第13話 刮目してみよ!
前回のあらすじ
エリックつえぇ
エリックつえぇ
もうだめぽ
初めて衛兵の訓練所を訪れエリックにズタボロにされてから現実世界で3日間、IWOの世界だと9日、ログインしていた時間は全て衛兵さんたちとの訓練に当てていた。
ここでの訓練はスキルレベルの伸びが良く、様々なタイプの対人戦が出来る。さらには様々な職業の訓練に参加できるし、森や平原では使いにくい魔術を含めて属性を問わず訓練することが出来たのでわざわざ外に行くメリットがなくなってしまっていたのだ。
しかし、結構な日数をこの街で待っているのに一向にカインたちからの連絡がない。待つのは別に構わないけど、そろそろ職業について知りたくなってきた。
俺がウノの街で訓練している間にワールドアナウンスによればレイたちトップ組はすでにトレスの街に到達している。ウノの街にいる来訪者の数も結構減ってきたのでそろそろ俺も次の街に行きたい。
それに時期的にIWO初のイベントあってもおかしくない。それなのに職業のメリットも知らないのはかなりまずい気がする。
そもそもソロプレイが出来るように召喚術を選んだのにまだ一人の仲間も召喚してないなんて悲しすぎる。俺にそろそろ仲間が欲しい。そのためにも一刻も早くカインからの連絡が欲しいがいまだ音沙汰がない。
どうしようかと思ったが確かドスの街にはランザの認める職人がいるということで先にそっちに向かうことにした。
街の外に出る前にランザを訪ね紹介状を書いてもらう。ランザ曰くその職人さんも自分の認める相手にしか装備品は売らないという主義の職人さんだそうだ。しかし紹介状があれば別だと言う。まぁ、無理なら実力を認めさせるまでと意気込んでウノの街を出る。
ウノの街からドスの街まではきちんと街道が通っており、その両脇には長閑な平原が広がっている。長閑といっても魔物が出ないわけではないらしくちらほらと戦闘を行っているパーティーやプレイヤーの姿が見えた。
ウノの街とドスの街の間に立ちふさがるエリアボスはビッグベアというなんの捻りもない巨大な熊の魔物だ。とりわけ何がすごいというわけでもなくただ単にこの辺にいる平均的な魔物より少しばかりタフで速くて強いだけだ。
このボスの推奨レベルは7だ。レベルが40以上の自分より遥かな強者であった衛兵のみなさんやレベル60の人外に3日間揉まれ続けた俺にしてみればレベル7~10程度の魔物なんて恐るるに足らず!
刮目してみよ!これが大変な奴らに計10日間みっちりしごかれた男のステータスじゃ!
桃 Lv,12(13話)
Dランク
職業 召喚騎士
HP 170
MP 340
STR 26
VIT 23
INT 26
MID 23
DEX 23
AGI 22
LUK 26
NPCF 【カイン】【サーシャ】【エリック】【ランザ】
称号
□一般
【来訪者の召喚騎士】【到達者】【最速の頂点】【EX職の解放者】【困難に立ち向かう者】
【絆を紡ぐもの】
□スレイヤー系
【ウルフスレイヤー】【ゴブリンスレイヤー】
□鬼
【剣鬼】
□祝福
【最強の召喚騎士の祝福】【ノルンの祝福】
□神々からの称号
【ノルンの期待】
スキル(20SP)
□武術系
【剣術Lv25】UP【スラッシュ】
【槍術Lv7】UP【杖術Lv7】UP【鎧Lv3】UP【武術の心得】【体術Lv20】UP
【☆全反撃(物理)Lv3】UP
□魔術系
【火魔術Lv5】UP【水魔術Lv5】UP【風魔術Lv5】UP【土魔術Lv5】UP
【召喚術Lv5】【魔術の心得】
□察知系
【気配察知Lv25】UP【危機察知Lv5】UP【◎魔力察知Lv5】
□ステータスアップ系
【☆逆境】【☆限界突破】【☆覚醒】
□耐性系
【◎恐怖耐性Lv5】
□その他
【看破Lv5】UP【夜目】【☆瞬歩】【☆フルチャージ】【☆英雄の守護】
【☆弱点特攻】【☆二刀の心得】【☆鬼神の連撃】【☆見切りLv6】UP
【◎回避Lv7】【◎隠密Lv4】【◎平衡感覚Lv3】【◎瞑想Lv3】【◎投擲Lv4】
レベルは上がってないくせにスキルレベルだけアホみたいに上がってる。それにスキルポイントを使わずにいくつかのスキルを習得した。……いや、させられた。【回避】は短剣の双剣使いの獣人の衛兵と訓練した時に相手が早すぎて反撃どころか躱すしかできなかった。ひたすらに転がり続けてたらいつの間にか習得してたスキルだ。
【平衡感覚】と【隠密】、それから【投擲】は多分斥候をやってる衛兵さんと訓練した時に習得したはず。森を想定した特別な訓練場でひたすらにかくれんぼと追いかけっこを繰り返した。もちろん見つかったり、追いつかれたりすると相手有利なフィールドで戦闘訓練が始まるわけで、逃げまくってた結果がこれだ。
そして【魔力察知】と【瞑想】は魔術師部隊と訓練してた時に習得したスキル。【瞑想】は文字通り瞑想をしている間にMPが回復するというスキル。衛兵さんがしてたのを真似したら習得できた。【魔力察知】は魔術師の中にとんでもない人がいて、その人は魔術は体で受けて覚えるものだ!とか言ってひたすらに俺に様々な魔術を放ってきた。それを無我夢中で避けてるうちに習得してたスキルだ。
ボスの出るフィールドはそこそこ盛況だった。その辺にいた人に話を聞いてみるとここのエリアボスは結構早い段階から安全な攻略法が確立されたのでレベリングしたい人や素材が欲しい生産職の人なんかが臨時でパーティーを組んで周回しているそうだ。
そのせいか、もはや安定攻略は当たり前となったので今度はタイムアタックでもやろうじゃないかと言うことになったらしい。一部のプレイヤーがそれを運営に相談。運営の公認の元、ウノの街のエリアボスのタイムトライアルが毎日開催されているそうだ。
俺の前には3つぐらいパーティーがあり前から順番に新規攻略組、生産職組、タイムアタック組となっていた。
「よお、兄ちゃん。最近だと見ない顔だが初めてか?」
ボスフィールドはゲームでお決まりの逃亡防止用透明壁で覆われているだけなので中の戦闘の様子は良く見えた。ただ待っているだけというのも時間の無駄なので新規攻略組の様子を眺めていると列から外れて眺めていた男から話しかけられた。
「あぁ、そうだ。ようやくソロで攻略する余裕ができたんでな。そろそろドスの街にも足を延ばしてみようかと。」
「なんだ、兄ちゃんなかなか自信ありげじゃねぇか。そうだ、せっかくだからタイムアタックにチャレンジしてみねぇか?500Gほど参加料で頂くが上位入賞すれば商品も出るし残念な結果になってもポーションが粗品でもらえるぜ。」
その気はなかったが、500Gという参加料もちょろっとその辺の魔物を狩れば手に入る額だし参加賞のポーションも悪くない。運営の公認なのでそう酷いことにはならんだろうと思い参加することに決めた。
ちなみに俺に声を掛けてきた男はこのタイムアタックの主催者でマーチンと名乗った。
「ちなみに現在の最高記録は?」
「えー、確かソロが30秒56でパーティーだと24秒22だったな。お、どうやら新人パーティーが終わったみてぇだな。お前ら!新規攻略者だ!先譲れ!」
「おいおい、別に後でも構わんぞ?」
「なに、俺たちタイムアタッカーは娯楽でここを独占してるようなもんだからな。未攻略者優先っていうルールがあるんだよ。」
マーチンの声に反応して俺の前にいたパーティーがにこやかに先を譲ってくれた。
「悪いな。すぐに終わらせる。」
「お、言うじゃねぇか。そんじゃお前さんのタイミングでスタート、ビッグベアがドロップになったところで終了だ。準備はいいか?」
「いつでも構わない」
すでにビッグベアはリポップしておりこちらに鋭い視線を向けていた。
俺は右手に黒鉄の槍を持ち、左手に黒鉄の剣を持った。この程度、槍だけでも仕留められるだろうが、一応の保険として剣を出しておいた。
「…はじめ!」
俺がボスフィールドに入ると同時に開始の合図があった。ビッグベアは二本足で立ってこちらを威嚇するかのように咆哮をあげる。
馬鹿め、そんな動作隙にしかならんわ!相手がエリックだったら今この瞬間に5回は切り刻まれてるぞ!
そんなことを思いながら間抜けな面で吠えているビッグベアの顔面に目掛けて槍を投擲する。それと同時に剣を右手に持ち替えてビッグベアに向かって疾走した。
ザシュっと槍が突き刺さる音が聞こえた。まぁ、あんなデカイ的では外す方が難しい。首から上を消しとばす気で投げたがどうやらそれは叶わなかったようだ。
「でもこれで終わりだ。」
そのままでも確実に倒せただろうがそれでは時間にロスがでると思い、ボスゆえなのか
頭を半分ほど失ってもわずかにHPを残し俺に向かって倒れてこようとしてるビッグベアの首を剣で斬りとばす。
これで戦闘終了。流石のボスも首を撥ねられてまでは生きられないようだ。すぐにポリゴンへと変化し、ドロップアイテムのアナウンスが流れた。
<ウノの街のエリアボス、ビッグベアを討伐しました>
<ドスの街への移動が可能になりました>
<ビッグベアの爪×2を獲得しました>
<ビッグベアの胆のう×1を獲得しました>
<ビッグベアの毛皮(全身)×1を獲得しました>
<職業アイテム:召喚結晶×5を獲得しました>
お?なんだこれ?毛皮の全身?……あー、レアドロップとか条件付きドロップの類だろうな。結構な値打ちがありそうだしここでは黙ってるか。
「タイムは?」
ボスフィールドから出ても一向に結果が言われないので計測をしていたマーチンに結果を聞きに行く。
「さ、3秒48だ。文句なしでソロ、パーティー合わせてトップの成績だ!」
「うおおおおお!マジか!?まさかの一桁!?」
「ありゃバケモンだろ!?なんで槍の投擲であそこまで威力が出るんだよ!?」
「これは…しばらくは超えられないんじゃないか?」
「レベルいくつだよ…」
俺として槍の投擲で終わらせたかったが久々の実戦で手元が狂ったのか?あと数回やればもっとタイムを縮められそうだが…なんか盛り上がってるし、すでにタイムアタック組は血走った目でビッグベアに突撃している。
「いや~まさか本当にすぐ終わるとはな。兄ちゃん強いんだな。」
「そんなことはないな。単純に先制攻撃と急所攻撃で気絶させただけだ。俺じゃなくても出来る。」
「それを初見でできるってのがすげぇんだよ。ほら賞品だ。マーチン様特製のチーズ㏌ハンバーグ。こう見えて俺は料理専門の生産職でな、リアルでも料理の仕事をしてるが未知なる食材やら何やらを求めてこのゲームを始めたんだ。レア度の高い料理にはバフが付くから俺の料理って地味に人気なんだぜ。」
そう言われたので【看破】と使ってみると確かに20分間STR10%上昇というバフが付いていた。料理のバフはβテストの時は未実装で正規版から実装された新システムだ。これによって戦闘の幅が広がり料理好きな生産職も日の目を見たとレイが話していた記憶がうっすらとあった。
「どうだい?凄いだろ?俺は基本的にここでタイムアタックやってるかウノの街で屋台やってるかのどっちかだ。いいもん見せてもらったしこっちに戻ってくるようなことがあれば寄ってくれ。割引するぞ。」
「それは助かるな。そういえば名乗ってなかったな、俺は桃だよろしく頼む」
「おう、よろしくな。そうだ、フレンド登録いいか?もし出先で旨そうな食材とかあったら取って来てくれ。腕を振るうぜ」
「そりゃ楽しみだ。」
俺たちは互いにフレンド登録をして別れた。俺はドスの街へ向かいマーチンはウノの街に戻っていった。どうやらウノの街にあるビッグベアタイムアタックのスコアボードを更新するらしい。プレイヤー名の公開の打診があったが断らせてもらった。さすがにそんな目立つようなことはしたくない。
マーチンからは『じゃあ適当にXとでもしとくぞー』と返信が来たのでそれを了承。これで問題は無くなったというわけだ。
ビッグベアがいるフィールドから歩く事30分。俺はドスの街へたどり着いた。
ドスの街の町全体の雰囲気はさほどウノの街と変わりない。プレイヤーの多くがすでにこの街を去りトレスの街に向かいつつあるようだ。レイたちが攻略動画をあげてるらしくそれが大いに参考になると風の噂で聞いた。
まぁ、俺はのんびりと旅をすると決めているので急ぐつもりは全くない。とりあえず門番におすすめの宿を聞きそこにチェックイン。「堀宮亭」と比べるといささかグレードは落ちるがさほど長い期間滞在するつもりはないので気にしていない。
時間的にまだまだ店が閉まるには余裕があるので街の散策でもするかと思い宿を出た時チャットが届いた。
誰からだろう思い、メッセージを見るとカインからだった。
用件は任務が終わったのでドスの街にある冒険者ギルドで落ち合おうとのことだった。時間を指定してくれればいつでも大丈夫と書かれていたのでこれからでもいいかと聞くと問題ないと帰ってきたので早速向かうことにする。
もしかしたらドスの街に来ないとイベントが進まない系だったのかな?
まぁいいや、これでようやく話が聞ける。
桃 Lv,12(13話)
Dランク
職業 召喚騎士
HP 170
MP 340
STR 26
VIT 23
INT 26
MID 23
DEX 23
AGI 22
LUK 26
NPCF 【カイン】【サーシャ】【エリック】【ランザ】
称号
□一般
【来訪者の召喚騎士】【到達者】【最速の頂点】【EX職の解放者】【困難に立ち向かう者】
【絆を紡ぐもの】
□スレイヤー系
【ウルフスレイヤー】【ゴブリンスレイヤー】
□鬼
【剣鬼】
□祝福
【最強の召喚騎士の祝福】【ノルンの祝福】
□神々からの称号
【ノルンの期待】
スキル(20SP)
□武術系
【剣術Lv25】UP【スラッシュ】
【槍術Lv7】UP【杖術Lv7】UP【鎧Lv3】UP【武術の心得】【体術Lv20】UP
【☆全反撃(物理)Lv3】UP
□魔術系
【火魔術Lv5】UP【水魔術Lv5】UP【風魔術Lv5】UP【土魔術Lv5】UP
【召喚術Lv5】【魔術の心得】
□察知系
【気配察知Lv25】UP【危機察知Lv5】UP【◎魔力察知Lv5】
□ステータスアップ系
【☆逆境】【☆限界突破】【☆覚醒】
□耐性系
【◎恐怖耐性Lv5】
□その他
【看破Lv5】UP【夜目】【☆瞬歩】【☆フルチャージ】【☆英雄の守護】
【☆弱点特攻】【☆二刀の心得】【☆鬼神の連撃】【☆見切りLv6】UP
【◎回避Lv7】【◎隠密Lv4】【◎平衡感覚Lv3】【◎瞑想Lv3】【◎投擲Lv4】
◎は今話で追加されたもの
☆は初取得、イベント特典などで強化されているもの