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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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第14話 英霊召喚

前回のあらすじ

 ドスの街へ行きます

 スキルレベル爆上げヒャッホイ

 ボス瞬殺♪

 ドスの街の冒険者ギルドはウノの街のギルドとは違い穏やかな空気が流れていた。来訪者の姿があまり見えないことが原因だろうか?


 カインたちはまだ見えていないので彼らを待つついでに近くに居た冒険者の住人に酒を御馳走しつつ話を聞いてみることにしよう。情報収集は何より大事だからな。


 酒で口が軽くなった彼らによれば、最近になって来訪者がどんどんウノの街からドスの街へ流れて来るようになり、来訪者たちは争うように周囲の魔物を狩るのでここのところドスの街周辺に魔物は少なく、安全になったために依頼が少なくなったそうだ。


 仕事を奪っているような気がしたがどの冒険者も平和になったことを喜びはしたものの妬まれたり、恨まれたりしてはいないようだったので一安心だ。


 まぁ、住人の好感度がマスクデータとしてあるゲームで狩りのし過ぎで好感度が下がったら特に序盤は戦闘職が何もできなくなってしまうのでその辺は上手く調整されているのかもしれない。


 二軒目に行くという冒険者達を見送り待つこと10分ほどでギルドの入り口付近が騒がしくなった。そちらの方に注目してみると見覚えのあるオレンジと深い緑色の髪が見えた。どうやらカインとサーシャが来たようだ。


 「よぉ、桃。久しぶりだな。」


 「久しぶりね桃」


 入り口からきょろきょろと辺りを見回していたのでヒョイっと手を挙げると俺を見つけてやってきた。


 「…ほう、言った通りにしっかりと鍛えてたみたいじゃないか。結構結構。」


 「カインさん見ただけでわかるんですか?」


 「まあこれぐらいはな。伊達に隊長やってるわけじゃないぞ?これは感覚的なものだからははっきりとは言えないけど、貫禄がついたように見える。相当強い人たちと訓練してきたんじゃないか?」


 「さすがだな。まぁ鍛えてもらった俺が言うのもアレだが、結構な猛者たちとかなりの変人たちに揉まれたからな。そりゃ貫禄ぐらいついてもらわなきゃ困る。」


 「へぇ、そんなところも見てるんですね。私にはわかんないですけど。」


 「こればかりは経験がものを言う。仕方ないさ。」


 どうやら無事カインに認められたようだ。メッセージで言われてたから地味に緊張していたんだよな。


 「桃、悪いが一旦ウノの街に移動だ。詳しい話はウノの街にある神殿で話そう。そっちの方が何かと都合が良い。」


 「今から移動か?」


 「時間の心配をしてるなら問題は無い。少し場所を移そう。」


 カインとサーシャに連れられ、街を出る。宿は1日ごとに支払いをするつもりだったので別に問題ない。私物も置いてない。向かう先は森のようだ。


 森の中を結構な速度で進むこと15分。それなりに深い場所まできたので周囲に人気が一切ない。ここまで来るのに当然魔物にも遭遇したが、俺の気配察知に引っかかるか掛からないかぐらいのところで2人よって瞬殺されていた。


 「ここなら問題ないだろう。サーシャ。」


 「はい」


 サーシャが何かの魔道具を起動する。そのわずか数秒後、次元の扉が現れた。


 「これは俺たちアリーシャ召喚院で使ってる簡易型転移装置だ。知ってるかもしれないけど女神ノルン様とアリーシャ召喚院は深いつながりがある。だからこそ使える魔道具だ。その辺の細かい話は桃が冒険者ランクCになった時にまたする。今はウノの街に向かうぞ」


 「わかった。なるべく早くCランクになれるようにする。」


 俺たちは次元の扉を潜り、ウノの街の近くにある森の中に出た。あのブラックウルフと戦った森だ。


 そのまま歩いてウノの街に入る。方向的に北区に向かっているようだ。以前探検した時に北区は貴族の屋敷ばっかりでそんなに探険してなかったんだよな。むしろ探険する前にエリックと会ったからしようと思ってもできなかった。


 なので、当然、北区にめちゃくちゃでかい神殿があることになんか気が付かなかった。そう、今俺がどこにいるのかと申しますと、ウノの街の北区にあるどでかい神殿に来ております。


 「へぇ、こんなところに神殿なんてあったのか。全然気がつかなかったぜ。で、この神殿に何の用だ?」


 「あー、そうか桃たち来訪者は神殿のことを知らないか。簡単に言うとだな、この神殿を管理しているのはアリーシャ召喚院だ。」


 へー、召喚院とか言う割に宗教に手を出しているのか。意外だな。


 「その理由は主に2つある。1つが神殿の役割が各国を結ぶ転移ゲートの管理にあるからだ。その転移ゲートを司ってるのは女神ノルン様。召喚院はノルン様も創設者の1人だ。その縁もあって神殿を管理してる。」


 ほぅ、各国、ね。確かにこの世界で国が1つと言うことはありえないだろう。その各国を繋いでるのが召喚院と神殿か。もしかしなくても召喚院ってこの世界では国連並みに権力のある組織なのか?


 「理由の2つ目だが、ここが俺たち召喚騎士と大きく関わってくるところだからしっかり聞いといてくれよ?」


 カインの言葉を聞いて考えるのを一旦やめて話に集中する。サーシャは俺とカインが話している間に神父さんと奥の方へ消えていった。

 

「まず、ここウノの街だけじゃなくこの世界の神殿で祀られているのが6人の英雄神様たちだ。英雄神様たちは遥か昔、この世界を救うために神々と戦った英雄たちが死した後、神格を得て神になったんだ。英雄神様たちに関する話は俺より神殿にいる神父やシスターの方が詳しいからもっと知りたいならそっちに聞いてくれ。」


ここで少しIWOの設定の話をしよう。このゲーム、当然魔術なるものが存在する以上は属性による有利不利が歴然と存在する。ポケ○ンで言うところのタイプってやつだ。


この世界の基本属性は6つ。俺が最初のスキル設定で取得した火・水・風・土の4つと光と闇がそれに該当する。相性で言えば、火は水に弱く、水は風に弱い。風は土に弱く、土は火に弱い。光と闇はお互いが有利属性となっている。有利な属性で攻撃すればダメージは30%増。逆に不利属性で攻撃するとダメージが20%減少する。


 カインの言う6人の英雄神はこの6つの属性に対応した神であると考えていいだろう。

 

「それで、なんで俺たち召喚院に関わりがあるのか言うと、俺たち召喚騎士という職業に就いている者たちは普通の召喚師とは違って過去の英雄、いわば英霊たちを召喚して共に戦う職業だからなんだ。


その英霊の中でももっとも偉大な功績を残したとされるのがこの世界の神となった英雄神様たち。そしてその6人の英雄神様の英霊をこの世界で唯一召喚できるのが俺たち召喚院の中で伝説と呼ばれる召喚騎士様だけなんだ。だから英雄神様を祀る神殿は召喚院と深い繋がりがあるんだ。」


 「もちろんそれだけじゃないわよ。私たち召喚院の職務として各地に伝わる伝説や伝承を集めて未来に残していく。もちろんまだまだ私たちが知らない英霊を見つけるためにね。そういった意味では神殿という組織は地域に根ざした信仰を集めるのにもってこいの組織なのよ。

 それから、私たちのもう一つの役割として冒険者や騎士団では対応できない災害級の魔物やスタンピードへの対処がある。世界各国にある神殿は全て私たちの本拠地と繋がっているの。だからこそ迅速な出動が可能になるの。そういった背景も召喚院と神殿の関わりを強くしているわ」


 神殿の奥にいっていたサーシャが戻ってきた。


 「カインさん、準備ができました」


 「よし、早速行くか」


 カインとサーシャの話を整理したいところだが、なにやら準備が整ってしまったようだ。カインとサーシャが俺を手招きするので仕方ない。行くとするか。


 2人について神殿の奥の方へ進んでいく。


 「ついたぞ」


 5分ほど歩いただろうか。目の前には次元の扉に似た立派な装飾のされた扉があった。カインが扉を開き、サーシャの後に続いて部屋に入る。部屋の中あったのは凄まじく複雑な魔法陣。それから五芒星の形をした謎の台があった。


 「ここは?」


 カインに聞く。


 「ここは俺たち召喚騎士が英霊召喚を行う場所だ。英霊召喚には魔術の素養が必要不可欠。自分が使える魔術の属性の英霊しか召喚できない。けどその制約をくぐり抜ける可能性があるのが今から桃にやってもらう魔法陣を使った英霊召喚だ。

 同じ属性の英霊だけを揃えると想定外の事態に対応できない。だからこうやって魔法陣を使うことで自分が使えない属性の英霊を召喚しようとするのは召喚騎士なら誰しもが通る道だ。まぁ、御託はもういいだろ?とりあえず召喚してみろ。」


 カインはそう言うと懐からいくつかの宝石を取り出した。おや?その宝石は見たことあるぞ。


 「これが英霊たちを召喚するときに必要な召喚結晶というアイテムだ。これはボス系の魔物を倒すとドロップすることがある。この召喚結晶を5つ使うことで魔法陣を起動できる。」


 「はい、桃。来訪者初の召喚騎士誕生を祝してアリーシャ召喚院からのプレゼントよ」


 サーシャから召喚結晶を受け取る。実はすでに15個、3回分持っているのは秘密だな。


 「その台座に召喚結晶をおけば魔法陣が反応する。覚悟が決まったら召喚してみろ」


 カインの言葉に頷いて大きく息を吸って吐く。覚悟を決めた俺は意を決して召喚結晶を台座に置いた。


 召喚結晶から眩い光が放たれて部屋の上空に収束する。その光は螺旋を描くように魔法陣に降り注ぎ、魔法陣を染め上げる。虹色に輝いた魔法陣から湧き出るように魔法陣と同じ虹色の扉が出現する。


 「これは!」

 「え!?うそでしょ!!」


 後ろでカインとサーシャが何か騒いでいるが俺に耳には届いていなかった。


 魔法陣から出現した虹色の扉に亀裂が走る。何事かと思ってみれば虹色の扉が一瞬で砕け散り漆黒の扉が現れた。


 漆黒の扉が光を放ちながらゆっくりと開いていく。その時、一陣の風が吹き、部屋の中に濡羽色の羽と純白の羽が舞い散る。


 それに気を取られている間に扉は消え、魔法陣の中央には部屋に舞っている黒と白の羽と同じ色をした球体が浮かんでいる。次の瞬間、その翼が広げられた。さらに舞う美しい2色の羽。白と黒のコントラストが生み出す幻想的な光景にしばし我を忘れる。


 どれくらい経っただろうか。俺は宙に浮いているその英霊へと意識を戻す。俺よりも光り輝いている銀髪にどこまでも深い澄んだ湖のような黒色の瞳と特殊な模様が刻まれているオレンジの瞳のオッドアイ。

 

 180センチはあろうかという巨体だが、美しく彫刻のような肉体をしている。その背には純白の翼と漆黒の翼がそれぞれ左右に別れて2対4枚存在感を示している。


 その手には一目でわかるような業物の両刃の剣が握られている。


 『我が名はルシファー。光と闇、相反する2つの事象を司る者なり。我を召喚せし者よ。そなたの名前は何と言う?』


 オッドアイが俺を見つめながら脳に響くような低い声で話しかけてくる。


 「俺の名前は桃だ。」


 『桃か。しかと覚えた。盟約に従い桃の剣となろう。……だが、今の桃では未熟。我の力、その全てを十全に扱えるようになるまでしばしの時間が必要であろう。今は我の加護を与える。我の力を扱えるようになったその時にまた会おう。』


 <称号【ルシファーの祝福】を獲得しました>


 <スキル【光魔法】を取得しました>


 <称号【光の先駆者】を獲得しました>


 <スキル【闇魔法】を取得しました>


 <称号【闇の先駆者】を獲得しました>


 <英霊に【ルシファー】が追加されました。レベル20、召喚術レベル20で召喚が可能になります>


 ルシファーが魔法陣の発する光とともに消え、アナウンスが流れる。


 「くっ」

 「きゃ!」


 俺の背後でカインとサーシャが崩れ落ちる音が聞こえ振り返る。2人は疲労困憊といった様子。サーシャの汗に濡れたうなじがエロいななどとは一ミリも思っていない。


 「何だったんだ、あの化け物は」


 「とんでもない存在感でしたね。まさかこの目で第七階級の英霊召喚を見るとは思いませんでした。」


 すこし休んでようやく回復したのかよろよろと立ち上がりながら2人は言った。第七階級。サーシャの言葉でようやく思い出した。この世界で最初に設定したボーナスポイントのことを。


 俺が選ぼうとしていた召喚師と言う職はゲーム開始とほぼ同時に最初に1体の従魔を召喚できる。そこでボーナスポイントを振れば、その召喚できる魔物の強さを引き上げることができるのだった。


 俺は初回限定特典、アドバンス召喚、エクストラ召喚、【来訪者の召喚騎士】【最強の召喚騎士の祝福】と召喚時における俺の場合は英霊のランクを5つもあげる効果を持っている。さらにミラクル召喚でユニーク個体になったしランクが1上がってもおかしくない。そんな訳で俺は最低でも5、もしくは6以上初めて召喚する対象のランクをあげることができるのだった。


 なんかいつまでも召喚できてなかったからこの設定忘れてたわ。


 「なぁ、カイン、サーシャ。初めての召喚だから何となくルシファーが凄いのはわかったんだが、その第七階級?とかその辺まだよくわかってないし、召喚騎士って職業についてもう少し詳しく教えてくれ」


 「あー、そうか。桃にはまだ基本的なことも何も教えてないか。英霊も無事かどうかはともかくとして召喚できたことだし本格的に召喚騎士としての力の扱い方を学び始めてもいい頃か。……サーシャ、お前はここに残って桃に召喚騎士の基礎を教えてくれ。俺は本部に報告に戻る。第七階級の召喚だ。報告しないわけにはいかないからな。」


 「わかりました。カインさん。」


 「じゃあ桃、バタバタしてて申し訳ないが俺は本部に戻らせてもらう。多分また上からの命令でこっちに来ると思うが、何かあったらいつでも連絡してくれ。じゃあな」


 そういってカインは次元の扉を開き、どこかへと消えていってしまった。


 「それじゃ、いつまでもここにいても仕方ないから外に出ましょ。行くわよ桃」


 俺はサーシャに連れられ、神殿を後にした。


桃 Lv,12

Dランク

職業 召喚騎士

 HP  170

 MP  340

 STR 26

 VIT 23

 INT 26

 MID 23

 DEX 23

 AGI 22

 LUK 26


NPCF 【カイン】【サーシャ】【エリック】【ランザ】


英霊 【◎ルシファー】


称号

□一般

 【来訪者の召喚騎士】【到達者】【最速の頂点】【EX職の解放者】【困難に立ち向かう者】【絆を紡ぐもの】【◎光の先駆者】【◎闇の先駆者】



□スレイヤー系

 【ウルフスレイヤー】【ゴブリンスレイヤー】


□鬼

 【剣鬼】


□祝福

 【最強の召喚騎士の祝福】【ノルンの祝福】【◎ルシファーの祝福】


□神々からの称号

 【ノルンの期待】


スキル(20SP)

□武術系

 【剣術Lv25】【スラッシュ】

 【槍術Lv7】【杖術Lv7】【鎧Lv3】【武術の心得】【体術Lv20】

 【☆全反撃(物理)Lv3】

 

□魔術系

 【火魔術Lv5】【水魔術Lv5】【風魔術Lv5】【土魔術Lv5】

 【◎☆光魔法Lv1】【◎☆闇魔法Lv1】

 【召喚術Lv5】【魔術の心得】


□察知系

 【気配察知Lv25】【危機察知Lv5】【魔力察知Lv5】


□ステータスアップ系

 【☆逆境】【☆限界突破】【☆覚醒】


□耐性系

 【恐怖耐性Lv5】



□その他

 【看破Lv5】【夜目】【☆瞬歩】【☆フルチャージ】【☆英雄の守護】

 【☆弱点特攻】【☆二刀の心得】【☆鬼神の連撃】【☆見切りLv6】

 【回避Lv7】【隠密Lv4】【平衡感覚Lv3】【瞑想Lv3】


◎は今話で追加されたもの

☆は初取得、イベント特典などで強化されているもの

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