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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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レイと 前編

イベントが始まるまでの閑話です

レイとの絡みを書きたかった

 金級召喚騎士に昇格し、サーシャを絆晶で英霊としての契約を結んだ。割りと怒涛な1日を過ごしたが目標をクリアしてしまったのでやることがない。レベルも100と上限だし種族進化も果たした。後やるとしたらスキル上げとプレイヤースキルを磨くぐらいかな?


 そんなことを考えていたら久しぶりにレイからメッセージを受信した。


 『ちょっと付き合いたまえ』


 件名もなく用件はそれだけ。けど最近レイを放置して一人で遊んでいたので少々気まずい。ここはレイの誘いに乗るとしよう。フレンドリストからレイの居場所を探し、そこ目掛けて転移を発動した。


 一瞬の空白の後にレイのいると思われる場所へとたどり着いた。


 「ここは・・・」


 なんか見た事ある座標だと思ったらここは俺がアークを英霊として仲間にしたダンジョン、【憤怒の酒場】じゃん。ここの特殊ボスっぽかった憤怒の魔神アークは俺が連れ出したから別の何かがここにいるはずだ。


 しかしその後のクリアアナウンスを聞かないのでまだ誰もクリアしてないのかな?


 「待ってたよ桃。」


 そんなことをぼんやりと考えていたら不意に背後から声をかけられた。レイのやつ油断してたとはいえ【極界】持ちの俺の不意を突くとは。少し見ない間に相当鍛えたらしいな。


 「こっちでは久しぶりだなレイ。少し見ない間にだいぶ強くなったな」


 「ま、種族進化とやらを果たした君ほどじゃないけどね」


 気配遮断系のスキルでも使っていたのだろうか。レイから溢れ出す魔力が格段に増えた。少なく見積もってもレベル90の魔物レベルはありそうだ。


 「その話は追々な。それにしてもよくここのダンジョンを見つけたな。」


 「おや?その口ぶりだと桃は知らないのかな?ここはいわゆるシークレットダンジョンでね、一定の条件を満たさない限りはここを発見することはシステム上不可能なんだよ。」


 「へぇそうなのか。その条件は?」


 「一定以上の実力をもち住民からの信頼度が高いこと、そして受付嬢におすすめのダンジョンを聞くことだね」


 「なるほど。レイがここを発見できた理由はわかった。でもなんでここなんだ?レベル上げならトレスのダンジョン・・・は人が多そうだな。レインボーウルフを突破できるかは知らんが」


 「あーあれね。君、最近掲示板見てないだろ?確かトレスのダンジョンは確か38階ぐらいまでは攻略が進んでるはずだよ。レインボーウルフは属性耐性の装備の素材として人気が高くてね、いわゆる正攻法が発見されたんだよ」


 「へー、そんなことになってんだな。ってことはレベリングで人が溢れてるんだろうな」


 「君の種族進化のアナウンスもその原因の1つだよ?条件がはっきりしてない以上とりあえず天井を目指してるんだよみんな。僕もその1人さ。」


 あー、確かにそれはあるかもな。種族進化の条件は俺ですらはっきりしていない。ひとまずイベントとワンチャンの進化を求めてダンジョンを周回するのは現状一番正しいだろう。


 「なるほどな。間違いなく俺が原因だわ。それでレイは人のいないここを選んだと言う訳だ。」


 「そういうことさ。しかし聞いて驚いたね。まさか君が最初期に攻略していた特殊ダンジョンだなんて。しかもここ、ちょっと覗いた感じだと適正レベル80以上だよ?光や神聖属性の特攻があるとはいえまともに攻略はできないでしょうに」


 「ま、運がよかったんだよ。ここで長話しててもしょうがないし攻略始めようぜ。」


 「むっ?はぐらかされた気もするけど実際時間がもったいないね。早速始めようか。」


 久々のレイとの共闘だ。少しワクワクするな。憤怒の酒場は文字通り酒場をモチーフにしたダンジョンだ。確か1階はいわゆる大衆居酒屋風味だった気がする。


 「へぇ、こんな感じになっているんだね。酒場の名前に恥じないダンジョンだね。よし、ここはこの子で行こうかな。召喚サモン!ホーリーフェンリル!」


 そういえばレイはセカンドジョブに召喚士を選んでいたな。召喚士はテイマーと違って召喚できる魔物はランダムだ。一部では俺のように魔力に指向性を持たせることで特定の魔物を召喚することもできるがそれは召喚院に伝わる秘術のようなものらしいので除外。ベースとなる魔物は決まっているが個体値や進化先など運要素が強い職業ではある。


 「ホーリーフェンリルか。見たことない魔物だが、存在感は並大抵の魔物じゃ太刀打ちできそうもないな」


 レベル的には80後半ぐらいの存在感だ。連戦につぐ連戦でこの程度の魔物ではあまり脅威に感じないがそれでも強い魔物であることは変わりない。俺が攻略しにきた時よりもはるかに多い上位種がひしめく酒場にレイをその背に載せて突撃してゆく。


 「ウォーーーーーーーン!!!」


 光属性の魔力を帯びた咆哮が酒場に響き渡る。たったそれだけでボロボロと崩壊してゆくゾンビたち。1階とはいえレイ曰く適正レベルが80は必要なダンジョンの魔物なのに咆哮だけで崩壊させてゆくとは。光の神狼の名前は伊達じゃないな。


 「ふっ!やぁ!とう!」


 圧倒的な強さを見せるフェンリルの背のうえで閃光が躍動する。レイの主武器はロングソードから短剣に変わったようではあるがそれが実に恐ろしい。おそらく魔力伝導性の非常に高い素材を用いて作られているのだろう。短剣の刃を伸縮自在な光の刃が覆い。縦横無尽に酒場を駆け巡りゾンビを細切れに切り刻んでいる。


 短剣にしたのは取り回しのためだろう。片手でも十分に振り回せる短剣なので当然片方の腕が空く。その余った手ではゾンビに有効とされる光属性の魔法を乱射しており次々とゾンビを蜂の巣にしている。


 「こりゃぁ予想以上に仕上がってんな。」


 俺の召喚術は極めて強力な英霊を召喚するので個の集団になってしまい統率なんてものはない。しかしレイはまさに人狼一体。召喚士としての基本を忠実にかつかなりの高レベルで実践してやがる。


 「さっきから見てるだけかい?ほらほらそっちにも湧いてるよ!」


 レイが戦場を美しく駆け回る姿に気を取られていたらいつの間にか俺の背後にゾンビが湧いて出たようだ。


 「心配ない。」


 ゾンビが俺へあと一歩という距離まで近づいたその瞬間、ボシュと変な音がしてゾンビは潰れて消えた。


 「・・・へぇ、何したかさっぱり見えなかったよ」


 「何もしてねぇから見えるはずもねぇだろ。単純に魔力で圧死しただけだ。この階のゾンビ共はせいぜい60がいいところだろ?MIDの低いゾンビなんぞ俺が無意識に展開してる魔力に触れただけで死ぬ。それ以上でもそれ以下でもない」


 魔人に進化して以降、本当の雑魚では戦いになるならない以前に俺に近づいただけでひしゃげて死ぬようになった。強くなりすぎた弊害だな。まぁ、雑魚に煩わされずに済んでいると思えばいいか。尤も英霊達から言わせれば魔力が漏れている時点で制御不足と言われているのでこれからも精進あるのみだな。


 「相変わらずのチートだね、君は・・・。ま、今に始まったことじゃないし先に行こう先に」


 なぜか若干呆れぎみのレイはやれやれと言ったように肩を竦めると俺の抗議の声を無視して下の階へと進んでいった。

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