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召喚騎士様は我が道を行く  作者: ガーネット
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アリノスの迷宮

前回のあらすじ

 ・テンプレクソ野郎に絡まれるよ!


後書きに大事なお知らせがあります。

 登録所で一悶着あったがそもそもこの世界では死んでも蘇る来訪者はダンジョンで死のうが関係ないということで登録はほぼ無条件でOK。さらにAランクの冒険者でありアリーシャ召喚院の一員であるためにあっさりと登録は完了した。


 そんなわけで俺は【アリノスの迷宮】にやってきた。今回は最初から英霊を召喚するのではなくある程度自分の実力で行けるところまでは行ってみたいと思う。


 ダンジョンへの出入りを管理している運営の人に登録所を見せて転移陣に乗る。一瞬だが体が浮き上がる感覚がして次の瞬間には俺はダンジョンの中にいた。


 「ここがダンジョンね。アリの巣とはよく言ったもんだ。」


 小部屋の広さはだいたい小学校の教室の半分ぐらいの広さで全体的なフォルムは丸い。壁をよくみてみるとこれまでのような硬い壁ではなく土でできた比較的柔らかそうな壁だ。その壁がほのかな光を放っているので暗くはないな。


 もしこの部屋が転移陣ではなく本当に通路で繋がっていれば理科の教科書とか図鑑で見たアリの巣の形にそっくりなことだろう。


 「お、最初の敵がお出ましか・・・ってスライムか」


 最初はレベル1の魔物だから仕方ない。出てきたのは土色をしたスライムが3匹。いきなり強敵とバトルになっても疲れるので嫌だが流石にスライムが3匹だとなんとも言えない虚無感に襲われるな。


 健気にもスライム君たちはこっちに向かってきている。実力差は天と地ほどあるのに逃げるという選択肢はスライム君たちにはなさそうだ。


 踏みつけておしまいにしようかと思ったがそう言えばスライムは粘体生物。靴が汚れるのは嫌なのでマジックシールドで押しつぶすことにする。


 「お?マジか」


 なんと驚くべきことにスライム君たちは自分たちの身に危険が迫ったのがわかったのか剣山のように全身を針みたいに尖らせてその場に固まった。


 もしこれをそのまま踏み抜いてしまえばダメージは免れまい。そして足の裏という踏み込みにおいて一番大事な部分を負傷してしまえばこの先の探索は不可能だし、靴も壊れてしまう。初っ端から中々えげつない魔物がいるな。


 しかしレベル1のスライムが変化した程度のトゲでは俺のマジックシールドは破れない。そのままスライムたちを押し潰して討伐完了。スライム君たちがドロップ品へと姿を変えるのと時を同じくして次の階への転移陣が現れた。


 そこから先は特筆すべきとこはあまりなかった。転移して魔物が現れて倒すの繰り返し。何度か階層主も居て、倒すたびに少し豪華なドロップアイテムとアナウンスが流れたけど今はまだスルーでいいや。パッと見で俺の装備を超えるようなアイテムはなかった。


 レベル50の階層主も一撃で斬り倒して進む。そろそろ苦戦するかなと思っていたが【暴風領域】を攻略してから体のキレがすごくいい。どうすれば敵を効率的に屠れるか考えるよりも先に体が動く感じがする。


 剣でもしばらくは苦戦しそうにないのでスピードをあげることにしよう。【アリノスの迷宮】は土属性ダンジョンだ。基本となる属性の中で土属性には火属性が有効だ。俺は【太陽の墓場】でフィニクスと戦った報酬として【火魔導】のスキルを手に入れている。剣で戦うにも飽きてきたし試し打ちでもしてみるか。


 【火魔導】スキルの検証をしながら階層を進む。一通り満足行くまで検証が完了したのはレベル70の階層主を燃やし尽くした頃だった。


 実験でわかったことを纏めてみよう。まず【火魔法】と同じように下位互換のスキルはなんの問題もなく使えることがわかった。ただし威力が数段跳ね上がっているが。


 現在の俺の【火魔導】のスキルレベルは1。この状態で使えるスキルはフィニクスが使っていた鳳翼乱舞、鳳凰天舞という技。それと太陽纏身という炎を全身に纏う技があった。字面的に【魔纏】の火属性バージョンかと思ったけど、ちょっと違うみたいだ。


 なんていうか【魔纏】は完全に外装メインの技だ。意識して魔力を操作することで体の内部も強化できるがおそらく体内の強化を担うのは【闘気】だ。その点太陽纏身は体の内部に熱を外には炎の鎧を身に纏う。


 その状態になるとあらゆる火属性の攻撃を吸収し自由に外装としている炎を操れる。並大抵の相手ならば炎だけで倒せる。しかしその炎を超えてくるほど強くなった相手でもその身に秘める太陽を感じさせる熱量は尋常ではなく、触れたもの一切合切を融解する。


 初めて試したのはレベル70の階層主。どうやら特殊個体のオーガだったようで10メートルを越す巨体に全身を岩の鎧で覆っていた。土属性に火属性が有効とは言っても物理的な岩を炎で溶かすことはいささか難しく、武器も俺自身の熱で使い物にならなくなってしまったので脳筋よろしくガチの殴り合いをするしか手段がなかった。


 相手は10メートル級の化物なので流石に動きは比較的重鈍だった。振り下ろされた拳を躱してその腕を足場に一気に駆け上がる。一歩踏み出すごとに熱で岩の鎧が一瞬で溶かされ、溶岩となってオーガにダメージを与える。


 その痛みから無茶苦茶に腕を振って俺を落とそうとするが振り落とされるより先にオーガの顔面付近まで飛び上がった。


 そのまま体の熱を右の拳に集中させてオーガの脳天目掛けて振り抜いた。


 その一撃は体と同じく岩の兜で覆われていたオーガの頭をまるで豆腐でも殴るかのようになんの抵抗もなく吹き飛ばした。・・・いや、吹き飛ばしたでのはなく消滅させてしまった。


 頭部を失ったオーガの巨体がゆっくりと倒れるのを横目で見ながら地面に降りる。それと同時に地面が熱に耐えられずぶくぶくと沸騰したり溶け始めてしまった。


 オーガの巨体がドロップアイテムに変わりアナウンスが流れるのを聞き流しながらスキルを解除して水魔法と氷魔法で地面を冷ます。こうしないとおちおち休憩もできたもんではない。


 結論からいうと【火魔導】はかなり強力なスキルだった。


 ここまで強力なスキルだと依存したくなってしまう。しかし俺程度が身に付けられたスキルだ。召喚院の上位、すなわちレオンたち召喚老やその他隊長格の連中は自身も同等かそれ以上の力を持っているか、一瞬で対応してくるだろう。


 「ここから先はまた剣だな。レベル差的に剣の腕を磨くにはちょうどいいはずだ。」


 ボスのドロップ品を拾って転移陣に乗る。目の前の景色が一瞬で変化し、飛び込んできたのは二足歩行するアリの大群だった。


 即座に剣を構えて【瞬歩】で接近する。ここのダンジョンはアリの巣というだけあってちょいちょいアリ系の魔物が出現する。アリ系の魔物はある種のここの名物でありそのドロップ品から作られる装備は強度の割には軽いので駆け出しから中級者ぐらいまでにはたいそうな人気があった。


 しかしその話も中層部ぐらいまでのお話。下層までくると名物なんて言ってられない。女王アリの全体バフを武器に指揮官アリの巧みな戦術。それを可能にする凄まじいまでの一般アリの練度。さらにその殻はレベルが上がるごとに硬くそして魔法が通じなくなってくる。


 「これぐらい強くなくっちゃ練習にならないよね!」


 ここのアリは前衛が槍と大盾を持っている。これが決まれば相当厄介なので先んじて攻撃して乱戦に持ち込むことにする。


 【瞬歩】で駆け寄って首に一閃。いかに強固な殻を持っていようと節になっているところは簡単に斬れる。変に体を攻撃するよりを一撃で首を落とした方が効率的だ。


 指揮官が有能なため、たとえ1匹倒したところで簡単に崩れはしない。むしろ俺を取り囲むように大楯を持ったアリたちが展開した。


 じりじりと俺との間合いを詰めて各々が持てる力を最大限利用した突きを四方八方から放つ。空中に飛んで逃げてもいいがせっかくだから練習しよう。


 呼吸を止めて潜る。ここ最近この状態で戦うことが多くなったからだろうか、世界から色と音が消えるまでの時間がどんどん短く、そしてその世界での活動時間がどんどん長くなっているような気がする。


 この世界では英霊のような埒外の化物は例外として全ての時が緩慢となる。俺はその世界で少しだけ周りより早く動けるだけだ。スローモーションのように迫ってくる槍をこれまたスローモーションで避ける。


 アリたちは同時攻撃をしたようではあるが、どうしても個体差があり全く同じ速度で槍はこない。ここまでゆっくりと見えるのならばその全てを躱して弾いて反撃することだって可能だ。


 ノロノロ動いて槍を躱し、ゆらりゆらりと剣を振ってアリの首を斬り飛ばす。なんだかこの世界では力を入れて動くよりも脱力してゆらゆらと揺蕩うように動いた方は早く動ける。そして剣を振るその一瞬だけ力を入れた方がよく斬れるような気がする。


 この鈍色の世界でいかに早く動き、効率よく斬るかに夢中になっていたらいつの間にかアリたちは全滅していた。俺は潜るのやめて世界に色と音を取り戻す。


 その瞬間、どっと一気に疲労感が押し寄せその場に座り込む。なんだか今日は一段と疲労感が激しいな。なんかいつも使わない筋肉を使った気がするぜ。


 流石にこれ以上は無理と判断して英霊たちを召喚する。召喚するのはフェルド、ルキナ、フィニクス、アルバセロ、ミリム、そしてラージャだ。多いような気もするがこれだけの人数が入れは攻略はすぐだろうな。


 俺が英霊たちを召喚してからわずか30分後、IWOの世界に【アリノスの迷宮】の隠しボスであるツインヘッドグランドドラゴンが討伐されたとアナウンスが流れるのであった。


 全く、ここまでの俺の苦労は一体なんだったのやら・・・

日頃からご愛読いただいているみなさん、いつもありがとうございます。

大事なお知らせ

 今回の更新をもちまして一月ほど更新を停止いたします。理由は9月に入り勤務形態がガラリと変わったこと、それに伴って日常生活に変化が起きるからです。具体的には10月の半ばまででは更新が全くできないかと思います。

 日頃誤字を報告してくださっている方ありがとうございます。矛盾しているところをご指摘いただいている方、順次直していきます。

 また、第2回のイベントから面白さが半減したとご意見をいただきました。正直に申し上げて豆腐メンタルなので辛いものがあります。もしここから先時間が取れれば大幅な見直しも含めて検討したいと思います。

 まだまだダンジョンは残っているのでここから先更新が完全に停止することはありませんのでどうか気長にお付き合いください。それでは

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― 新着の感想 ―
[一言] 後書きを読んで思ったことなのですが、どの作品にも面白くないと感じるパートは存在すると思うんです。 今回は第2回イベントの時にそうなってしまったので、確かに気になるタイミングなのかな?と。 試…
[良い点] 初感想です。毎回楽しみに読ませて貰っています。 主人公の強さのインフレはしつつも、主人公は努力を怠らないとこのが好感持てます。 [気になる点] 召喚したやつらが好き勝手し過ぎてて、進行に…
[良い点] おもしろいピヨ
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