。そして同時にAランクへの昇格試験を受ける権利を進呈しよう。それから金銭面では報奨金、依頼達成金合わせて150万G、当然この後素材を売ってくれればその分はギルドが上乗せする。そしてこの街の北区にある没落した貴族の屋敷を報酬としてつけよう。最後についでみたいな形で悪いがランザから聞いた例の件、あれのアイデア料として先に渡した3つの武器とこれをやろう」


 そういって渡されたのは1冊の本だった。


 「ここでは内容までは言えねぇが、それはこの国の伯爵以上の貴族の当主にしか閲覧が許されていない禁書の写本だ。ランザとエリックが信用している桃殿なら問題ないと思うがくれぐれも口外はしないでくれ。バレたらこの地位を失う。まぁ、それならそれで冒険者に戻るだけだがな!……あれ?それって俺に損はねぇぞ?よし、桃殿!積極的に……」


 「おっほん!」


 あ、秘書さんがカットインしてきた。やっぱり流石に口外するのはマズイようだ。


 「チッ!仕方ねぇやっぱり口外はなしで頼むわ。」


 「わかりました。」


 「それじゃ、俺は仕事があるからこれで帰るわ。屋敷とか詳しいことはあとでメッセージを送るかエリックに送らせる。少なくとも今日中には屋敷にたどり着けるようにしておく。それじゃな!」


 言いたいことだけ言うと領主は嵐のように去っていった。


 それからギルドの室内に戻りBランクへの昇格と素材の買取をしてもらう。素材の方はこれまでのゴブリンやウルフとは違い、素材の価値が一段階上がっているので結構な価格で全て買い取ってもらえた。そしてBランクに上がった1つの権利としてオークションへの出品が可能になった。なので俺が絶対に使わない岩鎧リザードのソロ初討伐報酬の鎧をオークションに出品してもらうことに。現時点での買取代金として93万Gをもらいギルドを出た。


 それから一旦ドスの街に飛んで古本屋で時間を潰す。金に余裕は出来たので『獣王伝説』『英雄神の試練』『ダンジョン探索のススメ』『魔術大全』の4冊、合計25万の本を購入。そしたらおまけで『魔法陣学入門』という本をくれた。なんでも、倉庫の奥に眠ってた本で買い手がつかなかった本らしい。ありがたく頂戴するとしよう。


 買い物が終わった頃にエリックから連絡が来たのでウノに飛んでエリックと合流。屋敷まで案内してもらってその屋敷のリビングにあったソファーに横になってログアウト。


 時間も遅いし明日も大学なので今日はここまで。屋敷の探索は明日の俺に任せよう。


NPCF【カルディアス】


 ここに来て一番かっこいい名前がこの人ではないか?


 IWOの初イベント何がいいですかね?

  候補:PVP大会

     魔物襲来

     イロモノ ここまま行けばイロモノにします!!!

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