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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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試験?

属性ダンジョン編が終了しイベントに向けて走り始めます!


 召喚院の長、筆頭召喚老であるレオンより課題として出された6つの属性ダンジョン全ての攻略とレベル100の達成。その2つをクリアした俺は早速レオンに報告するべく召喚院へと転移を発動した。


 「ん?一瞬変な抵抗があったけどなんだったんだろ?」


 普段は感じない変なタイムラグが一瞬あって後、俺は召喚院への転移を完了した。直後、【極界】が強い警戒感と恐怖の視線、それから俺に向かって殺到する魔法とその合間を縫って接近してくるいくつかの気配を捉えた。


 もしかしてこれも試験のうちか?あれだけ高性能な結界を構築できる召喚院だ。俺に悟られることなく監視していてもおかしくはない。だからこそ試験を終えて戻ってきた俺に対して本当にダンジョンをクリアした実力があるのか試しているのだろう。


 そう思った俺はやりすぎない程度に、けれどダンジョンを攻略して身につけた実力を存分に発揮することにした。


 先手こそ取られたものの、飛んてくる魔法や迫りくる人影は新しい自分の体に慣れるためにこれまで英霊達と死と隣り合わせの環境で模擬戦を重ねてきた俺からしてみれば脅威でもなんでもない。


 レベル帯は70〜80ぐらいのステータスと比較的高めだがレベル100でかつ種族進化した俺の敵ではない。


 俺の初手は【魔素支配】これで俺の半径メートルに存在する魔素は支配下となった。魔素は魔法を司る最小の存在。これがなければいかな魔法でも発動することはかなわない。その魔素を支配することすなわち魔素を支配している空間では俺に対してありとあらゆる魔法攻撃は無効となる。


 今はまだ半径5メートルと効果範囲は狭いが今はこれで十分。その領域に魔法攻撃が入った瞬間に全ての魔法が掻き消え、魔素へと変換されてしまった。


 「何!?」

 

 なんか遠くでちょっと豪華なローブを身に纏ったおっさんが驚いている。いや、これぐらい出来て当然だろ。フェルドたちは俺の魔素支配の影響下でも普通にバンバン魔法使ってくるし。


 そうこの魔素支配、さっきはかっこよく俺に対してありとあらゆる魔法攻撃は無効になるとか言ったけど実際はそうでもない。俺の支配力より相手のコントロールが上なら防御の面では全く意味をなさない。鍵は魔力操作だな。


 この程度ならいくらでも魔法攻撃を無効化できるとはいえ鬱陶しい。先に魔法使いから片付けるか。


 俺の2手目【幻炎】。炎で蜃気楼を作り出すスキル。生み出された幻影は一度だけスキルを使うことができる。


 「はい、お返し。七色ノ爆轟レインボーデトネーション死なない程度に調整したからせいぜい気張れよ。」


 全ての属性の魔力を一瞬で練り上げ上空で爆発させる。様々な属性が混ざり合った魔力の断片は1つ1つの威力が俺を襲ってきた攻撃魔法以上の威力となって襲撃者たちに降り注ぐ。ちょっとやりすぎたかな?恐怖で顔が歪んでるよ。


 さて、魔法使いはもう放置でいいだろうから次は近接格闘だな。別にこれぐらいの相手なら武器を使う必要もないから体術だけで勝負しようか。


 攻撃魔法が四方八方から襲いかかってきたように接近戦がメインの奴らも俺を囲んで攻撃しようとしてくる。一見囲まれて不利なようだがどうしても足の速さには個人差があるからそこをうまく突けば1対1の繰り返しだ。


 過度に力まず体を弛緩させて一歩踏み出す。このリラックスこそが一歩目からの加速を可能にするってラージャが言ってた。【瞬歩】を使っていないのにそれに近い速度で1人目に接近。相手からすれば視線の先にいた俺がいつの間にか目の前にいることだろう。


 驚いて目を見開いてる。隙だらけだ。普通に殴ったら死んでしまうので顎に強めのデコピン。ステータスの差も相まって一撃で脳を揺らす。そしてその場に崩れ落ちる。1人目を無力化。


 あっという間に1人がやられてしまい恐怖と驚きで足が止まってしまった戦士たち。残念ながらそれは俺を相手にする上で致命的すぎる十分な隙だ。


 先ほどと同じように接近して今度は防具があるところを殴りつけ蹴り飛ばす。1人目みたいに気絶させるのは少し優しすぎる気がする。戦場で恐怖で身を硬直させるのなど愚の骨頂。多少のお仕置きは必要だろう。


 魔法使いと戦士たちをあらかた片付け俺に立ち向かってくる奴らがいなくなったところで建物の上の階から覚えのある気配が急接近してくるのを捉えた。


 その気配は一気に階段を飛び降りると剣を振り上げ飛び上がった勢いそのままに俺の脳天目掛けて剣を振り下ろした。


 流石にこいつの攻撃は素手では受けられない。そんなことをすれば確実に俺の腕が死ぬので即座にインベントリからランザに作ってもらった刀、【千桜華】を取り出して装備。【全集中】を発動して知覚時間を延長して迎撃体勢を整える。


 「覚悟しろ!侵入者!剛破一閃!」


 「侵入者とは随分じゃねぇか!カイン!流転!」


 「桃!?・・・っ!?うおおおお!?!?!?!?!?」


 攻撃を仕掛けてきたのはカインだ。なんか侵入者とか変なこと言ってたので普通に受けるだけじゃなくて反撃もしてみた。「流転」は俺が6つのダンジョンと鬼ヶ島、英霊達との死闘の末に自身で編み出したオリジナルの技だ。


 全ての事物には力の流れが存在している。流転はその力の流れを汲み取り利用してそっくりそのままの勢いで相手に返す技だ。相手の力を利用したカウンター技。イメージとしては北◯の拳でトキが使う柔の拳が一番近い。ただ流れに逆らわず流れの向きを変えてやる。そがこの技の極意だ。


 尤も俺の未熟な剣の腕では某一方通行さんみたいにベクトルを操作するなんてできない。それに英霊たちの超高速剣技で1撃1撃が余裕で街を破壊するような超絶威力が込められた攻撃はいなすことすらできない。俺にできるのはそこそこの威力の一撃を相手に返すだけである。まぁ、通用するのは今みたいな不意打ちかせいぜいが俺より少し強いぐらいの相手までだな。


 今回はその不意打ちが見事に効いたようだ。自身の攻撃をあっさりと跳ね返されたカインは変な叫び声を上げて壁へと叩きつけられた。どうやら受け身も取れなかったようだ。鈍ってんな?


 カインを叩き起こそうと思ったところで再び覚えのある気配が。今度はカインレベルなんてものじゃない。もっと強大で凍てつくような禍々しい気配だ。


 「これは一体なんの騒ぎだ!」


 カインとは別の階段から降りてきたのは我らが召喚院の頂点に立つ男。筆頭召喚老のレオン。その人であった。


 「そこにいるのは桃・・・か?」


 「いや、あんまり顔を出さなかったけどその反応はひどくないか?レオン」


 俺とレオンが階段の上と下で言葉を交わす。レオンの纏っている雰囲気が穏やかなものではないのがわかる。何かレオンですら警戒するほどの事態でも起きたのか?


 「レオン様!そこの男が侵入者でございます!先ほどカイン隊長も返り討ちに!」


 受付にいた男性職員が声を張り上げる。だから侵入者ってなんだよ。しかしレオンはその男性職員の報告を聞いた瞬間に大声で笑い始めた。


 「ハハハ、報告にあった侵入者がまさか桃だったとは。桃、桃の口からこの惨状を説明してくれるか?」


 「だから侵入者ってなんだよ。というか惨状ってほどか?それにこれは俺に対する試験だろ?どうせ召喚院のことだ。ぶっ飛んだ魔道具かなんかで俺が6つのダンジョンを攻略して戻ってきたのを知ってその実力が本物かどうか確かめようとしたんじゃないのか?ボスはそこで寝てるカインあたりか?」


 「桃が召喚院のことをどう思っているかよく分かったよ。桃はここに直接転移してきただろう?その時何か違和感とかなかったか?」


 「違和感?あー、あったな。なんか薄い幕?みたいのを破ったような気がしないでもない。でも一瞬だったから違和感と呼べるかどうか微妙だな。」


 「よし分かった。みんな聞いたな?この件は召喚老レオンの名において解決とする。これより緊急事態態勢を解除し通常業務態勢へと移行する。負傷したものは回復を最優先に行え。」


 混乱する俺を放置して矢継ぎ早に指示を出すレオン。そしてスタスタと気を失っているカインのところに行くと水を生み出し、カインの顔の上にパシャリと落とした。


 「カイン、いつまで寝ているんだ?」


 「うわっぷ!?レ、レオン様!い、いえ、これは・・・申し訳ありませんでした。」


 「まさかここまでやられるとはな。相手が相手だが少々弛んでいるのではないか?」


 「申し開きもありません。」


 何かカインが怒られてる。ざまぁ?


 「さて、そこで俺は無関係って顔しながらカインのことをざまぁと思ってそうな桃。君にも言いたいことがいくつか出来た。一緒に来てもらおうか。」


 「・・・はい」


 表情に出ていたのかあっさりと心を読まれた俺は大人しくレオンに連れられカインと仲良くドナドナされていくのであった。

どうしても掲示板回が苦手なのでお察しください

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