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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第2話 チュートリアル

前回のあらすじ

 ・ゲームをもらいます。

 ・スキルを設定します。

 ・ちょっと長めのプロローグ

 キャラメイクを終えたところでゲーム開始の時間になった。『ゲームを開始する』を選択すると目の前に『チュートリアルをしますか?』と選択肢が出たので迷わず『はい』を選択する。


 βテスターやチュートリアルなんかを飛ばしていきなり戦闘を始めたり少しの間でもスタートダッシュを決めたがるような人向けにチュートリアルをスキップすることも出来るようだ。


 玲曰く


 「君はことゲームに関しては類まれな集中力を見せるけど、どこか抜けているところがあるからね。少しでも早くボクに追いつきたい気持ちはわかるけどチュートリアルはスキップしないことをお勧めするよ」


 とのことだった。腐れ縁だけあって俺の性格をよく知っている。そんな玲が言うのだから少々むかつくが従っておこう。


 <チュートリアルを開始します>


 そうアナウンスが流れたと思ったら俺を光が包み込んだ。

 

目を開けてみるとそこは平原だった。


 「ようこそIWOへ。私はノルン。この世界とあなたの世界を繋ぐ女神よ!」


 声のした方を振り返ると光に反射して七色に輝く銀髪に澄んだ水色の瞳。女性らしい豊かな胸にキュッとしまったウエスト。短めのスカートから覗く生足はすらりとしていて美しさすら感じさせる。黄緑をベースとした花の妖精のような服装をした17歳ぐらいの女の子がそこに立っていた。


 そこまでじっくりと観察してから彼女の言葉を思い出した。


 「え?女神?」


 「人の体を舐め回すように見て最初にいうことがそれ?」


 げっ、どうやらじっくりと拝見させていただいてたことがバレているようだ。


 「登録情報だと桃は二十歳よね?私ぐらいの見た目の子をそんな目で見るのってどうなのよ?」


 汚いものでも見るような凍えた視線を俺に向け、さらに的確にダメージを与えてくるノルン。ゲームのチュートリアルが始まる前から俺のHPはガリガリ削れていっている。


 「……はぁ、この世界でも彼以来、ましてや来訪者で初めて最初から召喚騎士になった人がいるからわざわざ私が来たのにトンだ変態だったみたいね。」


 「男は誰しも変態だと思う。とまぁ、できればこれぐらいで勘弁して欲しいんだけどな。一応βテスターの友達を待たせてるんだ。」


 「あなたみたいな変態に友達がいることが信じられないんだけど……ま、それもそうね。桃がこのまま強くなれば少なからず私と関わる機会も増えるだろうし。私の体を舐め回すように見た件はその時にまた追求するわ。」


 このAI、中に人が入ってんじゃねーかと思うほど感情豊かだな。


 「その、最初のセリフもそうだし、今のセリフもそうなんだけどさ。ノルンって何者?そのβテスターの友達から聞いた話だとチュートリアルで女神様?が出てくるなんて聞いたことないけど」


 「うーん、IWOに存在する全てのAIの統括にしてこのゲームの中の最高のAI。それが私。ゲーム内の立ち位置でいえば運命と時空を司る最高神よ。」


 「……は?」


 かなりの大物、いやIWOの中でも間違いなく1番の大物の登場に思わず目を見開いてしばし思考が停止する。


 「おーい?」


 「はっ!」


 少しして目の前で手を振られてようやく気が付いた。いや、冷静になってないけど改めて考えてみると疑問符が尽きない。


 「えーっと、その女神様がなんで俺に?」


 「聞いてなかったの?あなた最初の職業で召喚騎士を選んだでしょ。詳しくは言えないけどその職業は結構特殊な職業なの。だから普通のチュートリアル用のサポートAIじゃなくて私が出てきたの。」


 どうやら俺の選んだ召喚騎士とやらは特殊な職業らしい。それもこのゲームのメインAIが出張るほどに特殊らしい。


 「流石にPK思想とか持ってたらゲームの治安維持のためにそれなりの対処をしなきゃいけないなーと思ってたんだけど、変態なだけで問題なくてよかったわ。」


 変態じゃねーしと言いかけたが女子高生ぐらいの子を舐め回すように見てたことは否めないので否定できない。


 「さて、ここで全部話してもつまらなくなっちゃうからあとは実際にプレイしてから知っていってちょうだい。ちょっと前置きが長くなっちゃったけどチュートリアルを始めるわよ」


 「はいよ。」


 それからノルンの指示で歩いたり走ったり飛んだり逆立ちしてみたり、いろいろな動作をしてイメージと実際の動きとの齟齬を確認する。


 アバターをそれほどいじってないのでこれといって大きな違和感はなかった。強いて言うなら普段しないほどの長い髪が動くたびに揺れる感覚が新鮮だった程度だ。


 「見た感じ問題はなさそうね。それになかなか動けるじゃない。大丈夫そうなら次は戦闘のチュートリアルに行くわよ、準備はいい?」


 「大丈夫だ、問題ない」


 「……はぁ、じゃあ始めるわよ。はいっと」


 なにやら蔑んだ目でこちらを見て溜息を吐いたノルン。


 ノルンの視線から逃れるように顔を背けると、前方に魔法陣のようなものが現れ光を放ったのが見えた。光が収まると目の前に不定形なあいつが現れた。


 「チュートリアルの相手はスライムよ。設定上、動かないし反撃もしてこない。ここで戦闘の基本を学ぶのよ。まずは装備の変更よ。スキルポイントを装備に振ってない限りは壊れない初心者用の装備が送られているはずよ。武器はスキルによってランダムね。それで装備の方法だけどメニューから装備を選んで決定するだけ。メニューは言葉でも念じても出るわよ。」


 メニューから装備を選んで確認してみたところ俺の初期装備は無難に剣のようだ。動かないスライム相手には適当に振り下ろすだけで十分だったようで剣が当たるとスライムはポリゴンになって消えていった。


 「ま、動かないしそんなもんよね。あ、これがチュートリアルじゃなかったら倒した相手はアイテムを落とすわ。忘れずに回収してね。それから手に入れたアイテムや装備はアイテムボックスに入ってるわ。一応上限があるから注意してね。」


 「おう、わかった」


 「それじゃ次は魔術よ。魔術の使い方は人によっては武器より簡単かもしれないわね。手順はこうよ。1、狙いをつける。2、使いたい魔法を唱える。3、魔法が発動する。ね?簡単でしょ。はい、やってみて」

 

 ノルンが指を鳴らすと空中に的が現れた。とりあえず言われたとおりにやってみると無事魔術が発動して的を撃ち落とした。


 「これなら大丈夫そうね。ここでのチュートリアルはこれで終わりよ。……あ、来たみたいね」


 ノルンの言葉に首を傾げていると突如として目の前の空間が歪み、金色に輝く扉が現れた。


 「えーっと、ノルン。あれはなんだ?」


 「あれは次元の扉よ。簡単に言えばどこで○ドアね。次元の扉を自由に使えるのはその権能を持つ私ともう一人。IWOの世界最強の一人。6人の英雄神を召喚し神々、そして魔神をも討ち取った伝説の召喚騎士。そして私の大切なパートナーである彼だけよ。」


 ノルンの言葉に耳を傾けつつ扉を見ていると再び空間が歪み、男が現れた。パッとみただけで明らかに俺なんかとは格が違うのがわかる。ノルンの言う通りこのIWOで最強の1人と言われても納得できるぐらい強者のオーラがひしひしと感じられた。


 格好は全身白基調とした鎧にそれとセット装備と思われるような美しい両刃の剣。髪はグレーっぽい白で瞳には強い意志の力を感じる。しかし全体的に見ればゴリゴリのマッチョメンなどではなく、どこか優しげな顔をしている。


 ノルンは俺を見る絶対零度の視線とは違ってすごく嬉しそうに顔を綻ばせながら走り寄ってなにやら話し込んでいる。その最強さんも優しそうな笑顔を浮かべてウンウン聞いている。


 けっ!リア充めが。まさかゲームのチュートリアルでイチャラブを見せつけられるとは思わなかったぜ。


 そんなことを考えていると不意に俺に影がさした。パッと振り返ってみるとそこには件の最強さんが笑顔で立っていた。


 「……!」


 にこやかに笑ったまま彼は右腕を差し出した。反射的にその手を握ると急に彼がパッと光った。


 <称号【最強の召喚騎士の祝福】を獲得しました>


 突然響いたアナウンスに驚いている間に彼は再び次元の扉を使ってどこかへ消えていってしまった。


 「なにぼーっとしてるのよ。」


 おっと、またノルンによって意識を戻されてしまった。なんかチュートリアルなのにめちゃくちゃ驚くようなことばっかりだな。


 「いや、すまん。いきなり祝福なんて称号貰ったから結構衝撃受けてた。」


 「あー、やっぱりそうなのね。彼はもう半分ぐらい神の領域に至ってるから祝福を与えられるし、さっき私があなたのこと説明したから仲間意識が芽生えたのかしらね。彼、優しいから。うーん、彼が祝福を与えたってことは悪い人じゃないみたいだし……ま、おまけと今後に期待ってことで。えい」


 <称号【ノルンの期待】を獲得しました>


 <称号【ノルンの祝福】を獲得しました>


 「さ、これでここでできるチュートリアルは済んだわ。あとは冒険者登録をするだけね。それじゃ頑張ってねー」

 

  「あ、おい!ちょっとま…」

 

 制止する間も無くノルンのペースでどんどん流されてしまった。俺の止める声は空しく響き俺は光に包まれた。なんだかよく分からない形ではあるが俺のゲームは始まったみたいだ。



 白い光に包まれた俺は気が付くと大きな噴水のある広場に立っていた。


 足の裏に感じる石畳の感触やどこからともなく漂ってくる様々な匂い、大勢のプレイヤーで埋め尽くされた広場には様々なざわめきが広がっている。耳を澄ませば商魂たくましい商人の声や一緒に始めた友達を探してるのか誰かを呼ぶような声も聞き分けることができた。俺はこれまでプレイしてしてきたどのゲームよりも遥かに高い再現性にかなり驚いていた。


 辺りを見渡せば目に入る様々な種族たち。獣人もいればエルフもいるし厳ついドワーフもいる。当然ヒューマンの姿もちらほら見かけることもできる。尤もヒューマンには幼い女の子の姿がなぜだか多いがそれは触れないでおこう。


 様々な種族が行きかい、また立ち止まって俺と同じようにきょろきょろと辺りを見回したり合流できた者たちはお互いの姿を鑑賞しあっている。特に髪の毛の色なんかカラフルで見ていて中々楽しい。


 人以外に目を向けるとそこにはヨーロッパのどこかにあるようなそんな風景が広がっていた。木造の柱に白い漆喰の壁、広場に面した一階部分は店になっているようだ。この場で見えるだけで雑貨屋や八百屋などが見える。


 <称号【来訪者の召喚騎士】を獲得しました>


 <称号【到達者】を獲得しました>


 <スキル【限界突破】を獲得しました>


 <称号【最速の頂点】を獲得しました>


 <スキル【瞬歩】を獲得しました>


 <称号【EX職の解放者】を獲得しました>


 <スキル【覚醒】を獲得しました>


 <称号【困難に立ち向かう者】を獲得しました>

 

 <スキル【逆境】を獲得しました>


 《お知らせします、初めてEX職に就いたプレイヤーが現れました。これにより情報を開示いたします》

 《現在実装されている職業は第3次職までですが、ある条件を満たして転職すると通常の職業とは違う職業に就くことができます》

 《その特別な職業をEX職と呼び、現在では3種類実装されています》

 《なお、EX職の転職条件は他の職と比較してかなり厳しくなっていますので選択なさる場合は十分注意してください》

 《この世界は様々な職業で溢れています。様々な経験をして自分だけの職業を見つけてみてください》


 !?

 俺のことだと!?


 ノルンが言ってた特別な職業ってこれのことか。称号を見る限り頂点とか到達者とかどうも最上位職の一つな気がするな。確か称号には特殊な効果があるって聞いたけど……それに称号で得たスキルも気になるけど……。


 うん、ここは俺の心の平穏のために一旦は無視しよう。まずは先にチュートリアルの最後、冒険者登録を終わらせて、それから玲と合流して相談しよう。そうしよう。絶対俺一人じゃ何かやらかす。


 思考を放棄した俺はこれだけ人が居るのにゴミが一切落ちていないところは流石にゲームだなーなどとあえて現実から目を逸らしつつ、冒険者ギルドを探して歩き始めた。


桃 Lv.1

職業 召喚騎士

 HP  80

 MP  160

 STR 15

 VIT 12

 INT 15

 MID 12

 DEX 12

 AGI 11

 LUK 15


称号

□一般

 【◎来訪者の召喚騎士】【◎到達者】【◎最速の頂点】【◎EX職の解放者】【◎困難に立ち向かう者】


□祝福

 【◎最強の召喚騎士の祝福】【◎ノルンの祝福】


□神々からの称号

 【◎ノルンの期待】


スキル(0SP)

□武術系

 【剣術Lv1】【槍術Lv1】【杖術Lv1】【鎧Lv1】【武術の心得】

 

□魔術系

 【火魔術Lv1】【水魔術Lv1】【風魔術Lv1】【土魔術Lv1】【召喚術Lv5】

 【魔術の心得】


□その他

 【鑑定Lv1】【◎☆限界突破】【◎☆瞬歩】【◎☆逆境】【◎☆覚醒】


◎は今話で新しく追加されたもの

☆は初取得、イベント特典などで強化されているもの


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変変態変態ちょっとうるさ過ぎ それに別に変態では無いと思う 変態なのはあられもない格好で人前に現れておいて 見られたらきゃーへんたい!とマウントを取る方
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